なぜ地球磁極は逆転するのか?

太陽黒点数/オゾン全数/エルニーニョ/太陽活動と米国日本の地磁気変動を追います!

5月度その22:太陽磁極の逆転を追う ➡ MHDシミュレータ ➡ 磁気流体力学の基本を確認しておこう!【追記】アルヴェーン波存在の写真をアップ!

太陽磁極の逆転を追う ➡ MHDシミュレータ ➡ 磁気流体力学の基本を確認しておこう!【追記】アルヴェーン波存在の写真をアップ!

 

 という訳で、これは前から一度まとめておく必要がある、と思っていた事がありまして、それは Wiki [磁気流体力学 - Wikipedia] からなのですが、数式を一切使わないで書くと:

磁気流体力学の基本的アイデアは、電導性流体の中では流体の運動が磁場の変化をもたらして電流を誘起し、その電流と磁場との相互作用から流体への力を生じ、よって流体の運動自身が変化する、というものである。

という事なのですが、

磁気流体力学は1942に宇宙の諸現象研究の過程でハンス・アルヴェーンが発表した論文、すなわち今日アルヴェーン波として知られている磁場中電導性流体特有の波の存在を述べた論文から始まった。

アルヴェーンは「電磁流体力学の基礎研究、プラズマ物理学への応用」により1970年にノーベル物理学賞を受賞した。

とあり、ここで:

・ 流体の運動が磁場の変化をもたらして電流を誘起 これがファラデーの電磁誘導であり起電力が生ずる発電機ダイナモ

・ 電流と磁場との相互作用から流体への力 これがローレンツ

・ 流体の運動自身が変化 これが流体力学

となり、ここで:

対象とする物質は主に液体金属(水銀など)とプラズマである。

 という事で、太陽対流層はプラズマ状態なので磁気流体力学で表現でき:

そして基礎方程式として通常の流体力学の基礎方程式(ナビエ・ストークス方程式連続の式)と電磁場のマクスウェルの方程式とを組み合わせて用いる。

 ナビエ・ストークス方程式とは、運動量保存に対応する式である。

 連続の式とは、流体の連続表現で、原因もなく物質が突然現れたり消えたりすることはない事、を示す。

 マクスウェル方程式とは、電磁場を記述する4本の方程式で、ファラデーの電磁誘導やローレンツの力と磁場と電流の因果関係を含む。

そして:

非圧縮性流れ (incompressible flow) ρ = const. を仮定した場合、ナビエ–ストークス方程式は簡素化され、

流体の質量に加速度を掛けた流体にかかる力と、移流(対流)の力を足したものが、

流体の圧力拡散力外力を足したものに等しい、

という方程式が立てられる。

外力とは、重力をはじめ浮力・表面張力・電磁気力などが該当します。

非圧縮性流れでは、これに 速度の発散はゼロである条件を加えると、未知数と方程式数は一致して原理的には一般解を求める事が可能となりますが:

一般解が求まれば、流体の挙動を完全に知る事ができることになるが、未だに一般解は発見されていない。また、解の存在可能性についても明らかとはなっておらず、物理学と数学の両方に跨る重要な課題の一つとなっている。

加えて磁気流体力学では以下の仮定を行う:

 電気伝導度の極めてよい流体であるから、導体の電気力学に倣って変位電流を無視する。(変位電流と言われると私も戸惑うが、電束電流の事である。)

 ついで流体はほぼ中性とし、電荷を流体が運ぶことで生ずる対流電流は伝導電流と比較して小さいとして無視する。(何とプラズマ中の電子と陽イオンが運ぶ電流は無視するのである! プラズマは、極めて伝導度の高い非圧縮性の流体、として立ち振る舞う事にのみ役立っている、これは意外でした!)

 流体に及ぼす力は、磁場によるもの、のみとする。(電場の影響を無視)

この結果、有用な諸概念が得られる事になる:

 磁場には、圧力と張力がある。 圧迫する力と引っ張る力、の二種類が存在するという事。

 電気伝導度を無限大とする、理想MHDが成立する。(抵抗ゼロの事)

 磁力線と流体の凍り付きが成立する。 これは:

理想MHDのもとでは、ある点の磁力線はそこでの流体の速度で動く、すなわち磁力線は流体と一緒に動くとする扱いが許される。この現象を凍り付き(froze in)と言う。その結果、磁力線は流体により運ばれて時間とともに移動していく(対流)、もしくは磁力線は流体を凍り付かせて質量密度をもつ実体として運動する、という描像を画くことが出来る。

  アルヴェーン波が発生する。 これは:

磁力線は流体に凍り付いているから、単位断面積の磁力管を考えると、それは流体の糸と見なせ、流体の糸に発生する横波・アルヴェーン波が発生する。

など、です。

 

 

【追記】アルヴェーン波存在の写真をアップ!

