なぜ地球磁極は逆転するのか?

太陽黒点数/オゾン全数/エルニーニョ/太陽活動と米国日本の地磁気変動を追います!

8月度その21:地磁気の年周期性を追うシリーズ ➡ カナダ・オタワ地磁気の最大値マイナス最小値グラフを取る! そして考察は?

地磁気の年周期性を追うシリーズ ➡ カナダ・オタワ地磁気の最大値マイナス最小値グラフを取る! そして考察は?

 

 地磁気データの一日における最大値と最小値の幅(差分)を取り4年に渡りグラフを取ると、年周期性が現れます(柿岡とキャンベラとシャンボン)、これは特に東方向Y成分について顕著です(シャンボンだけは鉛直Z成分にも年周期性が現れています)、このシリーズはその謎(原因)を追うものです、本日は、観測点として新たに加えたカナダ・オタワについて最大値マイナス最小値(差分)グラフを取りましたので、報告です

尚、すべからく各国の地磁気データは商用には使えませんので、ご理解願います

 

 地磁気データの基本は、気象庁地磁気観測所さんのサイトより:

[地磁気観測所|基礎知識|用語の説明]

地磁気の各要素

で示され、地磁気ベクトルのX方向が北方向成分、Y方向が東方向成分、Z方向が鉛直方向成分となります、各々方向成分の磁場強度(大きさ)は、グラフ上長さで示されます

尚、今まで言葉の定義を曖昧なまま使っておりましたが、偏角(偏差とも言う)は上図のDで、Dを用いてY成分を決定します、偏角は符号を持ち、プラスが東回り(東偏)、マイナスが西回り(西偏)です

 

まず、柿岡(茨城)とキャンベラ(豪州)の位置関係ですが、南磁極(海の底)キャンベラ柿岡北磁極(カナダ北極圏の島)順でGoolge Earthにて位置を示すと:

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キャンベラの偏角は東偏で、赤で示しています

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私は、普通、マップデータは北から示すのですが、ここは地磁気・磁力線の方向に従ってマップを出しました、約束事ですが地磁気はN極から出てS極に至るとされており、南磁極にN極、北磁極に有るのがS極である、事に注意です

柿岡の位置は西偏でシアンの白枠で示しています

シャンボン ラ フォレとオタワと北磁極の位置関係を示します:

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シャンボンの位置は東偏(赤)、オタワは西偏(白枠シアン)です

 

地磁気の永年変化として「非双極子部分の西方移動」なるものがあり、北磁極は西方または北西へ(カムチャッカ半島へ向けて)約40km/年、南磁極も西方または北西へ(オーストラリアへ向けて)約10km/年で移動しています、これが西方移動です(移動の詳細方向と移動距離は常に変化しています)

従いまして、柿岡へは北磁極、キャンベラへは南磁極が近づきつつあり、シャンボンは目の前を北磁極が横切り、オタワは北磁極が遠ざかる位置関係、となります

 

 ここで米国海洋気象庁NOAAさんから偏角Dに着眼した世界等偏角マップをアップすると [World Magnetic Model | NCEI] より

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右下の赤領域と青領域の境にある1で示される小さな白ポチが南磁極、右上にある6で示される白ポチが北磁極、世界等偏角モデル2020マップ、赤が正で東方向回転、青が負で西方向回転、緑のラインは偏角ゼロ・ライン(東偏角と西偏角が釣り合っているラインで、この線上で方位磁石は真北を示します)

柿岡は青ライン領域で、2020年の偏角約マイナス8°

キャンベラは赤ライン領域で、2020年の偏角約プラス12°

シャンボンは赤ライン領域で、2020年の偏角約プラス2°

オタワは青ライン領域で、2020年の偏角約マイナス12°

 

上図、緑で示される偏角ゼロ・ラインですが、南磁極1から出発して右上の2で外に出て、左上の3から再び現れて、下に移動し4から下に消えて、上の5から現れて、6の北磁極に至る1本のラインではないか?と思われます

 

 それではオタワの地磁気変動グラフX/Y/Z成分の1日当り最大値マイナス最長値、2020/07/31を最終日とする2年間(365日x2)です

カナダのデータは2017年8月〜12月に27日間のデータ欠損があり、ダウンロード出来ませんでしたので、2年分にて解析を進めます

北方向X成分です

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何と、X成分で年周期性振動が現れました、X成分での検出は初めてです、やはり夏場に変動幅は大きく、冬場に小さくなっています、変動幅は約50nT程度でしょうか、小さいです


東方向Y成分です

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Y成分にも年周期性振動が出ています、マイナス象限なので注意が必要ですが、他の場所と同様に夏場に変動幅は大きく冬場に小さくなっています、変動幅は約70nT程度でしょう

 

鉛直方向Z成分です

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Z成分に年周期性は明確には出ませんでした、メタンハイドレートの海底から湧き出るメタンガス気泡の如し、です

 

 さて、考察です

磁極が近づいて来ようが(柿岡、キャンベラ)、遠ざかろうが(オタワ)、前を横切ろうが(シャンボン)、常にY成分は観測点の夏場に差分最大値を示し、冬場に差分最小値を示す

この事から原因は磁極の移動速度が磁極夏場に大となるのでは無く、夏場には太陽の日照時間が長くなるので、電離層電流等に影響を与え磁場が強くなるからである、そして、この事は北半球と南半球で磁場の強さが異なる事を意味している(各々夏場で強くなる)

と、まぁ、このような結論に至りましたです、最後の「北半球と南半球で磁場の強さが異なる」は正しいのでしょうか? これが次の疑問となります、何故なら磁力線は南磁極から出て北磁極へ至り、途中で増えるとか消えるとかはしないからです、それとも磁気リコネクションが起きているのでしょうか?

 

 

長い事、お付き合い頂き、誠にありがとう御座いました、感謝です m(_ _)m

ひとまず結論が出ましたので(強引に出しましたので)、地磁気シリーズはこれにて一旦終了致しますが、引き続き月1回のペースで各地のY成分差分等を報告して参ります

 

以上です