なぜ地球磁極は逆転するのか?

太陽黒点数/オゾン全数/エルニーニョ/太陽活動と米国日本の地磁気変動を追います!

11月度その7:気になる点シリーズ ➡ ガモフの言う、空間と時間の相対性とは? 追記あり!

気になる点シリーズ ➡ ガモフの言う、空間と時間の相対性とは?

 

 

現在、この黒点サイトでは、私事ですが忙しくなって来たもので「太陽黒点数の推移を追うシリーズ」のみを扱っております、数カ月前までは「木星衝合と巨大地震の相関を追うシリーズ」や「地磁気地震の相関を追うシリーズ」等もやったのですが、木星地磁気はかなりの集中力とエネルギーが必要で、とても現在の私の状態では扱えないのです

 

しかしながら、ベッドで寝っ転がっていると漠然と頭に浮かんで来る疑問がありまして、それは私にとっての未解決問題なのです、そこで昨日は「特殊相対性理論とは、マクスウェルの方程式を再解釈したに過ぎない」をアップ致しましたが、宇宙の徒然を語るブロガー「まさき りお(id:rio-masaki)」さんから:

ジョージ・ガモフの言ってることがわかりません。

なるコメントを頂戴致しました、ガモフは空間と時間は交換し得る、と言っているのですが、説明が足りなかった、と思います

そこで、本日は:

ガモフの言う、空間と時間の相対性とは?

にフォーカスして記事をアップさせて頂きたく、お付き合い頂ければ幸いです

 

 

1.ガモフ全集6「1,2,3・・・無限大」

この本は日本語版が白陽社から1951年に出版されたもので、原本はマグローヒル社1949年初版のガモフ科学全集の一巻で、私の愛読書であり、ガモフの説明順番に沿ってご説明致します

空間と時間は等価である

もし我々が標準時間なるものを定めれば、標準時間で5分の距離とか表現できる訳で、時間は距離に置き換える事ができる、当然、この標準時間としては光速が採用される、例えば1光年とは光が1年間で進む距離であって、我々は自然と時間を距離に置き換えて使っている場合がある

 

 

2.時間は第4の次元である:4次元的距離とは?

3次元空間 X・Y・Z を考え、そこに直交する第4の次元である時間 iT を考える、4次元は想像できないのだけれども強引に考える、iTの i は虚数であり(虚数 i は自乗してマイナス1となる)、Tは光速を掛けた距離表示である(光・メートルとも言う)

ここで、虚数軸 iT を加えた4次元時空における点Aと点Bとの4次元的距離とは、

ルート √ (Ax-Bx)**2 + (Ay-By)**2 + (Az-Bz)**2 + (iAt-iBt)**2

である、即ち、A-B間のX成分・Y成分・Z成分の差の自乗の総和に、虚数表示されたA事象時刻からB事象時刻の差に光速を掛けた数値の自乗(虚数の自乗なので符号はマイナスとなる)の和の平方根、である

東京駅で発射ベルが鳴る事象があり、30分後に新宿駅でも発射ベルが鳴る事象があった場合の4次元的距離を算出してみよう(東京-新宿間は20kmとする、光速は30万km/s)

ルート √ 20,000**2 - (300,000,000*1800)**2

答えは: i146*10**21、虚数で146の10の21乗倍である、通常の我々の住む世界における4次元的距離は虚数となりやすい、時間軸として虚数を取り入れたミンコフスキーによればこれを「時間的な間隔」と言う

一方、木星が最も地球に近づいた衝の日2020年7月14日16:58に木星に隕石が衝突したとする事象と、その30分後に木星を観測している人の電話が鳴ったとする事象があった場合、この4次元的距離は、

ルート √ 5au**2 - (300000000*1800)**2

答えは:135*10**21、実数で135の10の21乗倍であり、4次元的距離は実数となりミンコフスキーの言う「空間的な間隔」となる

 

 

3.マイケルソン・モーリーの実験

ここでガモフはマイケルソン・モーリーの実験について述べているのだが、これは不必要にゴタゴタしており [マイケルソン・モーリーの実験 - Wikipedia] の方が分かりやすいのでWikiから引用する、実験装置の図を下に示す

