3月度その15:地球磁極の不思議シリーズ➡磁場強度の弱い領域でのSEU測定で太陽風をキャッチ(ESA)!➡追記あり!
地球磁極の不思議シリーズ➡磁場強度の弱い領域でのSEU測定で太陽風をキャッチ(ESA)!
本サイトのタイトルは「なぜ地球磁極は逆転するのか?」ですが、地磁気に関しましては定期的な更新対象にはしておりませんでした、理由は、定期的な記事とするには難しすぎたからです
そこでナントカ定期更新可能なテーマを見つけたい、と現在四苦八苦しております
しかし、宇宙の徒然を語るブロガー「まさき りお(id:ballooon)」さんからESAサイトを教えて頂きまして、そこでSWARMという地磁気探査専用の衛星3基がある事を知り、SWARMサイトからまだご紹介したい情報がありまして、もう少しESA/SWARMからの記事アップを続けたい、と考えています
まだ、しばらくは定期更新テーマの発掘などではなく、世界の地磁気サイトを勉強する段階なのである、という認識を新たにした次第です
お付き合い頂ければ幸いです
まず基本情報として地球表面の磁場強度マップ2020年です
地表の磁場強度分布図(ESAより)青が弱く赤が強い
2020年の磁北極と磁南極(方位磁石が90°下を向く)をNOAAより緑丸で示す
マップを見れば、磁場強度が強い領域は、カナダ東部・バイカル湖北部・南極大陸オーストラリア直下、の3箇所である事が分かります(磁北極直下は弱い!)、カナダ東部とバイカル湖北部はS極、南極大陸はN極の磁場です
これは基本中の基本観測情報、です
そしてESA(European Space Agency)さんのサイト
[Earth's ever-changing magnetic field - YouTube] より動画です
ESAは3基の衛星を使い地球磁場を観測しており(これをSWARMと言う)、その観測結果のひとつで、2014年の観測成果で、2014/06/23にアップされた動画
動画は2分27秒と少し長く無音声で、題名は「変化する地球の磁場」:
長いので、要所要所をスナップショットして行きます:
図1:1分9秒、Swarmから見た磁場強度2014年
青が弱く赤が強い、中央にインドネシアが見える
図2:1分37秒、そこでSingle Event Upsets(SEU)をお見せしますの図
SEUとは、シングル・ビット・エラーとも呼ばれる半導体メモリのエラー検出の事で、1ビットの値がひっくり返ってしまう現象、原因は外部から飛来するアルファ・パーティクル(陽子)でメモリの値が書き換えられてしまうエラー現象
地球右肩に薄っすらと3基の衛星Swarmが見えるが、Swarmのメモリ内SEU検出を行って、磁場の弱い青い領域でSEUが多数検出されている、と言いたい動画
中央上にインド亜大陸
図3:1分46秒、大西洋上を測定しているの図、中央に南米が見える、白ポチがSEU検出箇所
要するに圧倒的に青い磁場強度の弱い領域でSEU白ポチは検出されている
縦に見える白い線はSwarmの軌道、Swarmは南北方向に周回する衛星である
中央右に大西洋、左に南米大陸
図4:1分48秒、南米大陸上のSEU白ポチの図
図5:1分55秒、南米を抜けて太平洋に来ればSEU白ポチはほとんど検出されないの図
中央が太平洋、左上に日本列島
まとめ:
地球磁場強度の弱い領域で、圧倒的にSEUが検出される、特に南大西洋と南米大陸が顕著
SEUは太陽風の陽子が原因で発生する現象であり、磁場が弱い領域は太陽風に対して磁気シールドが効かない事を示しています
追記:2021/03/17 20:00
先頭の図(地表の磁場強度分布図)を更新しています
今までは2000年のバージョンでしたが、ESAさんに2020年版がありましたので、差し替えました
ESAさんのSwarm衛星による測定マップを見ますと、磁北極直下には「磁場強度の強い領域が見当たらない」ではなく「S極が分散して広がり、カナダ東部とバイカル湖北部に強い領域があり、磁北極直下には特に強い領域は見当たらない」という表現が適切であるように思えます
以上、お付き合い頂きまして、誠にありがとう御座いました
感謝です