なぜ地球磁極は逆転するのか?

太陽黒点数/オゾン全数/エルニーニョ/太陽活動と米国日本の地磁気変動を追います!

2月度その9 世界の北方磁場強度シリーズ ➡ ツーソンTUCの地磁気変動3年間を調べ、GOES-17Wとの波形3日間を比較、foF2世界マップを導入する!

世界の北方磁場強度シリーズ ➡ ツーソンTUCの地磁気変動3年間を調べ、GOES-17Wとの波形3日間を比較、foF2世界マップを導入する!

 

世界各地の北方磁場強度の観測に戻ります、今回はツーソンTUCです

 

さて、多くの観測点において何故午前10時〜11時台に最大ピークが得られて、かつそれは低緯度で最大値側に、中緯度で最小値側に出るのか?を追うには:

もっとデータが必要 ➡ グラフが欲しい ➡ 世界マップで全体を把握したい!

となる訳で、ここでfoF2世界マップが妥当だろう、と思い導入しました

 

お付き合い頂ければ幸いです

 

 

 

まず、電離圏バンアレン帯です

図a:電離圏とfoF2とは [電離層(Ionosphere)について解説] さんより

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図b: [バンアレン帯 | 天文学辞典] によれば、

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Y軸は磁気赤道上空と思われます(但しブログ追加のGOES衛星は地軸赤道上空を示す)

南緯30度西経60度を中心とするブラジル磁気異常では、地磁気が弱く内帯の端は高度200km程度まで降下しています

これより太陽に向かって上空ですと約9万kmの所に太陽風と地球磁気圏のぶつかり合うバウショック、約38万kmに月、約150万kmのラグランジュL1ポイントではDSCOVER衛星が太陽風を観測しています

 

 

ここから本文です

1.世界磁気マップとツーソンTUCに着地する磁気赤道上空_磁力線高度

まず、世界まとめマップから全体の位置関係の把握です

図1:世界まとめマップ

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中央横に走る緑ドットラインが磁気赤道_2021です

 

ここで磁気双極子を軸とする北緯と南緯と赤道というものがあって(磁気双極子の北極が北緯90°となる)その緯度経度マップはNOAAさん [World Magnetic Model - Maps of Magnetic Elements] より

図2:

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磁気マップでは、図2の縦緑ラインを経度0°とし、左が西経で右が東経です(図1と2のX軸は180°シフトしています)

重要なのは横にうねる緑ラインで、これが磁気赤道です

 

以下は、磁気赤道上におけるツーソンTUCの磁力線高度を示します

京都大学さん地軸座標と磁気座標の変換サイト [Transformation of Coordinate]より、

TUCの地軸座標より ➡ 対応する磁気座標を求め、

➡ 磁気赤道上空の磁力線高度を求めた結果、です

図3:

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TUC磁力線は電離圏を抜けてバンアレン内帯の端に接する程度です

ここで重要なのは1,380kmという高度です(地軸赤道計算では880kmでした)

 

 

2.ツーソンTUC3年間の北方地磁気変動と最大値最小値カウントグラフです

観測期間は、2019年2月2日から2022年1月31日の3年(365x3日)です

図4:

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Y軸はピッチ100nT、縦幅全体で500nTに揃えています

TUC北方磁場Xは大きく減少です

 

このグラフに表示された有効日データのみを使って24時間の最小値・最大値出現時刻と回数の統計グラフをとると、

図5:

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1日の磁場を観測すれば必ず最大値と最小値が得られ、両者が図4グラフ内に収まる有効日数が905日ですから、それを24で割ればカウント平均が出ます

最大値なり最小値なりを観測する時刻の原因が何であれ、平均に来て当たり前であって、それ以上か以下になるには原因があります

TUCではLT8.6時台に最大ピーク最小値を観測しているので、これを四捨五入してLT9時台とし、LT00時とLT12時をグラフ上にプロットしています

 

さて、2月8日16:30UTのfoF2値マップです、これはツーソンTUCで2月8日8.6+0.5LT(最小値ピークの得られた時間帯の中心)に相当します

図6:TUC2月8日9.1LTのfoF2値マップ

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これを眺めて何かを得てゆこう、という訳です!

サイトは、こちら [https://www.sws.bom.gov.au/HF_Systems/6/5] です

foF2の雲は、右(東)から左(西)へ移動しています

この時刻、TUCは6MHz帯から7MHz帯へ移行するタイミングで、その後、7MHz帯が長時間続きます

 

 

3.ツーソンTUCとGOES17Wの波形3日間とFFT結果です

ツーソンTUCがオレンジ、G17Wがシアンです、これでも比較的平穏時3日の波形です

図7:2月1日00時00分〜3日23時59分(UT)両観測点の波形

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波形はバイアスを除いて変化分のみです

TUCとG17Wの経度差は26.3°(時差105分)であり、TUCの方が東にありますので、LT12TUCラインが左側・LT12G17ラインが右側に来ます(太陽が先に昇る方が東で左に来ます)

TUCはLT8.6時台に最小値ピークを迎えていますので、0.5を加えたLT9.1TUC黒縦ラインを入れてあります

 

図7のG17WのパワーFFTスペクトルは、

図8:

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であって、G16Eと同様に大半のエネルギーがIdx4周期24h成分に集中しています

 

一方、図7の波形よりツーソンTUCのパワーFFTスペクトルを取ると、

図9:

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であって、TUCでもKOU同様に周期72h成分が極めて強く出ています

 

 

まとめ:

1.考察の対象を図5のカウントグラフに絞っています

2.考察をこれ以上進める為には何らかの別角度からの情報が必要で、それがfoF2世界マップ図6です

図5は約900日の観測統計結果で、図6は統計結果から得られたピーク観測時のfoF2値マップ(たった1日の!)ですが、この辺りを突破口にして原因を把握しよう、と考えています

3.3日間の波形グラフとFFT結果は、参考です

 

 

尚、地磁気データはINTERMAGNETさん [The INTERMAGNET Vision and Mission] 経由で地磁気データを世界の各観測点さんからダウンロード、

GOESデータはNOAAさん [GOES Magnetometer | NOAA / NWS Space Weather Prediction Center] からダウンロード、

foF2世界マップはオーストラリア政府Space Weather Serviceさん [SWS - Radio and Space Services] からスクショしています

ここに皆々さま方に深く感謝申し上げます

 

 

 

以上、お付き合い頂き、誠にありがとう御座いました

感謝です!