なぜ地球磁極は逆転するのか?

太陽黒点数/オゾン全数/エルニーニョ/太陽活動と米国日本の地磁気変動を追います!

3月度その11:地球磁極の不思議シリーズ➡地球コア外核の動きとは?驚愕の結果が二つ!

地球磁極の不思議シリーズ➡地球コア外核の動きとは?驚愕の結果が二つ!

 

本サイトのタイトルは「なぜ地球磁極は逆転するのか?」ですが、地磁気に関しましては定期的な更新対象にはしておりませんでした、理由は、定期的な記事とするには難しすぎたからです

そこでナントカ定期更新可能なテーマを見つけたい、と現在四苦八苦しております

 

前回の記事、

3月度その10:地球磁極の不思議シリーズ➡磁北極のバイカル湖北部への移動原因とは? - なぜ地球磁極は逆転するのか?

にて、今後の北磁極の動き予想を述べたのですが、やはり地球コアの動きが分かりませんと今後の動向は予測できない!

という事に気が付きまして、地球コアの動き(これは電磁流体力学の分野になります)を調べましたので、ご報告です

 

 

お付き合い頂ければ幸いです

 

 

 

地学雑誌114(2) 132-141 2005「地球磁場から推定されるコアの流体運動」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jgeography1889/114/2/114_2_132/_pdf

東京工業大学地球惑星科学・松島政貴さん論文からの抜粋です

磁場の時間変化は磁力線が流体に凍結して動くことによって生じる。この近似を磁場凍結近似と呼ぶ。

コアの流体運動は様々な手法によって推定されているが,そのほとんどは磁場凍結近似に基づいている。

磁力線がつくる磁場の動きを知ろうとすると、それは電磁磁流体力学の世界に入り、そこで磁力線は(何と!)流体に付着して動くのである これを磁場の凍結と言う

 

私は磁場の凍結なる動作を太陽の磁極反転から知ったのだけれども、それは新鮮な驚きだった

電流があれば周囲に磁力線を生成し磁場も形成され、、、などと考えていては太陽磁場の動きは分からないのである

磁力線は流体に凍結されて移動するのである、これが太陽のみならず地球でも起きているとすれば、まず「流体の動き」を理解する必要がある

これは、観測されている地球磁場分布から、磁場の凍結モデルを使って地球コア外核の動作(流体の動き)を求める手法と言える

 

以下の図1が、2000年におけるコア表面における地球磁場動径成分の分布である

これはOrsted主磁場永年変化モデル(Orsted Main and Secular Variation Modelと称されるモデル)である

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図1:OSVMから得られたコア表面における地球磁場動径成分の分布

等値線の間隔は100μTであり,実線が正,破線が負を表す.グレイスケールは磁場強度を表す

 

図1は衝撃的な結果である、NOAAさんの地球表面における磁場偏角分布マップを2000年で取った南北磁極位置と、京都大学さんの2020年世界地磁気強度分布かた取ったカナダ東部バイカル湖北部の強度ピーク位置を(図1には)示してある

 

図2:それは北磁極(2000)カナダ東部とバイカル湖北部(2020)で、

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図3:南磁極(2000)で、

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図4:世界地磁気強度分布(2020)で、

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上記の図2〜4の結果を入れたのが図1という事なのである

 

図1を見て頂ければ分かるように:

1.コア表面において磁北極位置に磁場強度のピークは存在しない! 図2を見れば地球表面ではS極がピークとなる磁北極(緑丸)はもちろん存在する

2.コア表面では、カナダ東部とバイカル湖北部にのみ磁場強度ピークが存在する

3.一方、地球表面のN極がピークとなる磁南極(緑丸)位置には磁場強度ピークが存在する

 

地球表面の北極側を見ると、S極は3ヶ所に分離しているが、コア表面磁場強度で見れば2ヶ所に分離した結果なのであるこれが一番目の驚き!

 

何と、そうでしたか、、、

 

そうして論文はコア表面の磁場強度の移動から、コア表面の流れ(流体の流れ)を算出し、

図5:2000年におけるコア表面の流れ(Matsushimaの方法1995による)

 

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最大速度は27.7km/年である、としている

 

地球コアの外核は鉄流体で内核は鉄剛体である事は知っていたけれど、全体としては剛球回転するコアをイメージしていた(ほとんどの方がそうであったろう、と希望的に思います)

 

しかし、実際には、コア表面はまるで海流なのであるこれが2番目の驚き!

 

何と海流でしたか、、、地球の自転方向とは反対にもシッカリと流れている!

 

 

まとめ:

1.コア表面北側では磁場強度の強いピークは2ヶ所であり、そこに北磁極位置は含まれない

2.一方、コア表面南側では南磁極位置に磁場強度の強いピークがある

3.コア外核は鉄流体であり、それはまるで海流のごとく循環し、凍結した磁場を運ぶ媒体なのである

4.以上の結果から、地磁気エクスカーションや地球磁極の逆転現象を再度考察してみる必要がありそうだ!

 

 

 

以上、お付き合い頂きまして、誠にありがとう御座いました

感謝です