JAXAさんから「ひので」成果発表です(2003年):

「ひので」は、磁力線上に発生した波をとらえることに初めて成功しました。ここで紹介する画像には、中央付近に太陽の縁が映っています。その上空には、水平方向に筋状にのびる雲のような構造を多数見ることができます。これは、コロナの中に浮かぶ低温のガスです。そのガスの運動を調べると、上下に波打っていることが明らかになりました。これは、「アルヴェーン波」と呼ばれる磁力線に沿って伝わる波を見ているのだと考えています。目に見えない磁力線が存在し、それが波によって揺さぶられているのを観測しているのです。この波の振幅は非常に小さいため、これまで見つけられませんでしたが、「ひので」の可視光磁場望遠鏡によって初めて発見されました。

http://www.jaxa.jp/article/special/astro/img/shimizu_photo01_big.jpg

Credit : JAXA

太陽縁上空のコロナ中に浮かぶ低温ガス。ガスが振動する様子からアルヴェーン波を初めてとらえた

 

 

最後までお読み頂きまして、誠にありがとう御座いました。

 

5月度その21:太陽磁極の逆転を追う ➡ MHDシミュレータ ➡ 一次元リーマンのダブルパルス応答!【追記】磁束Y成分を考察する!

太陽磁極の逆転を追う ➡ MHDシミュレータ ➡ 一次元リーマンのダブルパルス応答!【追記】磁束Y成分を考察する!

 

 という訳で、今度はダブルパルス入力について、一次元リーマン応答を見てみよう。

 

 圧力(Pressure)

f:id:yoshihide-sugiura:20190527164339g:plain

 

 密度(Density)

f:id:yoshihide-sugiura:20190527164412g:plain

  磁束Y成分(By)

f:id:yoshihide-sugiura:20190527164514g:plain

 

 という訳で、これも結果が正しいかどうか?チェックする必要がある。

どうやってチェックするのか? 不連続面と衝撃波の伝搬を詳しく調べてみる。

 

【追記】磁束Y成分を考察する!

 ここで上図から磁束のY成分Byについて考えてみる。 縦軸を見ると中央に0.0があり、上部がプラス値、下部がマイナス値となっている。 プラス値は、我々観測者にとって磁束が飛び出してくる方向で、これをN極とも言う。 マイナス値は、磁束が吸い込まれる方向で、S極とも言う。 ここで横軸X全体についてのプラス・マイナスを考えた時、その総和はゼロ、である。 磁束は途中で追加分が飛び出てもいけないし、過剰な吸い込みがあってもならず、出し入れの総和はキチッとゼロでなければならない。

しかし、横軸Xのgifを部分的に見れば、飛び出し優勢な領域と吸い込み優勢な領域とに分けられる。 これは、磁束がある時空間で分離したりマージされたりする動作を行なっている事を意味している。 ある部分的な時空間では、N極優勢、S極優勢、が生ずるのである。

 

 ここで太陽の黒点を見てみよう。 基本的には黒点は対で現れ、それはN極とS極である。 複数の黒点対が出現している、英文Wiki [Sunspot - Wikipedia] より多少複雑なケースを見ると(2011年):

Sunspots 1302 Sep 2011 by NASA.jpg Credit:NASA

である。

何だか、段々、面白くなってきました。

 

 

最後までお読み頂きまして、誠にありがとう御座いました。

 

5月度その20:太陽磁極の逆転を追う ➡ MHDシミュレータ ➡ 一次元リーマン問題を変形してみる!

太陽磁極の逆転を追う ➡ MHDシミュレータ ➡ 一次元リーマン問題を変形してみる!

 

 という訳で、そろそろ応用段階に入ろうか?と。 そこでまずビギナーとしては、一次元リーマン問題を変形してみよう。

即ち、オリジナルはステップ応答であるが、これをパルス応答にしてみる。 私としては、まずはこの辺りから踏み出さないと、fortranを理解するという点も含めて。

以下、パルス応答させたリーマン解の gif で、Pressure(圧力)、Density(密度)、By(磁束のY成分)です。

 

 以下、圧力 Pressure:

f:id:yoshihide-sugiura:20190527044024g:plain

 以下、密度 Density:

f:id:yoshihide-sugiura:20190527044049g:plain

 以下、磁束Y成分 By:

f:id:yoshihide-sugiura:20190527044108g:plain 

 これで正しいのかどうか?が、スグには分からない。 ステップ応答の結果と見比べてみよう。 

MHDでは、自分の結果が正しいのかどうかの確認検証をどうするのか?が常につきまとう、と思われます。

 

 

最後までお読み頂きまして、誠にありがとう御座いました。

 

5月度その19:太陽磁極の逆転を追う ➡ MHDシミュレータ ➡ psの意味が分かりました!

