6月度その11:北方磁場強度シリーズ ➡ GOES衛星観測と日本地上観測でまとめる!
さて、北方磁場強度の測定再開です
ここで北方磁場強度の測定とは、3年間に渡る地磁気強度北方成分の測定です
1日の最大値と最小値を検出し、これを3年間続けます
結果、3年間の最大値最小値の推移がグラフ化されます
また、3年間の最大値最小値が観測された時刻を覚え、これをヒストグラムに現し統計結果をグラフ化します
ここで何故、北方なのか?というと、その方が単純だからというのが一つの理由、もう一つは現在地球磁場強度は減衰しておりいずれ南北磁極は逆転するのではないか?と言われていますが、GOES衛星の測定結果を見ると今後数十年で逆転するのではないか?と思わせる結果が得られており、この辺りは是非フォローしてゆきたいと考えているからです
以上が北方磁場強度の測定内容ですが、3年間分単位の地磁気データ取得というと場所が限られます
カナダはこの6月からデータ取得できない状況です
アメリカは3日程度の分単位データであれば取得できますが、3年はとても無理です
GOES衛星は7日間のデータが開示され日々更新されています、アーカイブは無い状況ですが、私が週単位でデータダウンロードしパソコン上で連結させています
日本は3年間分単位のデータ取得が極めて簡単に出来ます、制限は前月末までの3年間なのですがリアルタイムの波形解析をするわけではないので特に問題ありません
というわけで、GOES衛星観測と日本地上観測で北方磁場強度シリーズの再開です
お付き合い頂けますよう、よろしくお願い申し上げます
まずGOES衛星からです
観測期間は2021年6月1日から2024年5月31日までの3年間です
図1:G16
マジェンタが一日の最大値、シアンが最小値、ブルーが平均値、オレンジラインが平均値の最小二乗法による直線近似
上に季節依存性を判断する為の季節バー、緑:春3-5、青:夏6-8、オレンジ:秋9-11、灰:冬12-2
有効日はグラフ内にプロットされた日数を示す
左側の空白はデータ蓄積を始めたのが約2年半前なので3年には届かない領域
右側の空白はブログ活動を停止していたこの半年の空白、再開は2024年5月30日からです
図2:G18
図1と図2のオレンジラインの減衰状況を見れば、百年などと言わずここ数十年でオレンジラインは磁場強度0nTラインと交わります
磁場強度0nTラインが南北磁場強度イーブンを示し、ここより下にオレンジラインが来れば南北磁場逆転となります!
図3:G16最大値最小値24hヒストグラム
最大ピークは最大値側マジェンタでLT11時頃に集中
第二ピークは最小値側シアンでLT21時頃に集中
図4:G18最大値最小値24hヒストグラム
最大ピークはマジェンタでLT10.9時頃に観測されます
第二ピークのシアンはLT22.9時頃に観測されます
GOES衛星高度35,768kmで何故LT11時頃に磁場強度最大を観測するのか、というと、まず周囲にプラズマ荷電粒子の少ない空間において真昼に太陽風の圧力により磁力線空間が圧縮され空間密度が上がり磁場強度が増大するからです
太陽風による圧縮といっても太陽風そのものがプラズマ流ですから周囲に荷電粒子が極めて少ない空間なのでしょう
それでは何故LT12時ではなくLT11時やLT10.9時に最大ピークを観測するのか?というと、それは分からない、あまり考えた事がありません!
まぁ強いて言えば、周囲に荷電粒子が少ないといっても太陽風が荷電粒子流ですから、LT11時を過ぎると太陽風による荷電粒子がGOES衛星周囲に蓄積されて磁場強度が減衰され始めるのでしょう
荷電粒子は磁力線周囲をジャイロ運動し背景磁場強度を減衰させる効果があります
日本の観測点に移ります
以下 https://www.kakioka-jma.go.jp/obsdata/metadata/ja/orders/new/kak_geomag_1-min? より
Kakioka Magnetic Observatory, 2013, Kakioka geomagnetic field 1-minute digital data in IAGA-2002 format [dataset], Kakioka Magnetic Observatory Digital Data Service, doi:10.48682/186bd.3f000
図5:柿岡KAK
3x365=1095日であるのに有効日が1096日と出ています、変ですね〜バグですね、今度調べておきます
柿岡の磁場強度は年々増大なのです
これはバイカル湖に、北方より強い磁極が近づきつつあるからです
図6:鹿屋KNY
鹿屋の北方磁場も増大です
図6:父島CBI
父島の最新データは2月迄で、期間は2021年3月1日から2024年2月28日までの3年となっています
父島の磁場強度も増大傾向です
図7:柿岡24hヒストグラム
最大ピークは最小値側シアンです、これが中緯度の特徴です
図8:鹿屋24hヒストグラム
鹿屋の24hヒストグラムも最小値シアン側が第1ピークで中緯度の特徴を示しています
図9:父島24hヒストグラム
最大ピークは最大値側マジェンタで、これこれ、これが低緯度の特徴なのです
これを示したくて父島CBIを選んだのです
アメリカUSGSのデータダウンロードは3日程度が限界である今、低緯度で3年間のデータがダウンロードでき第1ピークは最大値側マジェンタである事を示せるのは世界で父島CBIだけではないでしょうか?
貴重な存在だと思います
まとめ:
1.北方磁場強度シリーズが再開できました
2.各観測点の位置マップや磁力線高度を示すマップを作成する必要があります
バグも修正致します
3.北方磁場強度シリーズで最大の論点は:
・ GOES衛星では第1ピークがマジェンタ
・ オーロラ帯外側北部のリゾルートRESでは第1ピークはシアン
・ オーロラ帯内の観測点では第1ピークはマジェンタ
・ 中緯度観測点では第1ピークはシアン
・ 低緯度観測点では第1ピークはマジェンタ
と高高度から低高度に磁力線高度が下るに連れ第1ピークの色が変化するのです
もはや確認できない観測点も多いのですが、、、
4.3年間のデータダウンロードのチャンスが著しく低下していますので、今後本ブログのテクニカル中心は「磁気嵐シリーズ」に移ってゆくと思っております
以上、最後までお付き合い頂き誠にありがとう御座いました
深く感謝申し上げます m(_ _)m