2月度その8:気になるシリーズ ➡ 鉄器のヒッタイトと、アルファベットのフェニキアと、コインのリュディアと、、、!
気になるシリーズ ➡ 鉄器のヒッタイトと、アルファベットのフェニキアと、コインのリュディアと、、、!
この黒点サイトでは、「太陽黒点数の推移」「太陽黒点数とS&P500、VIXとの相関」「エルニーニョ南方振動ELSOと太陽黒点数との相関」の太陽黒点に関連した3記事を毎月の初めに更新しています
しかしながら、ベッドで寝っ転がっていると漠然と頭に浮かんで来る疑問がありまして、それは私にとっての未解決問題もしくは気に掛かる問題なのです
鉄器はヒッタイトで発明されました、が、ヒッタイトは滅びました、アルファベットを発明したフェニキアも滅びました、鋳造貨幣の硬貨(コイン)はどこで発明されたんだっけか?調べれば分かりますが、そこも滅んだでしょう、革新的な発明をして一時的に国は栄えても、それ自体は国の永続を意味しません、この辺りが気になっていたので、もう少し詳しく追ってみました
お付き合い頂ければ幸いです
鉄器の発明は [鉄器時代 - Wikipedia] より:
鉄の利用は鉄器時代よりもはるかに古く、紀元前3000年ごろにはすでにメソポタミアで鉄は利用されていた。ただし融点が高いために鉄鉱石から鉄を精錬することはできず、もっぱら隕鉄を鉄の材料としていた。
ですね〜、鉄隕石を拾って来て利用していた時代が最初です
最初の鉄器文化は紀元前15世紀ごろにあらわれたヒッタイトとされている。
うむ〜、ヒッタイトですね?
By Sémhurderivative work:ヒッタイト帝国の最大範囲の地図。紀元前1350年から1300年の間にヒッタイト帝国が支配した領域を緑の線で示している。
ヒッタイトの存在したアナトリア高原においては鉄鉱石からの製鉄法がすでに開発されていたが、ヒッタイトは紀元前1400年ごろに炭を使って鉄を鋳造し、鉄を主力とした最初の文化を作り上げた。ヒッタイトはその高度な製鉄技術を強力な武器にし、オリエントの強国としてエジプトなどと対峙する大国となった。その鉄の製法は国家機密として厳重に秘匿されており、周辺民族に伝わる事が無かった。
なるほど〜
しかし前1200年のカタストロフが起き、ヒッタイトが紀元前1190年頃に海の民の襲撃により滅亡するとその製鉄の秘密は周辺民族に知れ渡る事になり、エジプト・メソポタミア地方で鉄器時代が始まる事になる。
?前1200年のカタストロフって何だ?
紀元前1200年頃、環東地中海を席巻する大規模な社会変動が発生した。現在、「前1200年のカタストロフ」と呼ばれるこの災厄は古代エジプト、西アジア、アナトリア半島、クレタ島、ギリシャ本土を襲った。この災厄は諸説存在しており、未だにその内容については結論を得ていない。
By Lommes:前1200年の地中海東部、炎マークは破壊された都市、冠マークは生き残った都市、丸の上に像が向かい合って立っているのは何であるか明記されていない(私の想像ではチャリオットと呼ばれる当時の戦車による戦いがあった場所と年)、Sea Peopleが有名な海の民
この災厄は:
1.ヒッタイトの崩壊
2.エジプトにおける海の民の襲撃
3.ギリシャ・ミケーネ文明の崩壊
をもたらした
こうして紀元前1190年頃にヒッタイトは海の民による襲撃で滅亡した
アルファベットの発明は [フェニキア - Wikipedia] によれば:
フェニキア人は、エジプトやバビロニアなどの古代国家の狭間にあたる地域に居住していたことから、次第にその影響を受けて文明化し、紀元前15世紀頃から都市国家を形成し始めた。紀元前12世紀頃から盛んな海上交易を行って北アフリカからイベリア半島まで進出、地中海全域を舞台に活躍する。また、その交易活動にともなってアルファベットなどの古代オリエントで生まれた優れた文明を地中海世界全域に伝えた。
By MalkiShamash:フェニキア(黄色の部分)、ティルスはフェニキア最大の都市国家で首都
ここでアルファベットの原型と言われるフェニキア文字とは、
フェニキア人がフェニキア語を書き表すために発明したフェニキア文字は、ヨーロッパ・西アジアの多くの言語で用いられる起源となった。 ギリシャ文字がフェニキア文字を元とすることから、フェニキア文字はアルファベットのルーツとされる。
ここでアイザック・アシモフ先生の著書「西暦3000年の人類」から抜粋させて頂くと:
「複雑な楔形文字を使うバビロニアと、それと同じほど複雑な絵文字を使うエジプトとの中間に位置していたフェニキアの民は、この二つの言語を習得せずして十分な交易はできないことに気がついた。」
そこで、
「フェニキアの民は紀元前1000年頃までに子音のみで構成されるアルファベットを作り、このアルファベットでどんな言語も簡単に表記できる域にまで到達させた。」
?子音のみで構成って? [フェニキア文字 - Wikipedia] によれば:
フェニキア文字は22の文字から成る純粋な子音文字であり、母音のいかなる記号も持たない文字体型であった。このような文字体系において母音は文脈から判断するということになる。
今の英語で言えば、"a"、"e"、"i"、"o"、"u" の母音5文字を足せば 22 + 5 = 27、何と26文字に一つ多いだけはないか!現在の英語がほとんど出来上がってしまう!