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By Benjamin D. Esham (bdesham)

左側にあるのが光源でレーザと思って頂いて構わない、中央C(Central)にあるsemi-silvered mirrorは半透明のビームスプリッタ、上部N(North)と右側E(East)に鏡、下部にdetector検出器がある

この図は自転する地球を意識して書いている、光源から出た光ビームはビームスプリッタで北側へ行きNで反射して検出器に至るルートと、ビームスプリッタを通過して東側へ行きEで反射して検出器に至るルートがある

光源がコヒーレントであるから、CNの往復パスとCEの往復パスで光路長に差があれば検出器には干渉縞が現れる、干渉縞は光の波長の数分の1程度の光路差で現れるから、微小な光路差であっても検出可能なのである

当時は地球はエーテルの風の中を移動していると考えられていた、これを川の流れと船で例えると:

船はスクリューにより時速50 kmの速さを得ることができ、川は時速5 kmで流れているとする。このとき、川を横切るように10 kmの距離を往復するならば、少し下流に流されることを気にしなければ、0.4時間で帰ってくることができる(10km*2/50km/h=0.4h)。しかし、上流から下流10 kmの地点までを往復するならば、行きは0.182時間(10km/55km/h=0.182h)、帰りは0.222時間要するので(10km/45km/h=0.222h)、合計で0.404時間かかる。

同様に考えて、エーテルの風に対し垂直に進む光線に比べ、平行に進む光線は、往復に僅かばかり長い時間を要する。すなわち、エーテルの風向きによって干渉縞が発生するのである。

しかしながら、何度も実験を繰り返しても、装置を大理石のテーブルに載せ、地下の実験室に水銀のプールを作り、そこに大理石を浮かべて振動を排除しても、干渉縞は現れなかった!

光速は観測系に依らず常に一定だったのである

 

 

4.空間と時間の相対性

ガモフは言う:

ある運動系からおこなった観測は、速度に依存するある角度だけ、時間軸と空間軸を回転した新しい座標によって表示されなければならない

 

下の図で観測系Aを静止系としよう、静止系においては、空間軸上に100%の射影が与えられるのである

それに対し、運動系である観測系Bの新しい軸上での射影空間は常に短くなるのである

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実際には、期待される長さの短縮という事は相互に運動している2つの系について相対的であり、2つの系のどちらが ”現実に” 運動しているのかを規定する事は必要ないのである

また時空座標系の回転は時間間隔の測定にも影響を与える、それは、空間間隔が縮小する場合には時間間隔は延長されるのである

 

観測系Aを列車の食堂車としよう、お客は進行方向の先頭側の席に1名と20m離れた後部の席に1名居るとする、食堂車の給仕は2名の客が同時にナイフとフォークを取り上げるのを見たとする、しかし、この列車を外部から眺めている線路坑夫の観測系Bから見ると、まず2名の客の距離は20mより短い、そして、2名は同時にナイフとフォークを取り上げるのではなく時間差が生ずるのである

線路坑夫から見た時、果たして、どちらの客が先にナイフとフォークを取り上げるのだろうか? 先頭側か後部側か? 残念ながら、ガモフはそれを述べてはいない!

私への宿題という事で終わりにしよう

 

追記:2020/11/13 08:18

あ〜、上記宿題の件ですが、私、勘違いをしておりました

回転した観測系においては、時間間隔は延長される、でした

給仕が2名の客が同時にナイフとフォークを取り上げるのに0.1秒かかるのを観測したとして(0秒では動作不可能ですから)、これを線路坑夫が観測すると「時間間隔は延長される」ので 0.1+α秒 となります、動作が緩慢に映るのです、同時である事に変わりはありませんでした

本文で:

>2名は同時にナイフとフォークを取り上げるのではなく時間差が生ずるのである

としたのは私の勘違いで、間違いでした

 

 

以上、お付き合い頂きまして、誠にありがとう御座いました