6月度その5:オゾン全量シリーズ ➡ 何故オゾンが重要なのか、それはオーロラ発生に寄与するからであり、ここでまとめておこう
ここでエルニーニョ速報が気象庁さんから発表されるのは6月10日でしょうから、何故オゾンが重要なのか・・・それはオゾンがオーロラ発生に寄与しているからであり、ここでオゾンがオーロラ発生に寄与するメカニズム、をまとめておきます
以前2022年5月17日の記事で、オゾン分子の常磁性についてまとめております
5月度その20 世界の北方磁場強度シリーズ ➡ オゾン分子の常磁性を調べる! - なぜ地球磁極は逆転するのか?
今回は、これを再度まとめ直したいと考えております
お付き合い頂ければ幸いです
1.酸素不対電子とオゾン共鳴状態
[活性酸素とは?おっさんhobby] が分かりやすかったので、不対電子についてここから引用させて頂きますと:
酸素原子は図のように8個の電子を持ち最外殻のL殻に対(ペア)にならない不対電子が2個存在します。
図1:酸素原子と2個の不対電子(黒丸)
L殻は8個の電子が入り得る軌道ですが、酸素原子はL殻に6個の電子しかありません、そして電子はスピンペアで対になってシートに入ります
この場合、(●,●)(●,●)と入って(●,○)(●,○)となります
4個目5個目の電子が(●,●)とならずに(●,○)が2個となるのは、その方がエネルギー準位が低い(安定しているという事)からです
ですが、ここにシートをペアで埋めず単独で入る「不対電子」が2個生成されます
気体では酸素原子は単独で存在はせず2個の原子が互いの不対電子を共有して共有結合した酸素分子として存在します。酸素分子の状態では下図のように2個の不対電子(図の灰色の電子)を持ちます。
図2:酸素分子も2個の不対電子を有する(グレー丸)
なるほど、そういう事でしたか!
シートをペアで埋めず単独で入る電子は局所的不安定(偏在)するので、磁性を帯びる(常磁性)のでした
ではオゾン分子もそうか、というとそれがそうでもない
[Ozone - Wikipedia] によれば、オゾン分子は磁気モーメントを有する磁性体(棒磁石)であって、それは共鳴状態から来るのである
図3:共鳴状態にあるオゾン分子 by Ben Mills
共鳴状態、電荷マイナスが左右に振動、から形成され、オゾン分子も常磁性体でした!
そしてオゾン濃度分布マップが載っており、
図4:世界のオゾン濃度分布 2000年6月
高緯度で濃度大となります
2.バンアレン帯と陽子電子ジャイロ運動による磁場減衰
磁力線磁場の存在する空間に、運動する陽子電子が存在するとジャイロ運動を起こして背景磁場を減衰させます
ジャイロ運動 | 天文学辞典 によれば:
荷電粒子が磁場に巻きつきながら移動する運動。強さ
B の一様磁場の場合、 この運動は磁場方向に自由に運動し、磁場と垂直な面ではcgsガウス単位系を用いると周波数 Ω=eB/mc の円運動となる。 この周波数をジャイロ周波数といい、円運動の半径 r=VtΩをジャイロ半径という。 ここで Vt は磁場と直交する速度成分。正の電荷を持つイオンは磁場方向から見て時計回り(右巻き)、電子は反時計回り(左巻き)に運動し、それによってつくられる電流は背景磁場を弱める 方向となる。
ここで興味があるのは、カナダ北部に位置するオーロラゾーンです
図5:カナダ北方磁場強度の観測点
1日の北方磁場強度の最大値最小値を3年間測定すると、シアンで示された観測点はLT正午前に最小値ピークを示し、マジェンタで示された観測点は午後に最大値ピークを示すのです
カナダ北方磁場強度は今月これから観測アップさせますので、今しばらくお待ちください
ここでバンアレン帯の出番です!
ヴァン・アレン帯は地球を360度ドーナツ状にとりまいており、内帯と外帯との二層構造になっている。赤道付近が最も層が厚く、極軸付近は層が極めて薄い。内帯は赤道上高度2,000 - 5,000kmに位置する比較的小さな帯で、陽子が多い。外帯は10,000 - 20,000kmに位置する大きな帯で、電子が多い。
図6:バンアレン帯の2重構造
図6を見れば分かるように「赤道」といっても「磁気赤道」です「地軸赤道」ではなく
では、バンアレン帯の荷電粒子数はどれ位なのか?内帯と外帯の中間帯における荷電粒子数はどの程度なのか?がなかなか分からない!
数値として出ていたのが、
図7:バンアレン内帯と外帯の荷電粒子数と高度マップ
なのですが、出典が分からない、私のデータベースに格納されたのは2023年1月21日で、図7は私がどこかの出典元から引っ張って来た図を、宇宙の徒然を語るブロガー「マサキリオ」(id:ballooon)さんが(分かり難い、という事で)書き直して下さったモノです
リオさん:私の何時の記事か分かりますかネ?(みっともない質問で申し訳なし!)
図7を見ますと、高エネルギー荷電粒子は陽子であり、数が多い荷電粒子は電子であり、エイヤッと見積もれば、磁気赤道上高度約8x10^3km辺りに荷電粒子数xエネルギー中間帯のボトムが見えます(あくまでも概算です)
ではオゾン層のピークはと言うと、
図8:成層圏オゾン層 [気象庁 | オゾン層とは]さんより
オゾン分布ピークは高度20〜30km辺りにあります
結論:
長くなりました、結論をまとめます
1.オゾン分子は共鳴状態にある常磁性物質で、空間の磁力線磁場を強化させオーロラ発生に寄与する
2.荷電粒子たる陽子や電子は、ジャイロ運動により背景の空間磁場強度を減衰させる
3.バンアレン内帯と外帯の中間に位置する磁気赤道上高度約8x10^3kmの空間は、荷電粒子が周囲に比べ少ない空間と考えられ、ここを通過する磁力線磁場の減衰は最も少ない
4.一方、磁気赤道上約8x10^3空間を通過する磁力線が着地する北極サイドは図5で示されるオーロラゾーンであり、ここの高度20〜30km程度に存在するオゾン層は磁力線磁場を強化する方向に働き、オーロラゾーンにおけるオーロラ発生に寄与する
5.磁気赤道上高度約8x10^3程度の空間を通過する磁力線が北極オーロラゾーンに着地する、に関しては別途まとめさせて下さい
以上、お付き合い頂き、誠にありがとう御座いました
感謝です