中央に「猫」の絵を描いて、左にフェニキア文字によるエジプト言葉、右にフェニキア文字によるバビロニア言葉を書けば対応表が出来上がる、貴方がエジプトの民であれば左は読める(発音できる)、右は母音の推論が適当となってしまう、が、もしそこにバビロニアの民がいれば「猫」の発音における対応が完全に付く
ギリシャ文字はフェニキア文字を取り入れた文字であり、全部で24文字ある、母音は、"アルファ α"、”イプシロン ε”、”イオタ ι”、”オミクロン ο”、”ユプシロン υ” の5文字である、従って子音の数は19文字で子音数を3文字削って母音を5文字追加してギリシャ文字をギリシャ言葉を表現(表音)するアルファベットとして完成させたのだ!
何と、子音文字とは、母音5文字(恐らく、これは a/e/i/o/u で共通だろう)を足して、その民族独特の言葉を表現するアルファベットを構築する共通土台であったのだ!
しかしながら、
フェニキアは紀元前9世紀から紀元前8世紀に、内陸で勃興してきたアッシリアの攻撃を受けて服属を余儀なくされ、フェニキア地方(現在のレバノン)の諸都市は政治的な独立を失っていった。アッシリアの滅亡後は新バビロニア、次いでペルシャ帝国に服属するが、海上交易では繁栄を続けた。しかし、アケメネス朝を滅ぼしたアレクサンドロス大王によってティルスが征服されると、マケドニア系の勢力に取り込まれてヘレニズム世界の一部となった。
こうしてフェニキアは紀元前9世紀から紀元前8世紀頃から衰退を始め、アレクサンドリア大王にティルスは最後まで抵抗したが、紀元前300年頃には滅亡した
コインの発明は [リュディア - Wikipedia] によれば:
リュディアは、紀元前7世紀頃から紀元前547年にアナトリア半島西部のリュディア地方で栄えた国家である
By User:Roke, User:Nekto, User:WillemBK:リュディアの位置と領土、紀元前6世紀中頃、茶色の領域または赤線で区切られた領域を領土としていた
前1200年のカタストロフにてヒッタイトが滅亡した後に現れた国家群の中からリュディアが勢力を伸ばして台頭した
リュディアは前670年頃にエレクトロン貨と呼ばれる世界最古の鋳造貨幣(硬貨:コイン)を作ったのである
By Classical Numismatic Group:紀元前6世紀頃に発行されたエレクトロン貨
エレクトロン(elektron )とはギリシャ語で琥珀を意味し、金銀合金はその淡黄色が琥珀を連想させる。このエレクトロン貨は砂金で作られた硬貨であった。
というのも砂金(自然金)は数%から数十%の銀を含む金と銀の自然合金なのである。
なるほど〜、そういう事だったのですか、知りませんでした! エレクトロン(電子)はここからの派生語だったのですね
エレクトロン貨は、銀の割合を増やすことで、流通量を増やしていた。また、純度の高い金に比べて耐久性が増し、硬貨としての実用性が高まった。
ふむふむ、、、
リュディアで硬貨(コイン)が発明されたのは偶然ではなく、首都サルディスは、砂金を豊富に産出する河畔に位置し、エーゲ海〜メソポタミア〜ペルシャの間の東西交易路の要衝にあり、取引の円滑化の為に、硬貨を生み出す必然があったといえる。
しかしながら、
リュディアは軍事的にも経済的にも富強を極めたが、前550年にペルシャ帝国が東側隣国のメディア王国を滅ぼすと、リュディアはペルシャと戦いを開始、しかし、前547年に戦いに破れ滅亡した
こうしてヒッタイト滅亡の後にアナトリア半島で勃興したリュディアも前547年には滅んだ
感想:
鉄器、アルファベット、コイン、、、いかなる優れた発明をしても国家の存続を決定付けるものではなく、国家の存続は地政学で決まる事を我々は学ぶ
何と言ってもエジプトが5000年に及ぶ人類史上最長の不倒国家なのである
以上、お付き合い頂き、誠にありがとう御座いました
感謝です