なぜ地球磁極は逆転するのか?

太陽黒点数/オゾン全数/エルニーニョ/太陽活動と米国日本の地磁気変動を追います!

1月度その17 世界の北方磁場強度シリーズ ➡ 修正:フレデリックFRDの北方磁場_最小値を定量分析する!

フレデリックFRDにおける北方磁場_最小値(ダウンシュート・スパイク)定量分析を修正します

前回のFRD記事に比べ、磁力線方向長さx1m高さの長方形を導入した(修正した)モデルを採用しています

生じていた疑問は:

ΔE / E = VΔi / Vi = Δi / i = ΔB / B は正しいのか?でした

Eとして上記長方形を横切る全電子数のエネルギー(単位MeV)を用いており、Bとして則地における磁束密度を用いており、果してEとBは比例関係にあるのか?自信がありませんでした

ここでBの原因は地球磁気双極子が地球外部に作り出す磁力線に伴う磁束密度であり、Eは回転する地球磁気双極子が地球外部に作り出す電場に引かれて電子が移動し電流となった結果であり、両者は同じ地球磁気双極子を原因としており、かつ半径同じにある所から比例関係にあると言える、と判断致しました

疑問終わり

 

尚、宇宙の徒然を語るブロガー・マサキリオ(id:ballooon)同志がJAEAさんバンアレン帯グラフに私の説明文を入れて下さり、とても見やすくなっています(図5です)

同志はグラフや写真や絵の創作に長じておられ、プロの方なのか?と思っています

 

お付き合い頂ければ幸いです

 

 

1.観測点マップとフィレデリックFRDのBとΔB観測値

図1:世界観測点マップ

中央横の緑ドットラインが、磁気赤道_2021です

 

図2:2020年1月2日から2022年12月31日の3年(365x3日)変動

Y軸はピッチ100nT、縦幅全体で500nT

ここで、FRDの磁束密度Bは 2022.12.31中央値を取り、

B = 21,280nT

とします

 

図3:G16(シアン)とFRD(オレンジ)、2023年1月5日〜7日の3日間波形

1月6日(2日目)のLT11.3時台よりダウンシュート値ΔBを、

ΔB = -50nT

とします(比例計算ではマイナスを外します)

従って、ΔB / B = 2.35x10^-3 となります

 

2.FRD磁力線を横切る全電子数を求める

図4:各観測点の磁気赤道上の磁力線高度マップ

FRD磁力線は、オゾン層・F/F2電離層・バンアレン内帯陽子電子ベルトを通過します

ここで、バンアレン内帯の陽子ベルトは電子ベルトと被っています

上図4のバンアレン帯は概略で、より詳細には:

図5:日本原子力機構JAEAさん [電子、陽子(バンアレン帯)のエネルギー別線量分布] より

となります(色付き説明文はブログ側で挿入)

図5は私にとって以下の2点で衝撃的でした

・高度2,000km近辺では陽子ベルトと電子ベルトが完全に被っている、陽子は東から西、電子は西から東へ移動しており、完全にプラズマ状態である

よく正面衝突合体して水素にならないものだ、と思います

バンアレン帯は内帯外帯を通じて電子リッチなベルトである事

私はバンアレン帯は電気的に中性なのだろう、と思っていました

さて、FRDに着地する磁力線パターンを調べます

図6:

FRD磁力線は、単位面積当り・単位時間当りの粒子数として、図5の高度2,000kmより少し下の1,500km近辺におけるエネルギーをEe=0.8MeVとみなした電子線束密度 4x10^10個/cm^2日をm^2secに換算した値を(エイヤ〜!っと)長さ750km高さ1mで続くとして、長方形 750kmx1m を横切る全電子数は秒当り:

750x10^3 x 4x10^10 x 10^4/24x60x60 = 3.4x10^15 個/sec ・・・(1)

となり、かなりラフに求めた結果ですが、これを使う事とします

図解しますと、

図7:

まず、測地(この場合はFRD)においては、磁束密度BとLT11.3時台の減衰量ΔBを測定しています

一方、この磁力線南北750km高さ1mの長方形を西から東へ横切る全電子数は、秒当りの個数で3.4x10^15個であり、この全電子の持つエネルギーが全エネルギーE(単位MeV)となり、全電子の流れが全電流 ie(単位A) となる、というモデルです

この際、東西方向1m幅の電位差(電圧の事です)を V としています

 

3.動作原理と定量分析

1.バンアレン帯で電子は、地球磁力線の周囲をジャイロ運動(円運動)しています

このジャイロ運動がジャイロ中心に作り出す磁場は、地球磁力線を弱める方向となります

ここに太陽光が差し込むと、電子は太陽光エネルギーを吸収し、等価的に電流値を増やし、地球磁力線をより弱める方向に作用します

陽子も同じ動作をしますが、図5より圧倒的に個数の多い電子のみに絞って定量分析します

 

2. [ジャイロ運動 | 天文学辞典] より:

荷電粒子が磁場に巻きつきながら移動する運動。強さ B の一様磁場の場合、 この運動は磁場方向に自由に運動し、磁場と垂直な面ではcgsガウス単位系を用いると周波数 \Omega_c=eB/mcSI単位系では\Omega_c=eB/m)の円運動となる。

この周波数をジャイロ周波数といい、円運動の半径 r_g=v_\bot/\Omega_c をジャイロ半径という。 ここで v_\bot は磁場と直交する速度成分。正の電荷を持つイオンは磁場方向から見て時計回り(右巻き)、電子は反時計回り(左巻き)に運動し、それによってつくられる電流は背景磁場を弱める方向となる。

