なぜ地球磁極は逆転するのか?

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5月度その14:太陽磁極の逆転を追う ➡ MHDシミュレータの基本 ➡ HLLD法リーマン解を理解する!

太陽磁極の逆転を追う ➡ MHDシミュレータの基本 ➡ HLLD法リーマン解を理解する!

 

 という訳で、松本先生の教科書によれば:

 磁気流体力学(MHD)では、流体に働く力として圧力勾配の他にローレンツ力を考える。

事になり、MHDの結果は数値流速Fにて示される事になるのだが、その為にはMHDシミュレータによるセル境界での動作解析が本質で、このセル境界での一次元・近似リーマン解であるHLLD法が説明されている。 OpenMHDでは実際にHLLD法を使っている。 ここでセル境界での数値流速とは:

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セルを区間 xi-1/2 ≦ x ≦ xi+1/2 と定義し、セルの境界で数値流束 fi+1/2 を定義する。

さて、UL,URは左右のセルの保存量UでありGivenであるとして:

HLLDの近似リーマン解では、セルの左右の状態ULとURが与えられたとき、4個の中間状態のUL*,UL**,UR*,UR**を求めることになる。

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表4.1の内容は幾つかの不連続面が現れる事を示しており、教科書では:

MHDのリーマンファンには衝撃波と接触不連続面と膨張波が合計7個現れる。簡単のために、膨張波が発生せずに衝撃波と接触不連続面だけが現れる場合を考えると、7個の不連続面(衝撃波・接触不連続面)が現れる。密度や速度などの状態量は不連続面の間は一定である。

としている。

(接触不連続面)

状態UL**とUR**に挟まれた不連続面を接触不連続面とする。接触不連続面では、流体力学と同様に密度は不連続であるが圧力とx方向の速度は連続である。

(アルフヴェン波)

状態UL*とUL**に挟まれた不連続面と、UR*とUR**に挟まれた不連続面は、アルフヴェン波による不連続面である。アルフヴェン波は横波なので、この不連続面では密度、圧力、x方向の速度は連続である。接線方向の速度(v,w)と接線方向の磁場(By,Bz)は不連続である。

(磁気音波)

状態ULとUL*に挟まれた不連続面と、URとUR*に挟まれた不連続面は、磁気音波による衝撃波である。縦波による衝撃波なので、速度、密度、磁場がすべて不連続である。

ここで、4個の中間常態UL*,UL**,UR*,UR**(ULとURはGiven)を求めるのにジャンプ条件を設定している。

こうして有限体積法では、数値流束Fをもとめるのにセル境界における近似リーマン解を用い、その境界がどの中間状態に含まれるかは、波の速度によって決まる、としている。

この数値流速Fが、圧力勾配とローレンツ力により決定されるMHDにおける流速となる。 尚、MHDでは保存量U数値流速F、の他に基本量V(教科書では、基本量は状態量と称しているように思われます)が出てくる。

 

 ここでOpenMHDの一次元リーマン問題・ソースを見てみると、セル境界における数値流速Fを決定付けるのに基本量Vを入力として使用しています。 即ち、セル境界のFは、左右のセルのVLとVRから中間解を経て決定されており、そういう方法もあるのでしょう。

教科書の概要説明では:

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リーマン問題の解(上図)とリーマンファン(下図)。Rは膨張波、Cは接触不連続、Sは衝撃波を示す。

であり、縦軸はUですから保存量になっているのですが。

この一次元リーマン問題を走行させて時間軸で初期解0.00、中間解0.10、最終解0.20をプロットすると、最初は X=0 で緊張状態にあったセル境界が順次、膨張波・接触不連続・衝撃波、と広がってゆくのが分かります。

OpenMHDのシミュレーション結果では、縦軸がTotal Pressure(全圧力:これは基本量)で:

・以下、t = 0.00の解(初期値)

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・以下、t = 0.10の解

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・以下、t = 0.20の解

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 ・以下、gif化すれば:

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膨張波と接触不連続が後方に、衝撃波が前方に伝搬するのがよく分かります。

この縦軸はTotal Pressureですが、他にもありそうなので、次回は調べて他の値(基本量だと思います)をグラフ化したいと考えております。

色々な基本量が示せれば、私としては大いに理解が進みます。

また、この問題は一次元リーマン解に関するものですが、この一次元なるものに関しても、私の理解がまだ完全ではないように思っています。 というのも、ソースを見ているとY軸方向にセルを一列並行して(直交せずに)配置しているように見えるのです。 袖、なのでしょうか?分かりません。

この辺り、もう少し時間を掛けて調べる必要がありそうです。

 

 

最後までお読み頂きまして、誠にありがとう御座いました。