5月度その23:太陽磁極の逆転を追う ➡ MHDシミュレータ ➡ 磁束総和は閉じている条件!【追記】結果が出ました!【追記2】伝導電流の方向を考えると!【追記3】初期設定Bxが決定づけている?
太陽磁極の逆転を追う ➡ MHDシミュレータ ➡ 磁束総和は閉じている条件!【追記】結果が出ました!【追記2】伝導電流の方向を考えると!【追記3】初期設定Bxが決定づけている?
* という訳で、MHDシミュレータ・OpenMHDの世界、一次元または二次元の世界において、磁束Bの出し入れは常に総和でゼロにて閉じている、という条件を設定してみよう。
と言うのも、総和でゼロでない初期条件はいくらでも作れるように見える、からです。 ゼロでないアンバランスな初期条件からスタートする必要があるケースもあるのかもしれませんが、私の場合まずはゼロで閉じた世界での動作に限ってみたい、からです。
* そこで、チェック・プログラムを作ってみて、シミュレーション結果について調べてみよう、提供されている例題に適用してみたい、と考えています。
結果が出るのに多少時間がかかります。
【追記】結果が出ました!
まず、最もシンプルな、OpenMHD一次元例題の1D_basicというリーマン問題について、結果が出ました:
磁束Bのx, y, z成分について、時刻00000, 00001, 00002 について、一次元配列セルであるX=1〜300迄の各要素の総和と取ると:
time 00000 : Bx : 225.0
time 00000 : By : 0.0
time 00000 : Bz : 0.0
time 00001 : Bx : 225.0
time 00001 : By : 0.0
time 00001 : Bz : 0.0
time 00002 : Bx : 225.0
time 00002 : By : 0.0
time 00002 : Bz : 0.0
となり、各時刻において、磁束Bの変化分の総和はゼロである事が確認できました。
但し、Bx成分については、初期値から一定の磁場が掛かっています。 これは伝導電流は一定のローレンツ力を受けている事を示しています。
Byに関するgifは、以下の通りで:
gifの1番目の画像:t = 00000 は初期値で、+1.0 から中央で -1.0 に変化するステップ応答ですから、Byの総和がゼロになるのは当たり前なのですが(目視で分かる)、
gifの2番目と3番目の画像:t = 00001 と 00002 について、x軸に沿ったByの総和がキチンとゼロになっているのを見るのは、驚きです(Byは1.0から-1.0の間を振られています)。
尚、チェックプログラムはrubyで組んでいます、rubyに慣れておりますもので。
【追記2】伝導電流の方向を考えると!
という訳で、以前から気になっていた伝導電流の方向を考えてみます。
これは、ローレンツ力を発生する左手の法則であれ、電磁誘導による起電力の結果発生する新規な電流である右手の法則であれ、逆方向だけど方向は同じ(変な日本語ですが!)という前提で考察を進めます。
磁束方向がYですので、伝導電流はXかZです(必ず直交します)。
ここで、理想MHD環境においては、磁束は流体に凍結されていて、流体に乗って流体方向に動きますので、流体はX方向に流れていますから、伝導電流がX方向という事はありえず、伝導電流はZ方向となります。
この帰結、正しいのでしょうか?
しかし、磁束の方向はY方向であるが、磁束は流体に凍結されてX方向に流れている、という状態はあり得るから、それですと伝導電流のX方向はあり得ますね。
もう少し考えてみます。
【追記3】初期設定Bxが決定づけている?
という訳で、上記の考察からでは伝導電流の方向がXなのか?Zなのか?を決定づけるには要素が足りない事が分かる。
それを決定づけている要素が初期設定されている磁束成分Xではなかろうか?
Bxの存在により、伝導電流はX方向に流れる事は出来ず、従ってZ方向となる。
初期設定Bxは、伝導電流の方向をZとする為に変動する事のない固定値として導入されたのではなかろうか?
という結論にしておいて、この記事はクローズさせて頂きたく。