3月度その18:地球磁極の不思議シリーズ➡その前に、太陽磁極の反転メカニズムを簡単に!
地球磁極の不思議シリーズ➡その前に、太陽磁極の反転メカニズムを簡単に!
本サイトのタイトルは「なぜ地球磁極は逆転するのか?」ですが、地磁気に関しましては定期的な更新対象にはしておりませんでした、理由は、定期的な記事とするには難しすぎたからです
そこでナントカ定期更新可能なテーマを見つけたい、と現在四苦八苦しております
本サイトのゴールは「なぜ地球磁極は逆転するのか?」ですが、その前に「太陽磁極の反転メカニズム」をごくごく簡単にまとめておきたいと思います、何故ならこれは大変参考になるからです
お付き合い頂ければ幸いです
まず基本情報として地球表面の磁場強度マップ2020年です
地表の磁場強度分布図(ESAより)青が弱く赤が強い
2020年の磁北極と磁南極(方位磁石が90°下を向く)をNOAAより緑丸で示す
マップを見れば、磁場強度が強い領域は、カナダ東部・バイカル湖北部・南極大陸オーストラリア直下、の3箇所である事が分かります(磁北極直下は弱い!)、カナダ東部とバイカル湖北部はS極、南極大陸はN極の磁場です
これは基本中の基本観測情報、です
太陽磁極反転に関しては幾つか動画サイトもあり、ポイントは対流層が形成する緯度方向の循環「子午面循環」なのですが、動画のシミュレーションを見ても、マズ分からない!
そこで、「太陽磁気流体力学・表面と内部とのダイナミックス」東京大学・横山央明さん他によるプレゼンテーション資料2012年8月@北海道支笏湖
https://www.gfd-dennou.org/seminars/gfdsemi/2012-08-19/02_yokoyama/pub-web/20120821_yokoyama.pdf
より抜粋させて頂く方が分かりやすいと思われ:
まず、太陽の内部構造ですが、
図1:太陽内部構造
太陽表面の彩層の下にあるのが対流層です
図2:1975-2010年 太陽表面の磁場強度推移(緑線とマジェンダ線コメントは私が挿入)
このように太陽表面では、黒点群が発生かつ増加し、その後ピークを経て黒点数は減少に転じ、黒点数ゼロの時に太陽両磁極が切り替わり、そしてこの時が太陽両磁極の磁場強度は最大となり、やがて再び黒点数が増加してゆく、これを約11年周期で繰り返すのである(この図はHathawayさんの実測値)
図3:対流層の上部表面に形成される極へ向かう流れの図
左の図は赤道を中心に高緯度ほど子午面還流の速度が大となる(または途中で飽和する)事を示す実測値、右の図は太陽内部へ向かって解析したシミュレーションによる循環図で表面の方が速度大である事を示す
この高緯度へ向かう流れに凍結された磁場が乗り、凍結された磁場はその時の極磁性とは反対磁性が支配的であり、凍結された磁場は極に蓄積され、やがて太陽の極磁性を反転させているのである
図4:輸送される凍結された磁場モデルによる太陽磁極反転のシミュレーション図
右の図は実測値であり、左の図がシミュレーション図で、よく一致している事が分かる
こうして、輸送される凍結した磁場モデルにより、今日では太陽11年周期の磁極反転は理解されるようになっている(これは電磁流体力学MHDの世界なのである)
図5:ここで再び太陽内部構造の図
図にコメントされているように太陽の対流セルはこんなに大きくなく綺麗でもなく、対流セルのシミュレーション動画を見ても理解しずらいのである(見てもマズ分からない)
ここで子午面還流とは、地球上の大気でもモチロン観測されており、
図6:[大気循環 - Wikipedia] より子午面還流の図
By commons.wikimedia
であって、緯度方向にコリオリの力によって傾きながら太陽の放射熱により大気を循環させている
冷却される加熱環境があれば、そして自転していればコリオリの力が加わって、子午面還流は発生するのである
さて:
地球コア外核では?
1.地球コア外核で太陽や地球に見られるほどの綺麗な子午面還流は期待しない方がイイと思うが、鉄流体であるコア外核においても少なくとも対流は仮定してもいいだろう、対流が生じているという事は熱循環が行われている、という事である、冷却機構を有している、という事である
2.最も重要なのが、地球コア外核も液体状態におけるプラズマ状態であり(太陽表層面のように)磁場の凍結が行われる、という仮定である
磁場の凍結はプラズマ状態でのみ形成される、からである
3.上記を仮定し、次に地球磁極の逆転モデルを考えてみよう
以上、お付き合い頂きまして、誠にありがとう御座いました
感謝です