12月度その21 世界の北方磁場強度シリーズ➡同相逆相を数値表現する新しい指標を発見!➡追加説明あり!
世界の北方磁場強度シリーズ➡同相逆相を数値表現する新しい指標を発見!➡追加説明あり!
現在、地上観測点における北方磁場強度の日変化についてGOES衛星信号との同相逆相の関係を追っています
即ち同相逆相を数値で表現すべく、3日間の波形における基本周期24h成分についてGOES波形24h成分と地上観測点の位相差を表現しよう、とトライしています
ここで、位相によらない数値表現が可能、と思われる指標に気が付きましたので、ご報告です
さて地表近くの磁力線は複雑ですが、上空の地球磁気圏のイメージはだいたい一定で、昼側に圧縮された磁気圏と夜側に延びる磁気圏テール部から構成されています
地球磁気圏の磁力線イメージがこれ ⬇(From [Magnetosphere - Wikipedia] )
です(元はNASAの動画です、Wikiをご参照下さい m(_ _)m)
お付き合い頂ければ幸いです
まず、地磁気一般と電離圏一般です
地表の磁場強度マップ2020年は:
図a:ESAより地球全体を示せば、
図b:電離圏とfoF2とは [電離層(Ionosphere)について解説] さんより:
図c:電離圏S4シンチレーションマップはオーストラリア政府 [SWS - Section Information - About Ionospheric Scintillation] より
図d: [バンアレン帯 | 天文学辞典] によれば、
南緯30度西経60度を中心とするブラジル磁気異常では、地磁気が弱く内帯の端は高度200km程度まで降下しています
これより太陽に向かって上空ですと約9万kmの所に太陽風と地球磁気圏のぶつかり合うバウショック、約38万kmに月、約150万kmのラグランジュL1ポイントではDSCOVER衛星が太陽風を観測しています
ここから本文です
1.新しい指標➡それはパワーFFTスペクトルにありました!
例えば、逆相と思われるオタワOTTのパワーFFTスペクトルは、
図1:12月4日10時33分〜7日10時32分(UT)パワーFFT
であって、Idx7周期12h強度の方がIDx4周期24hよりも強く、レシオを取ると、
Idx7/Idx4 = 約1.2
です、その時の南中マッチング後の波形は、
図2:オタワOTT南中マッチング後の波形
であって、これは逆相である、と言ってよいでしょう
では低緯度のサンファンSJGで、やはり同じ3日間で、
図3:12月4日10時33分〜7日10時32分(UT)パワーFFT
これはIdx4周期24h成分の方がIdx7周期12h成分より強く、そのレシオは、
Idx7/Idx4 = 約0.43
です、その時の南中マッチング後の波形は、
図4:サンファンSJG南中マッチング後の波形
であって、逆相とは言えない、ある程度は同相か、と思える波形です
高緯度で逆相が観測される時は、
周期12h成分 > 周期24h成分
低緯度で同相に近くなると、
周期12h成分 < 周期24h成分
となって、Idx7/Idx4レシオによって同相逆相が数値化できる、と思われます
2.2次高調波とは何か?
波形は歪を受けると奇数次高調波を発生する、との事で、2次高調波については [第二次高調波発生 - Wikipedia] のみがネット上で見つかり、
第二次高調波発生は、非線形光学現象であり、二つの同じ周波数を持つ光子が非線形光学結晶と相互作用することにより、もとになった光子の2倍のエネルギーの光子(すなわち,元となった光の2倍の周波数ないしは,半分の波長の光)を発生させる現象のことである。この時に,もともとの光のコヒーレンスを維持していることが特徴である。
固体レーザにて観測される現象のようですが、振動する地磁気はそのまま電磁波ですから同じです
固体レーザでは結晶が共振器となって2倍周波数の光高調波が生成される訳です
しかし地磁気の場合は共振器は存在せず、まず太陽(外部要因)が強制的に24h周期の波を生成します⬅これは南中時に太陽風を吹き付ける事により24h周期となります
ここで高緯度では真夜中(南中時の反対)に夜間の磁力線がバンアレン帯やプラズマシートのプラズマにより吹き付ける事になります
この結果、高緯度では12h周期の波が発生し、低緯度では24h周期しか発生しない、と思われます⬅これは推測です
図5:[Magnetosphere - Wikipedia] より、地球磁気圏の構造
By NASA
3.では、GOES衛星ではどうか?
G16EもG17Wも綺麗な24h周期の波のみを観測しており、12h成分はありません
G17Wを例にパワーFFTを取れば、
図6:12月4日10時33分〜7日10時32分(UT)パワーFFT
となり、
図7:G16EとG17W南中マッチング後の波形
であって、完全に同相です
では、何故GOES衛星には12h成分が現れず24h成分のみか、は自明ではありません
GOES衛星の昼と夜を考えてみます、太陽光平行を仮定すれば、
図8:高度35,786kmのGOES衛星の昼と夜
この中で図7に示されるような綺麗な24h周期波形が得られる為には、
1.南中時に太陽風最大を受けて、磁場最大値を得る
2.その後、地球磁気圏にガードされて磁場強度を落としてゆく
3.夜間部においてはバンアレン帯やプラズマシートからのプラズマ爆撃を受けないで最小値を得る ➡ GOESは周期24hとなる
が成立する必要があります
まとめ:
1.GOES衛星と地上観測点における同相逆相の数値化について、地上観測点のパワーFFT解析結果のみから指標化できる方式が見つかった
2.この結果は世界まとめマップに表示できる
高緯度では周期12h成分がより強く出るレシオマップが得られるだろう
2022年1月度から開始したい!⬅波形表示も同時に公開できれば、と考えています
3.高緯度で周期12h成分が強く現れるのは夜間バンアレン帯やプラズマシートからのプラズマ爆撃による⬅これは推測です
GOES衛星で周期12h成分が検出されないのは、夜間バンアレン帯やプラズマシートからのプラズマ爆撃を受けないからである(受けない高度である)⬅これも推測です
4.上記3の推測が正しく、高緯度にて周期12h成分が生成されているのであれば、周期24h成分と12h成分はコヒーレンスな関係となる
中々面白い結果が出ました!
追加説明:2021/12/28 04:45
宇宙の徒然を語るブロガー「まさき りお(id:ballooon)」さんからコメントで:
いつか質問しようと思っていたのですが、Idx4=24h、Idx7=12h、Idx9=9hというのは、何かで決まっていることなんですか?
なるご指摘を頂きました
今までIdxと周期の関係を詳細にご説明して来なかったのですが、ここに追加説明致しますと、
3日間_72時間_4320分の信号を取ってFFT変換しますと、周期hは:
周期h = 72h / (Idx-1)
となります(Idxは2から適用可能:R言語の場合)、従って:
Idx4 => 24h
Idx5 => 18h
Idx6 => 14.4h
Idx7 => 12h
Idx8 => 10.3h
Idx9 => 9h
Idx10 => 8h
これは解析対象期間を3日間_72h_4320分(従ってデータ分解能は分)とした場合に適用されます(解析対象期間と分解能をロックすると、このように、決まってしまいます)
確認の為、
図9:
なる2信号を作り、これの和信号を作り、
図10:
これに対しパワーFFTスペクトルを取ると、
図11:
Idx4成分とIdx7成分に同じ強さでスペクトラムが立つことが分かります
Idx4が24h成分、Idx7が12h成分、として検出された事になります
追加説明終わり
以上、お付き合い頂き、誠にありがとう御座いました
感謝です!