太陽磁極の逆転を追う ➡ MHDシミュレータ ➡ psの意味が分かりました!

 

 という訳で、OpenMHDのソース上でpsを追っていたら、psiと出てきて、ギリシャ文字のΨ(プサイ)でした。

 

 意味としては制限関数に使う様で、セル境界値を求める際にMUSCAL法という補完をするのですが、ここで振動しないように制限を掛ける関数の事、でした。

一次元のリーマン問題では出てきませんでしたが、二次元のKH不安定問題での登場(MUSCAL補完)です。

 

 これはこれで閉じているので、これにて終了させて頂きたく。

 

 

 

最後までお読み頂きまして、誠にありがとう御座いました。

 

5月度その18:太陽磁極の逆転を追う ➡ MHDシミュレータ ➡ ローレンツ力と電磁誘導から生ずる疑問!【追記】教科書を見てみる!

太陽磁極の逆転を追う ➡ MHDシミュレータ ➡ ローレンツ力と電磁誘導から生ずる疑問!【追記】教科書を見てみる!

 

 という訳で、今回はgifはチョットお休みで、ローレンツ力と電磁誘導を学び、そこから出てくる疑問を述べます。

 

 Wiki [ローレンツ力 - Wikipedia] によれば:

ローレンツは、電磁場中で運動する荷電粒子が受ける力のことである。

これは電流の発生によって導体に働く力が発生する現象を示している。

ここで、磁場によって生じる力のほうが大きい場合には電界による力を無視して、磁場の力だけをローレンツ力と言うことがある。

MHDがそうである。

 Fleming's Left Hand Rule.png

磁場の中を、電流が流れていれば、電流が流れている導体はローレンツ力を受け、その方向は「レミング左手の法則」で示され直交関係にある。

要するに、これはモーターである。

 

 一方、磁場内を運動する導体内に発生する起電力(電磁誘導)により流れる電流の向きを示すものとして「レミング右手の法則」がある。 発電機・ダイナモである。

Fleming's Right Hand Rule.png

Wiki [電磁誘導 - Wikipedia] によれば:

ファラデーは、閉じた経路に発生する起電力が、その経路によって囲われた任意の面を通過する磁束の変化率に比例することを発見した。すなわち、これは導体によって囲われた面を通過する磁束が変化した時、すべての閉回路には電流が流れることを意味する。これは、磁束の強さそれ自体が変化した場合であっても導体が移動した場合であっても適用される。

ここで、ローレンツ力を用いた電磁誘導の説明があって:

磁束密度Bが時間的に変化しないで、閉じた経路の形が変化する場合を考える。このとき電磁誘導の法則は、導体内の電子にはたらくローレンツ力で説明することができる。

としている。 即ち、

閉じた経路Cを考え、C上の電子が受けるローレンツ力を求めると、経路C上の起電力が求められ、経路Cが動くことによってCを貫く磁束が変化する磁束の変化率が求められ、起電力となる。

としている。 これは導体金属の電子が自由電子であり金属そのものは移動せず固定されている場合に成り立つように思える。 果たして、プラズマ内においても電子の方が陽イオンよりはるかに小さいので、同様の事が言えるのだろうか?プラズマは金属導体と考えてよいのだろうか?

 

 いずれにせよ、磁場内を導体電流が流れれば、その導体は左手の力を受け、磁場内を導体が移動すれば、導体には右手の電流が流れ、ここで磁場の方向と力を受ける方向&移動する方向を同一にすると、両者の電流方向は逆となる。

太陽のプラズマ状態においては、どちらも起きているのではなかろうか?

モータと発電機の混在を、どのようにして太陽磁場の発生と太陽電流の発生と逆転モデルとしているのであろうか?

これが、現在の私の疑問なのです。

 

 

【追記】教科書を見てみる!

