なぜ地球磁極は逆転するのか?

太陽黒点数/オゾン全数/エルニーニョ/太陽活動と米国日本の地磁気変動を追います!

8月度その8:突然ですがシリーズ➡遠方銀河の見かけの距離と実際の距離とは?

突然ですがシリーズ ➡ 遠方銀河の見かけ上の距離と実際の距離とは?

 

突然ですが「突然ですがシリーズ」を始めたいと考えています、突然に閃いた題材についてまとめるものです、科学的なテーマに絞ります

初回は、遠方銀河を観測する際の「見かけの距離」と「実際の距離」についてです

 

 

お付き合い頂ければ幸いです

 

 

 

 

まず、Wikiから行きます・・・

遠方であればあるほど銀河は高速で遠ざかるとする [ハッブル=ルメートルの法則 - Wikipedia] とは:

を天体が我々から遠ざかる速さ(後退速度)、 を我々からその天体までの距離とすると、

となる。ここで比例定数 ハッブル定数 (Hubble constant) と呼ばれ、現在の宇宙の膨張速度を決める。

ハッブル定数は50km/s/Mpc〜100km/s/Mpcまでの間と不正確で定まっていないのである(Mpcとはメガパーセクの意味で、3.26光年の10の6乗の距離)

簡単のため仮に75km/s/Mpcとすれば、ハッブルの法則が言っている事は:

f:id:yoshihide-sugiura:20210815134221p:plain

と、いつか必ず光速を越えて銀河は地球から遠ざかる、と言っているのである

宇宙が等速(それは当然にして光速よりはるかに遅く)で膨張を続ける限り、かならず光速を越えて膨張する領域が遠方に出現する、と言っているのである

これは私にとって、そっか〜言われてみれば、、、でした!

ここで、

銀河の後退速度は銀河からの光のスペクトルの赤方偏移を調べることによって容易に決定できるが、距離の決定は、現在のところ、様々な算出方法を総合して割り出すしかないため、正確な値を求めることは困難である。そのためハッブル定数は不確かなものとなっている。

要するに、宇宙は加速膨張と減速を行い、常に等速拡大している訳ではないので、ハッブル定数は時間と供に変化し(これをハッブル定数は時間の関数である、と言う) コンスタントではない、従って実際の距離については宇宙の膨張を加味する必要がある、と言っている

観測時の後退速度からハッブル定数で算出した距離を「見かけの距離」、宇宙空間の膨張を加味した距離を「実際の距離」と称している(見かけの距離にしてもハッブル定数を幾つに取るかで違ってくるのだが)

 

 

さて:

銀河の後退速度は銀河からの光のスペクトルの赤方偏移を調べることによって容易に決定できる

の容易に求まるとされる「スペクトルの赤方偏移」である

 

スペクトルとは単に波動を振動数・周波数に展開して表示するものである

水素がエネルギーを受けて発光する光の部分スペクトルである [バルマー系列 - Wikipedia] は:

By Merikanto : 水素の輝線スペクトル。4本の輝線は右から、Hα線(赤)、Hβ線、Hγ線(青)、Hδ線(紫)である。(左が短波長で右が長波長)

恒星のスペクトルであれば [スペクトル - Wikipedia] より

恒星は中心部の核融合反応で輝くガス球であり、その分光学的性質はほぼ黒体に近い。そのため、恒星のスペクトルは大雑把にはその表面温度の黒体放射に対応する連続スペクトルとなっており、その中に恒星大気中の原子や分子による吸収線スペクトルが見られる。太陽も恒星の一つであるから、そのスペクトルには吸収線が見られる。この吸収線は発見者の名前をとってフラウンホーファー線と呼ばれている。

 

ここで [赤方偏移 - Wikipedia] より

赤方偏移とは遠方の天体から到来する電磁波の波長が、ドップラー効果によって長くなる(可視光で言うと赤くなる)現象をいう。

赤方偏移による波長のずれは、天体スペクトルのフラウンホーファー線を観察することによって調べることができる。

By Georg Wiora (Dr. Schorsch):太陽光のスペクトル(左)と比べ、遠方の銀河の光のスペクトル(右)は、フラウンホーファー線がより長波長側(赤い方)にずれている。

 

 

遠方銀河の具体例を挙げれば:

超遠方銀河の例である [UDFj-39546284 - Wikipedia] は、

UDFj-39546284は、ろ座の方向にある極めて遠方に存在する天体である。最も遠い天体である可能性がある。

であって、

UDFj-39546284の地球からの見かけの距離は 133億6,900万光年であるが、実際には宇宙が膨張しているために、実際の距離は316億7,400万光年である。

また、UDFj-39546284 の後退速度は、地球から見れば 29万5,133 km/sと光速の98.5%もの速度で遠ざかっている。しかし、実際には空間の膨張も加算されるため、実際の後退速度は65万2,330 km/sとなる

何と距離だけでなく後退速度についても見かけ(観測上の値)と実際(宇宙膨張を加味した値)があったのでした!

尚、この観測例ではハッブル定数として67.15km/s/Mpcを使っている

ここで、

赤方偏移が z = 10 を超える領域から遠方に存在する天体は UDFj-39546284 やGN-z11(z = 11.09)、MACS0647-JD(z = 10.7)など僅かしか知られておらず、これほど遠方にある天体の詳細な特性などについては未だに謎に包まれている

だそうです

 

 

所で、実際の遠方銀河の後退速度の測定には:

[予測よりも速い宇宙の膨張速度 - アストロアーツ] さんより図が示されており、

[Three steps to the Hubble constant | ESA/Hubble]

Three steps to the Hubble constant

Credit : NASA, ESA, A. Feild (STScI), and A. Riess (STScI/JHU)

ハッブル定数を求めるための3ステップの説明図。天の川銀河の中(太陽系の近く)はケフェイド変光星とその視差、近傍銀河はケフェイド変光星とIa型超新星遠方銀河はIa型超新星を用いて測定

Ia型超新星のスペクトル赤方偏移を用いるそうです、が、これも追えば色々と出てきそうです(別の機会に譲ります)

 

 

まとめ:

1.遠方銀河の後退速度を観測し宇宙の等速膨張を仮定すれば「見かけの距離」が出るが、実際には宇宙は等速膨張ではなく加速と減速があるので(現在は加速の時代)その効果を加味した値が「実際の距離」となる(実際にはかなり大きくなる)

2.これは後退速度そのものにも言えて、観測した値より実際の後退速度はかなり大きくなる(当然、光速よりかなり大となる!)

3.約130億年前に後退しながらピカリと放った光を観測している訳で、その後の130億年の間に宇宙は膨張しており、このような結果となるのである

 

 

 

以上、お付き合い頂き、誠にありがとう御座いました

感謝です