なぜ地球磁極は逆転するのか?

太陽黒点数/オゾン全数/エルニーニョ/太陽活動と米国日本の地磁気変動を追います!

5月度その20 世界の北方磁場強度シリーズ ➡ オゾン分子の常磁性を調べる!

世界の北方磁場強度シリーズ ➡ オゾン分子の常磁性を調べる!

 

 

世界各地の北方磁場強度測定を終えて世界まとめマップに入る前に、オゾン分子は常磁性であるのかどうか、を調べます

不対電子を有する原子・分子は常磁性となる、からまず不対電子から調べ、それからオゾン分子に入ります

 

 

お付き合い頂ければ幸いです

 

 

まず、オゾン層電離圏バンアレン帯です

図a:成層圏オゾン層 [気象庁 | オゾン層とは]さんより

オゾン分布ピークは高度20〜30kmに当ります

 

図b:電離圏 [ユーザーガイド | 電離圏 | 宇宙天気予報] さんより

密度X軸はLogスケールである事に注意!

 

図c:「バンアレン帯 | 天文学辞典」によれば、

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Y軸は磁気赤道上空と思われます(但しブログ追加のGOES衛星は地軸赤道上空)

南緯30度西経60度を中心とするブラジル磁気異常では、地磁気が弱く内帯の端は高度200km程度まで降下しています

これより太陽に向かって上空ですと約9万kmの所に太陽風と地球磁気圏のぶつかり合うバウショック、約38万kmに月、約150万kmのラグランジュL1ポイントではDSCOVER衛星が太陽風を観測しています

 

 

ここから本文です

1.世界観測点マップと磁気赤道上の磁力線高度マップです

まず、世界まとめマップから全体の位置関係の把握です

図1:世界観測点マップ

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中央横の緑ドットラインが、磁気赤道_2021です

 

図2:各観測点の磁気赤道上の磁力線高度マップ

各層の高さと幅を概略で示してあります、幅は半値幅イメージでこれを超えるとゼロになる訳ではありません

高度25kmにオゾン層幅約10km、高度200kmにF層幅約40km、高度300kmにF2層幅約40km、高度2,000kmにバンアレン内帯陽子ベルト幅約500km、3,000kmに電子ベルト幅約500km

問題はバンアレン内帯で、ブラジル上空では高度約200kmにまで端が接近している、との事ですが無視しています、全体として高さ幅ともに概略です

 

 

2.酸素不対電子とオゾン共鳴状態!

[活性酸素とは?おっさんhobby] が分かりやすかったので、不対電子についてここから引用させて頂きますと:

酸素原子は図のように8個の電子を持ち最外殻のL殻に対(ペア)にならない不対電子が2個存在します。

図1:酸素原子と2個の不対電子(黒丸)

L殻は8個の電子が入り得る軌道ですが、酸素原子はL殻に6個の電子しかありません、そして電子はスピンペアで対になってシートに入ります

この場合、(●,●)(●,●)と入って(●,○)(●,○)となります

4個目5個目の電子が(●,●)とならずに(●,○)が2個となるのは、その方がエネルギー準位が低い(安定しているという事)からです

ですが、ここにシートをペアで埋めず単独で入る「不対電子」が2個生成されます

 

気体では酸素原子は単独で存在はせず2個の原子が互いの不対電子を共有して共有結合した酸素分子として存在します。酸素分子の状態では下図のように2個の不対電子(図の灰色の電子)を持ちます。

図2:酸素分子も2個の不対電子を有する(グレー丸)

なるほど、そういう事でしたか!

シートをペアで埋めず単独で入る電子は局所的不安定(偏在)するので、磁性を帯びる(常磁性)のでした

 

ではオゾン分子もそうか、というとそれがそうでもない

[Ozone - Wikipedia] によれば、オゾン分子は磁気モーメントを有する磁性体(棒磁石)であって、それは共鳴状態から来るのである

図3:共鳴状態にあるオゾン分子 by Ben Mills

共鳴状態、電荷マイナスが左右に振動、から形成され、オゾン分子も常磁性体でした!

 

そしてオゾン濃度分布マップが載っており、

図4:世界のオゾン濃度分布 2000年6月

中高緯度で濃度大となります(6月という事で北半球の方が高濃度であるように見えます)、従って中高緯度で帯を形成し12h/8h潮汐振動する可能性を示しています

 

 

3.しかし、大気は地表で12h潮汐振動している

低緯度では地表で大気の12h潮汐振動が観測される、より低緯度という事で那覇(北緯26.3°)から与那国島(北緯24.5°)に変更して5/1〜3の気圧変化を観測すると、

図5:与那国島における地表の大気振動

と明らかに12h振動しており、パワーFFTスペクトルを取ると、

図6:与那国島パワーFFTスペクトル

72h成分が最も強いのですが、72h>12h>24hと12h成分が24hより強く出ます

ここで酸素分子は常磁性であり、低緯度であれば12h潮汐振動しているのですから、クールーKOUやグアムGUAでマジェンダ12h振動が24h統計分布にあらわれてもうよさそうですが、全く観測されません

これは対流圏における酸素分子が北方磁場強度の変動に寄与していない事を意味しています

対流圏は、まだ温度が高く密度も大であるため衝突が多く磁場方向への整列が有効に成されない為、酸素分子整列による磁場強度増加が作用しない、と考えられます

 

 

現時点のまとめ:

ひとまずオゾン分子は不対電子は有しないが共鳴状態にあり磁気モーメントを有する(棒磁石であるという事)が分かりました

要するに常磁性である、という事です

 

 

以上、お付き合い頂き、誠にありがとう御座いました

感謝です!