世界の北方磁場強度シリーズ ➡ クールーKOUの地磁気変動3年間を調べ、foF2値マップを取り、GOES-16Eとの波形3日間を比較する!⬅ 追考察あり!
世界各地の北方磁場強度測定です、今回はクールーKOUです
foF2値マップは磁力線高度2,000km以下の地点についてのみ示しています、クールーKOU高度148kmはこれに該当します
お付き合い頂ければ幸いです
まず、オゾン層と電離圏とバンアレン帯です
図a:成層圏オゾン層 [気象庁 | オゾン層とは]さんより
オゾン分布ピークは高度20〜30kmに当ります
図b:電離圏 [ユーザーガイド | 電離圏 | 宇宙天気予報] さんより:
密度X軸はLogスケールである事に注意!
Y軸は磁気赤道上空と思われます(但しブログ追加のGOES衛星は地軸赤道上空)
南緯30度西経60度を中心とするブラジル磁気異常では、地磁気が弱く内帯の端は高度200km程度まで降下しています
これより太陽に向かって上空ですと約9万kmの所に太陽風と地球磁気圏のぶつかり合うバウショック、約38万kmに月、約150万kmのラグランジュL1ポイントではDSCOVER衛星が太陽風を観測しています
ここから本文です
1.世界観測点マップと磁気赤道上の磁力線高度マップです
まず、世界まとめマップから全体の位置関係の把握です
図1:世界観測点マップ
中央横の緑ドットラインが、磁気赤道_2021です
図2:各観測点の磁気赤道上の磁力線高度マップ
高度300kmにF2層、高度2,000kmにバンアレン内帯陽子ベルト、3,000kmに電子ベルト(図cより)
2.クールーKOU3年間の北方地磁気変動と最大値最小値カウントグラフとfoF2値マップです
観測期間は、2019年5月2日から2022年4月30日の3年(365x3日)です
図3:
Y軸はピッチ100nT、縦幅全体で500nTに揃えています
このグラフに表示された有効日データのみを使って24時間の最小値・最大値出現時刻と回数の統計グラフをとると、
図4:
凡例にあります「● ピーク数=1+1」は:
第1ピークはマジェンダで1ヶ所のみ、第2ピークはシアンでこれも1ヶ所のみ(合計でピーク数は2)
ピーク定義は、平均値を少なくとも2h連続して超えるパターンであって、かつ1hでも平均値を下回ればそのピークは脱出した、としています
「● ピーク数=1+1」は低緯度の特徴で、KOUは見事な「● ピーク数=1+1」を示しています、これは最大値マジェンダの原因は、成層圏オゾン層における常磁性オゾン分子が太陽光圧により整列圧縮されて磁気濃縮を起こすからである、と考えています
第2ピークシアンがLT20.5時台に観測されるのは、太陽光圧が無くなってオゾン分子がランダム状態となるからである、と考えられます
KOUは、マジェンダゼロ時間帯とシアンゼロ時間帯が明確に観測される特徴があります
マジェンダとシアンの原因がひとつであり、その表と裏である事、を示しています
5月8日と9日UTにおけるfoF2値マップを示します、まずマジェンダ第1ピーク
図5:第1ピークマジェンダのLT10.5時台中央値LT11.0時に相当する14.5UT
図6:第2ピークシアンのLT20.5時台中央値LT21.0時に相当する0.5UT
3.G16EとクールーKOUの波形3日間とFFT結果です
クールーKOUがオレンジ、G16Eはシアンです
図7:
同相です、ただしKOUの変動幅は非常に大きく、24h成分が極めて強く出ています
図7の波形よりG16EのパワーFFTスペクトルを取ると、
図8:
GOESでは常に24h成分が強力に強く出ます、GOESの24hカウントグラフで第1ピークがマジェンダなので凡例に●を示します
図7よりクールーKOUのパワーFFTスペクトルを取ると、
図9:
24h成分がトップです、強度比は 24h>12h>72h で、24h成分が極めて強く出ています
赤道直下における成層圏における太陽光圧による常磁性オゾン分子の整列圧縮により磁気濃縮された結果です
第1ピークマジェンダから第2ピークシアンの時間差は10hあり、第2ピークシアンがここで最小値を付けるのは、夜間に太陽光圧がなくなりオゾン分子がランダムとなった結果です
即ち、KOUシアンの原因はプラズマ粒子のジャイロ運動という積極的に磁場を弱める動作ではなく、太陽光圧が無くなることによるオゾン分子のランダム性という消極的な原因によるもの、と考えています
図7の凹型KOU波形が下にバラついて出る事により最小値をLT20.5時台付近に付けるのです
中間のまとめ:
1.クールーKOUは非常に明確な分布図4を示していて、まずはここの原因を明確に抑えませんと次に進めない、と考えています
2.第2ピークシアンの原因は、太陽光圧の減衰という消極的な理由によるものであり、プラズマ粒子のジャイロ運動ではない、が現時点の結論です
追考察:2022/05/10 00:25
宇宙の徒然を語るブロガー「まさき りお(id:ballooon)」さんからのコメントがキッカケですが、オゾン層が磁石として動作するのは:
閾値(スレッシュホールド)動作をするからである
と考えられます
即ち、最初オゾン分子はランダムな状態にあるが、これが太陽光圧によって方向が揃い始める、いったん揃い始めると常磁性体のオゾン分子は互いに互いの方向を並べさせ、増々方向が揃い始める、こうしてオゾン層全体が磁石としてロックされ磁場強度が増大する
閾値に達する太陽光圧はLT10時〜11時台である
従って、夜間には閾値に達しないのでロックされない(磁場強度は増大しない)、たとえオゾン層が帯状になって地球を取り巻き12h潮汐振動していても閾値に達しなければ磁石としてはロックされずランダムなままでありマジェンダは観測されない、となります
例外はホノルルのマジェンダ第1ピークがLT13時台に観測される事ですが、これはこれで解決する必要があります
追考察終わり
尚、地磁気データはINTERMAGNETさん [The INTERMAGNET Vision and Mission] 経由で各地磁気データを世界の各観測点さんからダウンロード、
GOESデータはNOAAさん [GOES Magnetometer | NOAA / NWS Space Weather Prediction Center] からダウンロード、
foF2世界マップはオーストラリア政府Space Weather Serviceさん [SWS - Global HF - Ionospheric Map] からスクショしています
ここに皆々さま方に深く感謝申し上げます
以上、お付き合い頂き、誠にありがとう御座いました
感謝です!