なのですが、上記の難しい式は一切使わずに、比例配分で分析します

ジャイロ半径 r を流れる電子円電流 ic が中心に作る磁場 H は、H = ic / 2r であり、B = χH であるから、太陽光による磁束密度_変動分 ΔB と太陽光による円電流_変動分 Δi が作る変動分の比例関係式は:

ΔB / B = Δi / i

ΔB / B = 50 / 21280 = 2.35 x 10^-3 = Δi / i  ・・・(2)

即ち、太陽光が長さ750km高さ1mの長方形に作用し電子を励起させた電流値変動比率は磁束密度変動比率と同じであり、 2.35 x 10^-3 である、となります

 

3.太陽光エネルギーですが [太陽光 - Wikipedia] より

図8:地球軌道上での太陽光(AM0)、および温帯の地上での平均的太陽光スペクトルの概形(AM1.5G)

太陽光として太陽から放出された光は、地球軌道付近で約1.37kW/m2(太陽定数)のエネルギーを持つ。光子の数にして1平方メートル・秒あたり6×1021個以上になる。 

光子数は電子数に比べ十分なので、太陽定数1.37kW/m^2のどれくらいが1平方メートル・秒あたり吸収され電子が励起されるとすればツジツマが合うか、を調べます

太陽光吸収による変動エネルギーをΔEとし、全電子流による定常エネルギーをEとすれば、円電流にかかる電圧をVとし印加電圧は変動部分も定常部分も同じであるとし(2)式も用いて、

ΔE / E = VΔi / Vi = Δi / i = ΔB / B = 2.35x10^-3 ・・・(3)

まず図5より E を求めると、1eV = 1.602 x 10^-19 J だから(1)式を使い、この高度では平均電子エネルギーを0.8MeVとしていますから、

E = 3.4x10^15 x 0.8x10^6 x 1.602x10^-19 = 4.36x10^2 J

従って、ΔEを求めると:

ΔE = 1.02 J

一方、太陽定数が750kmに渡って及ぼすΔEを1.02とするにはどれくらい太陽光が吸収されればよいか係数Nで計算すると、1W = 1J/sec で

ΔE = 1.37x10^3 x 750x10^3 x N = 1.02 J

から、N = 9.93 x 10^-10

これは750kmに渡る係数なので、1m当りの係数は 1.3x10^-15 となり、

太陽定数_平方メートル当り1.37kW/m^2の 1.3x10^-15 がジャイロ運動する電子に吸収されエネルギー変換されれば-50nTダウンシュートの説明が付く、となります

 

考察:

このモデルには二つの仮定が導入されています

1.仮定その1として、ジャイロ運動するバンアレン帯の電子は太陽光を連続的に吸収し運動エネルギーを高め、昼間に地球磁力線を瞬間的に弱める作用をする

これに関しましては、これからゆっくり調べます

2.仮定その2として、太陽光による変動電流とバンアレン帯の定常電流にかかる1m当りの電圧Vは同じであり、比例式にて消去できる

結果として:

ΔE / E = VΔi / Vi = Δi / i = ΔB / B           ・・・(3)より

が成り立つ、があります

これは本当に正しいのか?ΔE / E = ΔB / B は成り立つのか?ですが、現時点では冒頭でも述べましたように、正しいと思われます

従って、磁力線方向(FRDでは750km、OTTでは1,000km)に渡ってΔEについてもEについても加算する必要があります

 

そして、モデル定量分析の結果と考察です

1m平方当りの太陽定数(エネルギー)吸収係数:FRD ➡ 1.3x10^-15

1m平方当りの太陽定数(エネルギー)吸収係数:OTT ➡ 1.9x10^-15

OTT吸収係数 / FRD吸収係数 = 1.46 とOTTの方が大であるのは、OTT磁力線の方がより高高度にあるから、と考えられます

両者の磁力線高度差は約850kmであり、より高高度のOTTが高エネルギー太陽光が多いので、より多く吸収し、FRD高度では高エネルギー太陽光が少なくなっているからです

従って、バンアレン帯は少なくとも深さ10,000kmは続いていますから(図5)OTT吸収係数が10,000km続いたとして計算した連続係数は 1.9x10^-8 程度になります

あとは、高エネルギー太陽光をX線に限定した時どれくらいの光子数が吸収されるのか、吸収光子数に着目した分析が有りますが、仮定1と関連させてこれからゆっくり調べます

加えて、このモデルでは磁束密度LT11時台のダウンシュート原因を太陽光としていますが、太陽風である可能性も残っています

 

尚、FRDに関する旧記事「1月度その15」は間違っていましたので、削除致します

 

 

コメントバック:

リオ同志(id:ballooon)!

超お忙しい中でのコメント、誠にありがとう御座います、感謝です

 

>磁力線南北、FRD750km、OTT1,000km
>それぞれの長さが違うのはなぜですか?

これですが、各々磁力線パターンの長さが違うからでOTT>FRDだからです

FRD図6では高さ2,150kmのパターンですが、対応するOTT図6では高さ3,035kmであり、OTTの方が長いのです

理由はOTTの方がFRDより高緯度に位置するからです

従って、FRDより約850km高高度にあるOTTの方がより強い太陽光を受ける、のでOTTの方がより多く太陽光を吸収する、という訳です

これは吸収する(ジャイロ運動を励起できる)太陽光はX線等の高エネルギー太陽光に限られているからでは?と考えています

 

以上でした

コメバック終わり

 

 

尚、地磁気データはINTERMAGNETさん [The INTERMAGNET Vision and Mission] 経由で各地磁気データを世界の各観測点さんからダウンロード、

GOESデータはNOAAさん [GOES Magnetometer | NOAA / NWS Space Weather Prediction Center] からダウンロードしています

ここに皆々さま方に深く感謝申し上げます

 

 

以上、お付き合い頂き、誠にありがとう御座いました

感謝です