なぜ地球磁極は逆転するのか?

太陽黒点数/オゾン全数/エルニーニョ/太陽活動と米国日本の地磁気変動を追います!

6月度その8:オーロラ・シリーズ ➡ 磁気リコネクション!

オーロラ・シリーズ ➡ 磁気リコネクション!

 

 

本日は、「オーロラ・シリーズ」の第2話「磁気リコネクション」です、少し細かい内容を追いかけていますが、よろしくお願い致します m(_ _)m

 

* 磁気リコネクションとは?

[磁気リコネクション - Wikipedia] より:

磁気リコネクション(磁気再結合)とは、高い伝導性を持つプラズマ中で磁場のトポロジー(空間状態の事、幾何模様と思えばよい)が再配置され、磁場のエネルギーが運動エネルギーや熱エネルギーに変換される物理過程である。

上gifを見て頂ければ分かるように、互いに反対方向を向く磁力線(赤と青)は、両方から押し付けられると、中央で連結合体し新しい磁力線を形成する、この際に、磁場のエネルギーがプラズマの運動エネルギーや熱エネルギーへと変換されます

ここで、プラズマは磁力線と直交する形を採る、上gifのX軸に相当する所に描かれているのは電流シートである、との説明

この磁気リコネクションがオーロラ発生過程において、2ヶ所で起きる、と考えられている、昼間の地球磁気圏で起きて太陽風プラズマの磁気圏内への取り込み、と、夜間のプラズマシート部で起きてプラズマの閉じ込め、です

f:id:yoshihide-sugiura:20200616175316p:plain By NASA

進入する太陽風の部分とプラズマシートの部分で磁気リコネクションが発生している、と考えられている

 

* 地球磁気圏と磁気リコネクション(夜間)

ここで、JAXA [http://www.isas.jaxa.jp/ISASnews/No.228/ken-kyu.html] 2000年3月号「地球磁気圏の生成と磁気リコネクション」によれば(大分昔の発表なのでpdf):

盾(シールド)が完全でないことは,磁気圏が反太陽方向に長く尾をのばしていることからもわかる。地球の磁場が太陽風に長く引きずられて伸びていることは,太陽風のもつ大きな運動量とエネルギーが完全に遮断されず,磁気圏に浸透してきていることを示している。

なるほど〜、そう見るのですか、単に押されて、なんてのでは駄目なんですね

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Credit:JAXA 閉じた磁気圏(a:左)と開いた磁気圏(b:右)

ここで太陽風磁場という言葉が出て来る、これは太陽表層でプラズマが生成された時の磁場であって、プラズマに密着結合して一緒に飛んで来る(これを磁場の凍結と言う)

もともと太陽風の磁場は時間的にゆらいでいる。地球の磁場は太陽風のぶつかる磁気圏前面で北を向いているから,太陽風磁場が南向きのときに反平行の磁場配位ができて磁気リコネクションが起こると考えるのが従来の考え方であった。

 これは資料によく出てきます

それならば,太陽風磁場が北向き成分を持つときは,尾部は上図(a:左)のような形にもどってしまうのかという疑問があった。

そうなんです、私もそれを疑問に思っていたのです!(これ、本文には b と書いてありましたが、a の間違い、ですよね?)

これに関して,GEOTAIL衛星(JAXA衛星)は次のような解答を出した。

(1) 尾部太陽風磁場の方向に関係なくほぼ同じ断面積で存在する。
(2) 太陽風磁場の南北成分の向きに関係なく,いつも磁気リコネクションが磁気圏境界でおこり,尾部の磁力線は太陽風中につながっている。

この説明は尾部についてですが、昼間の太陽前面では?という疑問が生じます

 

* 太陽風の地球磁気圏内への取り込み(昼間)

そこで次は、太陽風プラズマの磁気圏内への取り込み(前面:昼間)に行きます

JAXA [太陽風を大口で食べ続ける磁気圏 | 宇宙科学研究所] 2016年12月号によれば:

磁気圏境界を介した太陽風エネルギーの取り込み、磁気圏尾部へのエネルギー蓄積、放射線帯やオーロラ現象などにおけるエネルギー消費、そして惑星間空間へのエネルギー排出、という一連のエネルギーの流れである。

