4月度その12 世界の北方磁場強度シリーズ ➡ ツーソンTUCの地磁気変動3年間を調べ、foF2値マップを取り、GOES-17Wとの波形3日間を比較する!
世界の北方磁場強度シリーズ ➡ ツーソンTUCの地磁気変動3年間を調べ、foF2値マップを取り、GOES-17Wとの波形3日間を比較する!
世界各地の北方磁場強度測定の再開です、今回はツーソンTUCです
TUCから比較GOES衛星はG17Wとなります
TUCは北緯32.2°と中緯度ですが低緯度との境界に近く、不安定(複雑)な動きをします
お付き合い頂ければ幸いです
まず、電離圏とバンアレン帯です
図a:電離圏とfoF2とは「電離層(Isonosphere)について解説」さんより:
Y軸は磁気赤道上空と思われます(但しブログ追加のGOES衛星は地軸赤道上空)
南緯30度西経60度を中心とするブラジル磁気異常では、地磁気が弱く内帯の端は高度200km程度まで降下しています
これより太陽に向かって上空ですと約9万kmの所に太陽風と地球磁気圏のぶつかり合うバウショック、約38万kmに月、約150万kmのラグランジュL1ポイントではDSCOVER衛星が太陽風を観測しています
ここから本文です
1.世界観測点マップと磁気赤道上の磁力線高度マップです
まず、世界まとめマップから全体の位置関係の把握です
図1:世界観測点マップ
中央横の緑ドットラインが、磁気赤道_2021です
図2:各観測点の磁気赤道上の磁力線高度マップ
高度300kmにF2層、高度2,000kmにバンアレン陽子帯、3,000kmに電子帯(図bより)
2.ツーソンTUC3年間の北方地磁気変動と最大値最小値カウントグラフとfoF2値マップです
観測期間は、2019年4月2日から2022年3月31日の3年(365x3日)です
図3:
Y軸はピッチ100nT、縦幅全体で500nTに揃えています
このグラフに表示された有効日データのみを使って24時間の最小値・最大値出現時刻と回数の統計グラフをとると、
図4:
凡例にあります「● ピーク数=2+4」は:
第1ピークはシアンでかつその他一つあり、第2ピークはマジェンダでかつその他三つある、を意味しています(合計でピーク数は6)
ピーク定義は、平均値を少なくとも2h連続して超えるパターンであって、かつ1hでも平均値を下回ればそのピークは脱出した、としています
今回、カウントグラフではZeroカウント位置を示しています
TUCでは、マジェンダがゼロになる時間帯はないのですが、シアンがゼロになる時間帯が3時間連続している特徴があります
第1ピークのシアンLT8.6時台の中央値LT9.1時におけるfoF2値マップです
図5:第1ピーク・シアン4月10日16:30UTにおけるfoF2値マップ
TUCの磁力線高度は1,380kmであり、foF2層(300km)の影響は弱まる、と考えております
第2ピークのマジェンダLT15.6時台の中央値LT16.1時におけるfoF2値マップです
図6:第2ピーク・マジェンダ4月10日23:30UTにおけるfoF2値マップ
ゼロ検出帯はシアンで3時間あり、中央値シアンゼロ検出LT4.6時台の中央値LT5.1時におけるfoF2値マップです
図7:マジェンダゼロ検出の4月10日12:30UTにおけるfoF2値マップ
3.ツーソンTUCとGOES17Wの波形3日間とFFT結果です
ツーソンTUCがオレンジ、G17Wがシアンです、平穏時3日間の波形です
図8:4月2日00時00分〜4日23時59分(UT)両観測点の波形
G17WとTUCは同相とも逆相とも言い難い所です
この3日間で見る限り、TUCの変動幅は少ない(弱い)です
図8の波形よりG17WのパワーFFTスペクトルを取ると、
図9:
G16EでもG17Wでも、ほとんどのエネルギーが周期24hに集中します
一方、図8の波形よりツーソンTUCのパワーFFTスペクトルを取ると、
図10:
72h成分が極めて強く出ました、12hも強く、24hが最も弱い結果となりました
中間のまとめ:
1.ツーソンTUCは24hカウントグラフ図4で"ピーク数=2+4"と複雑な動作をしており、3日間波形グラフ図8でも複雑な波形をしています
2.波形グラフ図8で複雑という事は、72hで一回のランダムな動作が多い事であり、図10のパワーFFTスペクトルで72h成分が最大となっています
3.第1ピークがシアンとなる中緯度で、最小値シアンを形成する(即ち北方磁場強度を減衰させる)要因はプラズマのジャイロ運動である、と考えております
尚、地磁気データはINTERMAGNETさん [The INTERMAGNET Vision and Mission] 経由で各地磁気データを世界の各観測点さんからダウンロード、
GOESデータはNOAAさん [GOES Magnetometer | NOAA / NWS Space Weather Prediction Center] からダウンロード、
foF2世界マップはオーストラリア政府Space Weather Serviceさん [SWS - Global HF - Ionospheric Map] からスクショしています
ここに皆々さま方に深く感謝申し上げます
以上、お付き合い頂き、誠にありがとう御座いました
感謝です!