5月度その7:太陽磁場➡流体力学➡ナビエーストークス・べナール対流のシミュレーションを知る!
太陽磁場➡流体力学➡ナビエーストークス・べナール対流のシミュレーションを知る!
* という訳で、太陽磁場から一旦流体力学へ戻り、規則性&対称性の散逸構造を保持するべナール対流のシミュレーションを調べ、流体力学における対流の数値シミュレーションを学びます。
論文題材は「2次元ベナール・レイリー型対流の数値シミュレーション 竹村 和人 神戸大学理学部地球惑星科学科地球および惑星大気科学研究室 2008年2月3日」で、pdfは:
https://www.gfd-dennou.org/arch/prepri/2008/kobe-u/takemura/paper/pub/text1.pdf
* まず、ナビエーストークス方程式なるものが出てきます。
Wiki [ナビエ–ストークス方程式 - Wikipedia] によれば:
ニュートン力学における運動の第2法則に相当し、運動量の流れの保存則を表す。
なるほど、運動量保存則ですか、そして:
ナビエ–ストークス方程式は複雑過ぎるが故に解を求めることは困難である。このため、いくつかの仮定をして問題を単純化することが多い。しかし単純化された方程式でも解析的な解法は知られておらず、数値的解法が必要であることが多い。
まぁ、そうでしょうね、ここで各種単純化モデルが出てきて:
・ 非圧縮性流れ
・ 粘性率が一定の流れ
・ 粘性率が一定の非圧縮性流れ
・ ストークス流れ(流体の速度が遅かったりスケールが小さい)
・ 粘性のない流れ(オイラー方程式)
・ ポテンシャル流れ(速度場回転がない流れ)
・ ブシネスク近似(熱輸送を伴う流れにおいて、温度による密度変化が大きくない)
・ 境界層近似(流れが主流方向を持ち、幾何的な変形が緩やかなとき)
等で単純化し近似します。 べナール対流はブシネスク近似を使うそうですが、果たして太陽磁場はどうなのか? 今は分かりませんが、そのうち分かるでしょう。
そして、数値シミュレーションとして:
流体の数値シミュレーションでは、このナビエ–ストークス方程式と連続の式、その他必要に応じてエネルギーの式(熱対流)やマクスウェルの方程式(電磁流体力学)、状態方程式などを連立して、数値的に解くことで流体の挙動を予測する。
移流と拡散両方に関係している現象であるので、クーラン数、拡散数の両方を満たすようにシミュレーションを行う必要がある。
なるほど、これは重要です、太陽磁場の場合は状態方程式が面白いかもしれません、緯度方向のダイポール磁場はN極S極がハッキリしていて、これがスイッチングしますから。
乱流についても述べられており:
乱流は流体の多くの流れで見られる時間依存のカオス的な振る舞いである。全体としての流体の慣性にそれがしたがうことが一般に信じられている。それゆえ慣性の効果が小さな流れは層流となる傾向がある。正確に理解されていないにもかかわらず、ナビエ‐ストークス方程式が乱流の性質を記述することが信じられている。
この、信じられている、が面白い、まぁ運動量保存則ですから信ずるに足りるか。 しかし、実際に乱流を数値シミュレーションするには、色々な手法があるようです。 べナール対流は乱流ではないだろうけど、太陽磁場はこの乱流になるのかな?
* そして、論文では:
まず、前提条件が示され、
シミュレーション結果が示されます、pdfの54ページです。
赤が上昇流、青が下降流、となり熱対流が形成されています。
一定の温度勾配から出発して、加熱シミュレーション後、時計周りと反時計周りの対流が交互対称に形成される結果を見るのは、私には驚きです。 これがエネルギー状態として最も安定した状態なので、このように規則化した配列状態となるのです。 雪の結晶が六角形の美しい対称形となるのは、それが最もエネルギー状態が安定しているからです。 熱対流もそうだったか。
最後までお読み頂きまして、誠にありがとう御座いました。