5月度その7 世界の北方磁場強度シリーズ ➡ ベイセントルイスBSLの地磁気変動3年間を調べ、foF2値マップを取り、GOES-16Eとの波形3日間を比較する!
世界の北方磁場強度シリーズ ➡ ベイセントルイスBSLの地磁気変動3年間を調べ、foF2値マップを取り、GOES-16Eとの波形3日間を比較する!
世界各地の北方磁場強度測定です、今回はベイセントルイスBSLです
foF2値マップは磁力線高度2,000km以下の地点についてのみ示しています、ベイセントルイスBSL高度1,370kmはこれに該当します
お付き合い頂ければ幸いです
まず、オゾン層と電離圏とバンアレン帯です
図a:成層圏オゾン層 [気象庁 | オゾン層とは]さんより
オゾン分布ピークは高度20〜30kmに当ります
図b:電離圏 [ユーザーガイド | 電離圏 | 宇宙天気予報] さんより:
密度X軸はLogスケールである事に注意!
Y軸は磁気赤道上空と思われます(但しブログ追加のGOES衛星は地軸赤道上空)
南緯30度西経60度を中心とするブラジル磁気異常では、地磁気が弱く内帯の端は高度200km程度まで降下しています
これより太陽に向かって上空ですと約9万kmの所に太陽風と地球磁気圏のぶつかり合うバウショック、約38万kmに月、約150万kmのラグランジュL1ポイントではDSCOVER衛星が太陽風を観測しています
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1.世界観測点マップと磁気赤道上の磁力線高度マップです
まず、世界まとめマップから全体の位置関係の把握です
図1:世界観測点マップ
中央横の緑ドットラインが、磁気赤道_2021です
図2:各観測点の磁気赤道上の磁力線高度マップ
高度300kmにF2層、高度2,000kmにバンアレン内帯陽子ベルト、3,000kmに電子ベルト(図cより)
2.ベイセントルイスBSL3年間の北方地磁気変動と最大値最小値カウントグラフとfoF2値マップです
観測期間は、2019年5月2日から2022年4月30日の3年(365x3日)です
図3:
Y軸はピッチ100nT、縦幅全体で500nTに揃えています
このグラフに表示された有効日データのみを使って24時間の最小値・最大値出現時刻と回数の統計グラフをとると、
図4:
凡例にあります「● ピーク数=2+2」は:
第1ピークはシアンでシアンピークは他も含めて2ヶ所あり、第2ピークはマジェンダでこれも2ヶ所ピークがある(合計でピーク数は4)
ピーク定義は、平均値を少なくとも2h連続して超えるパターンであって、かつ1hでも平均値を下回ればそのピークは脱出した、としています
「● ピーク数=1+2」が中緯度の特徴ですが、BSLでは「● ピーク数=2+2」となります、BSLの北緯30.4°が低緯度から中緯度への移り変わりポイントで、過渡的な動きをしているものと思われます(第1シアンピークがLT8時台である事も、それを示しています)
BSLではゼロカウントがシアンでのみ検出されています
FRDではシアンとマジェンダにゼロカウント検出、OTTではゼロカウントは検出されず、でした
foF2値マップを提示します、まずシアン第1ピーク
図5:第1ピークシアンのLT8時台中央値LT8.5時に相当する14.5UT
図4を見れば分かるように、本来はマジェンダが伸びる時間帯をシアンが食ってしまってシアン第1ピークになった、と解釈しています
マジェンダが延びる原因は成層圏のオゾンによる磁気濃縮で、シアンが延びる原因は電離圏F2層のジャイロ運動だろう、と考えております
今回は図4でマジェンダが凸となるLT23時台についてfoF2値マップを取ります
図6:マジェンダ凸LT23時台中央値LT23.5時に相当する5.5UT
図4におけるBSL23.5LT時にマジェンダ凸ポイントですから、ピーク定義を満たす迄には至りませんが、12h潮汐で最大値マジェンダが検出されやすくなる時間である、と見えます
高度が高々50km程度の成層圏(図a)におけるオゾン層は12h振動しない(昼間の24h振動のみ)もしくはBSLにオゾン層は強く影響を与えないと考えており、ここで磁力線高度1,370kmのBSL23.5LT時にマジェンダ凸となる原因を次に考える必要が出てきます
マジェンダなので、磁気濃縮を考えなければならない点が難しいのです
3.G16EとベイセントルイスBSLの波形3日間とFFT結果です
ベイセントルイスBSLがオレンジ、G16Eはシアンです
図7:
やはり逆相です
図4でマジェンダゼロ時間帯は検出されず、シアンの2ヶ所に比べマジェンダは分散していますが、それは図7のオレンジBSL波形を見れば分かります
即ち、BSL波形は上に凹字型をしており、少しでも大なる値があれば最大値となる訳で、分散するのです
図7の波形よりG16EのパワーFFTスペクトルを取ると、
図8:
GOESでは常に24h成分が強力に強く出ます、GOESの24hカウントグラフで第1ピークがマジェンダなので凡例に●を示します
図7よりベイセントルイスBSLのパワーFFTスペクトルを取ると、
図9:
24h成分がトップです、強度比は 24h>72h>12h です
12h成分がそれなりにある事は、12h潮汐振動の存在を示しています
72hが12hより強いのは、この3日間の偶然か、BSL観測点が不安定である特徴か、1年間を通じて測定しなければ分かりません
中間のまとめ:
1.ゼロカウントのグラフも世界まとめマップで挙げる必要性を感じますが、シアンゼロとマジェンダゼロもあり、どうまとめるかが問題で、来月以降に回します
2.ベイセントルイスBSLにおけるシアン第1ピークの原因を電離圏F2層の電子ジャイロ運動による磁場強度の減衰効果、と見ているのですが:
・電子と同数あると考えられるイオンはどう作用しているのか?
があります
中緯度においては必ずシアンが第1ピークとなり、時間帯も午前中であり(HON除く)、その原因(電子ジャイロ運動)の裏付けを集める必要があります
尚、地磁気データはINTERMAGNETさん [The INTERMAGNET Vision and Mission] 経由で各地磁気データを世界の各観測点さんからダウンロード、
GOESデータはNOAAさん [GOES Magnetometer | NOAA / NWS Space Weather Prediction Center] からダウンロード、
foF2世界マップはオーストラリア政府Space Weather Serviceさん [SWS - Global HF - Ionospheric Map] からスクショしています
ここに皆々さま方に深く感謝申し上げます
以上、お付き合い頂き、誠にありがとう御座いました
感謝です!