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Credit: JAXA

ここで、NASAのMMS衛星とJAXAのGEOTAIL衛星による同時観測である

磁気リコネクションは、磁場のエネルギーをプラズマの運動や熱エネルギーに変換する物理過程なので、プラズマが加速される。この加速されたプラズマをGEOTAILとMMSが同時観測したのが、2015年10月2日である(下図)。明らかになったのは、磁気リコネクションは東西方向に少なくとも7万km(地球半径の11倍)にわたる広範囲で発生していたこと、また同時に5時間以上という長時間にわたって継続していたことである。前者の観測事実は、磁気圏の横幅(約30万km)の1/4程度の口が開いていたことを示している。また、オーロラは活発期と静穏期が約3時間ごとに繰り返されることが知られているが、そのサイクルよりも長く磁気圏は太陽風を摂取し続けていることは驚きに値する。

 

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2015年10月2日に行われたGEOTAILとMMSによる磁気リコネクションの同時観測。このとき、太陽風磁場は南向きであり、磁場の南北成分が反転した瞬間が磁気圏境界面通過に相当する。観測されたすべての磁気圏境界面通過の磁気圏側で、秒速400km前後の南向きのイオン高速流が検出されており、磁気リコネクションが長時間続いていたことがわかる。

 

まず上図は地球を北極星から見ている図なのですが、上図の内容は、落ち着いて読めば分かります、が、「そんなツモリは無い!」という方には:

少なくとも太陽風磁場が南向きの時に、昼間地球が太陽を向いている前面において、磁気リコネクションは5時間に渡り、地球磁気圏の横幅(約30万km)の1/4程度の口が開いていた

太陽風プラズマが取り込まれていた、という事です

 

* しかし、

太陽風プラズマは地球磁気圏に取り込まれ(昼間前面の磁気リコネクションによって)、何らかの理由によって夜間のプラズマシート部に移動し、プラズマシート部はやはり磁気リコネクションによって閉じた系が作られており、何らかの理由により地球南北の極周辺上空へ加速降着してオーロラが発生する、とするならば:

オーロラ発光サイクル3時間を超える間、昼間前面部で太陽風プラズマが取り込まれたとしても、それほど驚くべき結果ではないのでは?

という気が致します(プラズマシートがバッファの役目をしていれば、の話ですが)

また、より基本的な疑問として、昼間において太陽風磁場が北向きの時には磁気リコネクションは発生せず、プラズマは磁気圏に取り込まれないのか?という疑問は消えません(上図グラフで磁場の南北成分が北向きの時には、イオン速度の南北成分はゼロになっているので、プラズマは取り込まれないのでは、という事のように思えます)

加えて、先頭のNASAによる図では、太陽風の取り込みは極に近い磁気圏から取り込まれているように描かれていますが、これはむしろ太陽風が当たる最前面で取り込まれれる、という事のようです

 

* 夏冬に食が細る磁気圏

最後になりますが、面白いのは:

動物や人間も季節が変わると太ったり痩せたり、または活発になったり冬眠したりすることがあるように、磁気圏も季節が変わるとより活発になったり静穏になったりする。磁気圏は春や秋よりも夏や冬に静穏になることが知られており、その原因は太陽風エネルギーの摂取量が減る、または摂取効率が下がるからであると考えられているが、詳細はよくわかっていない。

との事でした

 

次回は、地球磁気圏、電離層電流、オーロラ共役(北極周辺と南極周辺に同時にオーロラが発生する現象)の辺りを探ります

 

 

 

 

 

以上です

 

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 本ブログ題名「なぜ地球磁極は逆転するのか?」と件名「太陽黒点数の推移を追う!」は内容に於いて一致しません。 これは、はてなブログ無料版を使っている上で成行き上そう成ってしまったからです。 これを回避するにはproに行くしかないそうです。 現在、proに移行する計画は無く、当面このままで行くしか無い状況です。 混乱させて大変申し訳ないのですが、よろしくお願い致します。

 尚、太陽の黒点に関する一般的な解説は、こちら: [太陽黒点 - Wikipedia]

 

最後まで読んで頂き、ありがとう御座いました。

 

免責:

本ブログにおけるデータハンドリングと解釈・プログラム作成・結果としての内容などに関し、本ブログ著作者はいかなる責任を負うものでもありません。

引用:

[1] 国立天文台 太陽観測科学プロジェクト 三鷹太陽地上観測

[2] List of solar cycles - Wikipedia