ここで松本先生の教科書 [http://redmagic.i.hosei.ac.jp/~matsu/konan15/book.pdf] 77ページ以降を見てみると:

・ 電導抵抗はゼロの理想状態(IdealMHD,理想MHDと言う)を考え

・ ローレンツ力(左手)は運動量保存則に組み込まれる

・ ファラデー電磁誘導(右手)はエネルギー保存則に組み込まれる

・ こうして運動量保存則とエネルギー保存則を含む保存量の時間的変化は、X方向、Y方向、Z方向への数値流束の変化として結び付けられ、偏微分方程式を解いている

即ち、左手も右手も一式の偏微分方程式に組み込まれ、HLLD法による近似リーマン解をセル境界で解いてゆく事により、解が得られる

という事になる。

もはや左手と右手の同時成立のイメージを掴む事は、ここでは難しい。

右手は起電力なので発電機・ダイナモであるのが、ダイナモの具体的イメージを掴む事が難しくなっているように、私には思える。

太陽ダイナモとは何か?を問われたら、「MHDにおける保存量vs数値流束の偏微分波動方程式に組み込まれている磁束の時間変化分に対応するファラデーの電磁誘導項であり、太陽対流層におけるプラズマ状態には常に存在する」という事になります、現時点での私のレベルでは。

 

 

 

最後までお読み頂きまして、誠にありがとう御座いました。

 

5月度その17:太陽磁極の逆転を追う ➡ MHDシミュレータ ➡ まずは二次元KH不安定問題の密度・gif解を得る!【追記】圧力・gif解も追加してみる!【追記2】Bz・gif解も追加してみる!【追記3】psの意味が分かりました!

太陽磁極の逆転を追う ➡ MHDシミュレータ ➡ まずは二次元KH不安定問題の密度・gif解を得る!【追記】圧力・gif解も追加してみる!【追記2】Bz・gif解も追加してみる!【追記3】psの意味が分かりました!

 

 という訳で、まず二次元の入り口として、OpenMHDに内蔵されている二次元KH不安定例題の密度ρの解をgif化してみる。

 

KH不安定とは、Wiki [ケルビン・ヘルムホルツ不安定性 - Wikipedia] より:

ケルビンヘルムホルツ不安定性とは、流体力学上の概念で、層を成しており各層ごとに密度の異なる流体が、お互いに異なる速度で水平運動するときに発生する、流体の不安定である。

という事で、OpenMHDのKH不安定性例題でも、横軸を距離X、縦軸を距離Yとした密度ρの分布例題が入っている。

f:id:yoshihide-sugiura:20190524011137g:plain

Y軸ゼロをセンターとしてプラス側に高密度、マイナス側に低密度、を設定しており、高密度は最高1.0、低密度は最低0.2程度に設定しているように見える。

Y軸ゼロの上下は、急激に密度を変化させる初期条件のように見える。

 

 ここで、ソースを見ると:

密度ρ、圧力p、速度v、磁束B、の他、psが表示可能となっている。

psって何だ?......それをこれから調べなといけない。

 

【追記】圧力・gif解も追加してみる!

 という訳で、圧力のgifも作成してみた:

f:id:yoshihide-sugiura:20190524145803g:plain

横軸が距離X、縦軸が距離Y、であるのは同じだが、表示は圧力pである。 ほとんどが0.14辺りの赤を示しているのが、これで正しいのかどうか、現在の自分には分からない。

圧力は本来ベクトルだが、ここではベクトル長(圧力の大きさ、スカラー)を示しているので、ほとんどが0.14辺りなのだろう。 そして、矢印が流速だろう。 二次元流体問題におけるグラフ表示に慣れる必要があるかな。

 

【追記2】Bz・gif解も追加してみる!

以下のごとくとなった:

f:id:yoshihide-sugiura:20190524205252g:plain

値はほとんどの領域で1.0だろう。 ちなみに、Bx、By、はともに真っ白だったのでゼロであろう。

psも意味は分からないがgif化したら、やはり真っ白になった、ゼロだろう。

本記事はこれにて終了、です。

 

【追記3】psの意味が分かりました!

 追記3: 2019_05_26 15:54

 

 OpenMHDのソース上でpsを追っていたら、psiと出てきて、ギリシャ文字のΨ(プサイ)でした。

 

 意味としては制限関数に使う様で、セル境界値を求める際にMUSCAL法という補完をするのですが、ここで振動しないように制限を掛ける関数の事、でした。

一次元のリーマン問題では出てきませんでしたが、二次元のKH不安定問題での登場(MUSCAL補完)です。

 

 

最後までお読み頂きまして、誠にありがとう御座いました。

 

5月度その16:太陽磁極の逆転を追う ➡ MHDシミュレータ ➡ 一次元問題とは何か?を問う!

太陽磁極の逆転を追う ➡ MHDシミュレータ ➡ 一次元問題とは何か?を問う!

