なぜ地球磁極は逆転するのか?

太陽黒点数/オゾン全数/エルニーニョ/太陽活動と米国日本の地磁気変動を追います!

1月度その21:エルニーニョ南方振動ELSOと太陽黒点数の相関を追うシリーズ➡エルニーニョ南方振動とELSOの違いは?

エルニーニョ南方振動ELSOと黒点数との相関を追うシリーズ➡エルニーニョ南方振動とELSOの違いは?

 

 

現在、この黒点サイトでは、私事ですが忙しくなって来たもので「太陽黒点に関する事項」のみを扱っております、昨年までは「木星衝合と巨大地震の相関を追うシリーズ」や「地磁気地震の相関を追うシリーズ」等もやったのですが、木星地磁気はかなりの集中力とエネルギーが必要で、とても現在の私の状態では扱えないのです

それでも、お陰様でELSOと太陽黒点数の相関を追うシリーズが出てきましたので、「太陽黒点数の推移」、「太陽黒点数とS&P500、VIXとの相関」、「ELSOと太陽黒点数または太陽サイクルとの相関」の3テーマについては定常的に更新して参ります

 

そこで、ベッドで寝っ転がっていると漠然と頭に浮かんで来る疑問がありまして、それは私にとっての未解決問題もしくは気に掛かる問題なのです

特に今回はELSOを始めたので、SOは "Southern Oscillation" であり、"Oscillation" は(南方)発振であって(南方)振動ではない、ここが気になったもので追ってみました

 

お付き合い頂ければ幸いです

 

 

振動とは何か、と言うと:

それはバネに重りをぶら下げて下に引いて手を離すと、ビヨ〜ン・ビヨ〜ンと上下に動き、やがて時間が経てば停止する事態、を言います

 

発振の場合は:

これが停止しないで、定常的に振動動作する事態を言います

 

和文・英文のWikiを見てみると:

南方振動の発見者はウォーカー循環のギルバート・ウォーカーであり

He is known for his groundbreaking description of the Southern Oscillation

と出ていて、英文ではあくまでも発振(Oscillation)なのです、日本語訳の振動(Vibration)ではなく

 

 

ここで、自然界における発振現象と何なんだろうか?

を考えてみると、、、それは:

イリヤ・プリコジンが提唱した「散逸構造」なのです

散逸構造という言葉から発振をイメージするのは難しい、まして散逸構造とは自然界における自己組織化をつかさどる構造である、と言うのも直感的には理解し難いのですが、、、最も有名な例を挙げるとそれは [散逸構造 - Wikipedia] によれば、

べナール・セルであって:

By I, Eyrian:重力場におけるべナール・セル

ベナール・セルとは、薄い層状の流体を下側から均一に熱したときに生じる、規則的に区切られた細胞(セル)状の対流構造をいう。各セルは渦を形成しているので、ベナール渦ともいう。プリゴジンにより提唱された「散逸構造」のうち最もよく知られた例である。

 

時間が経過しても停止しない発振現象において重要な事項が2つあり、それは:

1.エネルギーが常に供給されている事

2.常に熱を逃がす冷却構造を持っている事

の2点です

べナール・セルの図では、上左右に青い矢印(低温エアー・ブローでしょう)が2個チョコッと書いてありますが、これが本質的に重要なのです!

「散逸」とはエネルギーを溜め込む事なく、熱を、逃がす、流す、冷やす、フロー構造を持つ定常状態を指して言います(これを開放系と言う)

 

ELSOが定常的な発振状態である事は、下図に示す50年に及ぶエルニーニョ・オレンジ状態とラニーニャ・ブルー状態が交互に発生する(要するに発振している)観測結果から明らか、です

f:id:yoshihide-sugiura:20210130155107p:plain

ELSOにおける供給エネルギーは太陽熱と地球の自転エネルギー(これによって東風の貿易風が吹く)です、冷却メカニズムは夜間の海面冷却と、サーモクラインで示される所の湧き上がる深層冷海水塊です

 

散逸構造は、自然界における自己組織化をつかさどる構造である、とされていて果たしてELSOが自己組織化なのか?という疑問を抱かれる方も多いと思います(私も、これが自己組織化か?と思います)が、Wikiさんが言われるべナール・セルが自己組織化へのステップなのであればELSOもそうだ、と言えるでしょう

 

自己組織化の観点からは12月度その5:気になる点シリーズ ➡ 自己組織化・自己規則化につながる自己振動反応・BZ反応! - なぜ地球磁極は逆転するのか?に載せたBZ反応の方が近いと感じます、再度載せますと(0分51秒):

youtu.be

この場合の供給エネルギーは複数の化学物質間の化学状態遷移でしょう、それがシャーレ底で冷やされ、化学物質間での遷移が連続し発振状態となる、いかなる化学物質間でも起こすものではなく、組み合わせが極めて重要です(私、化学反応にはあまり強くないので、この程度の解説で申し訳ありません)、が、これも散逸構造です、自己組織化の観点からはELSOやべナール・セルよりこちらの方が納得できます

 

 

まとめさせて頂くと:

1.振動とは一過性の現象を指して言い、常に振動する現象は発振と言う

2.発振には、エネルギーの供給が常に必要であり、加えて、冷却されるメカニズムが常に必要である

3.このようなエネルギーの注入と冷却による熱エネルギーの吸収フローを有する系は、散逸構造と称され、自己組織化へのステップとなる

4.散逸構造イリヤ・プリゴジンが提唱し、1977年にノーベル化学賞を受賞している

 

 

 

以上、お付き合い頂きまして、誠にありがとう御座いました

感謝です