なぜ地球磁極は逆転するのか?

太陽黒点数/オゾン全数/エルニーニョ/太陽活動と米国日本の地磁気変動を追います!

6月度その27:北方磁場強度シリーズ ➡ 6月20/21/22日、USGS中緯度_観測点の波形とフーリエパワー・スペクトルを調べてみよう!

続いて、中緯度観測点の波形観測とフーリエパワー解析を行います

 

お付き合い頂ければ幸いです

 

 

まず 6月20/21/22日 を含む柿岡K-indexグラフです

図1:柿岡K-index 2024-06-18 to 2024-06-22

 

 

中緯度ボルダーBOUの波形です

図2:BOU地磁気波形 (6月20/21/22日)

LT昼間のダウンシュートが観測されています!低緯度では観測されませんでした

 

BOUのフーリエパワー解析です

図3:BOUフーリエパワー解析 (6月20/21/22日)

 12h > 8h > 24h という結果になっていて、12hエネルギー成分が最強です

 

続いて中緯度ベイセントルイスBSLの波形です

図4:BSL地磁気波形 (6月20/21/22日)

BOUと似たような乱れですが、フーリエパワー解析を掛けてみます

 

BSLのフーリエパワー解析結果です

図5:BSLフーリエパワー解析 (6月20/21/22日)

BOUよりかなり乱れています

12h > 8h > 14.4h > 4.8h > 24h と24hエネルギーが極めて少なくなっています(24h以上の周期、3dayや1.5dayは24h以上の全体乱れですので無視)

 

 

考察:

1.まずボルダーBOUとベイセントルイスBSLの磁力線高度を確認しておきます

図6:各観測点の磁力線高度

BOU磁気赤道上_磁力線高度は2,150km、BSLは1,500kmです

 

2.中緯度地磁気波形の特徴は、LT昼間にダウンシュートを観測し不安定になり、低緯度に比べ12h振動成分が強く出現する事です(高緯度北極域の波形は特殊な対流電流による結果であると考え、比較対象から外します)

12h成分が最も強く現れるという事は「潮汐」を強く示唆しています、大気潮汐による12h成分は低緯度でも観測されていますが、中緯度ほど強いエネルギー成分ではありませんでした

これだけ強い潮汐振動が現れるのは、私は、バンアレン内帯が潮汐振動しているのではないか?と考えています

ドライビングフォースはもちろん太陽風ですが、それを受けてバンアレン内帯が卵の殻のように振動するのです

ヴァン・アレン帯 - Wikipedia より

図7:By Booyabazooka

右上の説明文はブログで追加

 

3.熱圏

図8:地球大気の鉛直構造

より 熱圏 - Wikipedia を調べてみると、

太陽からの短波長の電磁波や磁気圏で加速された電子のエネルギーを吸収するため温度が高いのが特徴であり、2,000℃相当まで達することがある

熱圏の温度は、あくまでも分子の平均運動量によって定義される。分子の密度が地表と比べてきわめて低いため、実際にそこに行っても大気から受ける熱量は小さく熱さは感じられないとされる。

なるほど〜

熱圏の大気の分子は太陽からの電磁波や磁気圏で加速された電子のエネルギーを吸収して一部が電離している。この電離したイオンと電子が層になっているのが電離層である。熱圏にはE層、F1層、F2層(夜間は合わさってF層となる)が存在し、また季節によってスポラディックE層が出現する。

興味があるのは熱圏または電離圏の最上部です

中間圏より下では混合によって大気中の分子の存在比は一様になるが、熱圏は大気の密度が低いため十分に混合せず、重力による分離が起こる。分子量の大きな分子が下に集まるため、80-100 kmでは窒素が主成分、170 kmより上では酸素原子が、1,000 km程度ではヘリウムが多い。

なるほど、熱圏では重力による分離が起こる

熱圏最上部(電離圏最上部)ではLT昼間に光解離し熱圏で暖められた高温な電子が重力による浮力により上昇している可能性があります(800km付近で)

 

図9:バンアレン内帯・中間域・外帯における荷電粒子密度と高度 日本原子力機構JAEAさんを参照すれば

[電子、陽子(バンアレン帯)のエネルギー別線量分布] より

高度800kmというとEe>0.5MeVなる電子線束密度 10^10 程度期待できそうです

ジャイロ運動は電子の持つエネルギーではなく数で決まるので、期待したい所です

 

4.LT昼間に熱圏最上部(電離圏最上部)800km付近で電子密度が高くなり、バンアレン内帯による潮汐作用により空間圧縮が起これば、電子ジャイロ運動が効率よく行われ背景磁場強度を減衰させる効果があります

こうして中緯度ではバンアレン内帯による潮汐運動とLT昼間に熱圏(電離圏)最上部に上昇してきた電子雲によるジャイロ運動で磁場強度が減衰するのです

 

空間圧縮があった時、場合によっては磁力線空間の圧縮による磁場強度の増大(GOESや低緯度)、場合によっては電子密度の増大に伴うジャイロ運動効果により磁場強度の減衰(中緯度)、と目的に応じて調子よく使い分けている感は否めません(私自身がそう思いますから)

実際、図9の静止軌道を見てみればGOES衛星空間では、Ee>0.5MeVなる電子線束密度は 10^11以上あるのでこれをどう説明するのか?にスグ直面します

GOES軌道における空間圧縮は太陽風による磁力線空間圧縮に効いて、バンアレン内帯の潮汐振動による空間圧縮は電子線束密度の圧縮に効く、などという説明が成り立つのでしょうか?

ですが、現時点ではこれ以外に思い付かないのです・・・

 

 

 

お疲れ様でした、お付き合い頂きありがとう御座います

感謝です m(_ _)m