 

 という訳で、OpenMHDのリーマン問題にて、一次元問題の取扱をソースレベルで調べる。

OpenMHD開発元・神戸大学・銭谷先生によれば、セルの基本量とは:

密度ρ(ローと読む)、速度v、全圧力p(これはピー)、磁束B、の4個となっていて、ここで、速度vと磁束Bがベクトル。

 

前回の記事、5月度その15:にて、

 圧力pのシミュレーション結果は、

f:id:yoshihide-sugiura:20190521215546g:plain

 密度ρのシミュレーション結果は、

f:id:yoshihide-sugiura:20190522190817g:plain

 速度のシミュレーション結果は、

・ x成分のVxについて:

f:id:yoshihide-sugiura:20190522191454g:plain

・ y成分のVyについて:

f:id:yoshihide-sugiura:20190522191826g:plain

 

・ z成分のVzはゼロ。

 

 磁束Bでのシミュレーション結果は、

・ x成分のBxはゼロ

・ y成分のByは:

f:id:yoshihide-sugiura:20190522202239g:plain

・ z成分のBzはゼロ

 


 私は、一次元の意味を取り違えていました! 流体力学における有限体積法の要素であるセルとは、体積・三次元であり、これを一列に並べるモデルの事を一次元モデルと称していたのか!

OpenMHDのリーマン問題ソースを見ると:

ix = 300 + 2  ⬅ 一次元の長さ、+2 は境界条件設定用の袖

jx = 1 ⬅ 二次元の長さ

これを二重ループさせているので、一次元配列のセルとなっている(fortranの配列はゼロでなく1から始まる、知りませんでした)。

 

 初期条件はどうなのだろうか?

上記のgifを見れば:

 圧力に関しては、t=0にて、Xマイナス側で1.0、Xプラス側で0.1

 密度に関しても、t=0にて、Xマイナス側で1.0、Xプラス側で0.1

 速度に関しては、t=0にて、x,y,z成分オール・ゼロ

 磁束に関しては、t=0にて、y成分について、観測者にとって、Xマイナス左側でN極性1.0、Xプラス右側でS極性1.0

となっている。

OpenMHDはMHDとしては汎用シミュレータなので、上記の初期条件を与えれば、X=0近傍でリーマン応答をする、というのは私にとって驚き、です。

 

 圧力、密度に見られる「膨張波と接触不連続が後方に、衝撃波が前方に伝搬する動き」や速度、磁束に見られる「独特な動き」は何なのだろうか?

これは中間状態を取り入れた複雑なリーマンファンを理解する必要がありそうで、ブログに載せるには複雑に成り過ぎるので、ブログ掲載は止めます。

 

 境界条件は以前にも述べたように、対象境界で、かつ袖の長さは1。

 

 シミュレーションを進める時間ピッチ dt はどうなのだろうか?

dt = cfl * dx / vmax

で与えられており、cflは1より小さいクーラン数(無次元)、dxはセルの長さだろう、vmaxは速度上限だろう、これで次元は時間となる。 ダンプ等して確認した所:

clf : 0.8 ソースにて設定

vmax : 3.6585...  先頭初期設定後のダンプ値

dx : 0.003333...   先頭初期設定後のダンプ値

dt  : 0.0007288... 先頭初期設定後のダンプ値

clfは別として、他の値は実行時にダイナミックに変更しているだろう(未調査)。

クーラン数とは、Wiki [CFL条件 - Wikipedia] より:

CFL条件またはクーラン条件とは、コンピュータシミュレーションの計算(数値解析)において、「情報が伝播する速さ」を「実際の現象で波や物理量が伝播する速さ」よりも早くしなければならないという必要条件のことである。

とあり、

離散格子系において波動を扱う場合に、その運動方程式の数値解を求める際に用いる時間ステップΔt の値は、実際の波動が隣り合う格子に伝達するまでの時間よりも小さくなければならない。もしΔt の値がその時間の上限を超えると、計算上の情報伝達速度が実現象の速さに追従できずに数値発散が生じてしまい、物理的に意味の無い解を得てしまう。格子の間隔Δx が小さくなると、時間ステップΔt の上限値も減少する。  

であって、

情報が伝播する速さはΔxt、実際の波の速さはCであるから

CFL条件となる。この式を無限次元であるクーラン数 C Δtx を使って、「クーラン数は1より小さくなければならない」と表現することもある。

cfl条件の設定には陽解法と陰解放とがあるそうで、ソースを見る限りは陰解放のように見えるが、現時点で自信はない。

 

 まだまだ調べなければならない事は数多くあるが、次回は二次元問題へと移動しよう。

 

 

最後までお読み頂きまして、誠にありがとう御座いました。