7月度その17:Z方向も調べておこう!
USGS観測点について、鉛直Z方向も調べておこう、です
東京大学研究所さん「地球電磁気学(Geo-electromagnetism)」
https://www.eri.u-tokyo.ac.jp/induction/geomagnetism/geomagnetism-1.pdf
講義1_配布資料 9/29/2020 によりご説明致します
図1:ページ12より
双極子で現した場合、鉛直磁場強度Zと北方磁場強度Xは、θを双極子の方向を基準とした余緯度とし、磁気モーメントをm、地球半径をaとすると、
鉛直成分Zについて:
-Z = 2 μ0 m cosθ / 4π a^3 ・・・(1)
北方成分Xについて:
-X = μ0 m sinθ / 4π a^3 ・・・(2)
となる、とあります
θは、
90度 マイナス 各観測点磁気緯度
です
今回は式(1)の観測評価ですので、
極にて θ = 90度マイナス90度 = 0度 ➡ cos0度 = 1 で最大
赤道にて θ = 90度マイナス0度 = 90度 ➡ cos90度 = 0 で最小
となり鉛直Z成分磁場強度は、高緯度 > 中緯度 > 低緯度、が予想されます
分からないのが波形です、北方向X成分観測では、
LT12時頃に最小値を観測 ➡ 高緯度、中緯度
LT12時頃に最大値を観測 ➡ 低緯度
でした、果してこれがどうなるのか?です
図2:BRW鉛直方向Z波形
かなり乱れています
図3:BRW鉛直方向Zパワースペクトル
12h成分が極めて強い特徴、24h成分はほとんどゼロ!
図4:CMO鉛直方向Z波形
図6:BOU鉛直方向Z波形
図7:BOU鉛直方向Zパワースペクトル
12h成分がそれなりに強い特徴
図8:BSL鉛直方向Z波形
図9:BSL鉛直方向Zパワースペクトル
12h成分がそれなりに強い特徴
図10:SJG鉛直方向Z波形
何と低緯度SJGでLT12時頃に最小値を観測!
図11:SJG鉛直方向Zパワースペクトル
図12:GUA鉛直方向Z波形
何と低緯度GUAでもLT12時頃に最小値を観測!
図13:GUA鉛直方向Zパワースペクトル
図14:磁力線高度 vs 鉛直方向Z平均磁場強度
鉛直Z磁場強度は、高緯度 > 中緯度 > 低緯度 となります(これは予想された結果です)
図15:磁気緯度 vs 鉛直方向Z磁気モーメント
SJG磁気モーメントが異様に弱い(これはXでも同じ)
考察:
1.今回、最大の収穫は、
鉛直Z磁場強度は、低緯度でもLT12時頃に最小値を付ける波形となる
です(図10と12)
これは北方向X磁場強度の場合、LT12時頃に最大値を付けているのです
そして最大値を付ける原因を光解離した酸素イオンとオゾン共鳴による常磁性磁気モーメントとしたのですが、これは見直さないとならないでしょう
X成分はLT12時頃に最大値、Z成分はLT12時頃に最小値 ⬅ 何故こんな事に???
2.Z磁場強度はX磁場強度と比べ全体的に12h成分が強く出ます
特に高緯度バローBRWでは12h成分が主体となり(図3)24h成分はほとんどゼロです
これに対しX磁場居度観測でバローBRWは24h成分が主体で12h成分は極めて弱い
何故こんな事が起きるのでしょう?片や12h振動主体で片や24h振動主体とは!
3.これはZ観測を続けていく必要があります
USGSの6観測点は当然ですが、果してGOES衛星ではどうなるのか?興味が湧きます
以上、お付き合い頂き誠にありがとう御座いました
感謝です m(_ _)m