世界の北方磁場強度シリーズ ➡ 磁気モーメントで世界を揃える!
次のステップは北方磁場強度の計算ですが、実はこれは北方磁束密度の計算であり、それを空間物質の磁気モーメントの総和に帰着させる、という事になります
お付き合い頂ければ幸いです
まず、オゾン層と電離圏とバンアレン帯です
図a:成層圏オゾン層 [気象庁 | オゾン層とは]さんより
オゾン分布ピークは高度20〜30kmに当ります
図b:電離圏 [ユーザーガイド | 電離圏 | 宇宙天気予報] さんより:
密度X軸はLogスケールである事に注意!
Y軸は磁気赤道上空と思われます(但しブログ追加のGOES衛星は地軸赤道上空)
南緯30度西経60度を中心とするブラジル磁気異常では、地磁気が弱く内帯の端は高度200km程度まで降下しています
これより太陽に向かって上空ですと約9万kmの所に太陽風と地球磁気圏のぶつかり合うバウショック、約38万kmに月、約150万kmのラグランジュL1ポイントではDSCOVER衛星が太陽風を観測しています
ここから本文です
1.磁場Hと磁束Bの関係は?
そもそも磁場を取扱う考え方として、歴史的に電場ー磁束(E-B流)で考える流儀と、電場ー磁場(E-H流)で考える流儀があるようで、ここに磁化(物質に外部磁場をかけたときに、その物質が磁気的に分極して磁石となる現象)と磁気分極なる概念があって、物質は磁化によって内部に磁気分極が起こり磁石となる考えで、 [E-B対応とE-H対応 - Wikipedia] によれば:
磁化 M と磁気分極 Pm は、磁場強度 H と磁束密度 B と真空の誘電率 μ0から、
と定義される。(両者合わせて1式とする)
であって、
磁化MはE-B流のとき、磁気分極PmはE-H流のときに使われることが多い。
だそうである(どちらでも同じである)
ここで、磁化と磁場の関係を考えると、
磁化 M は磁場の強度 H と比例する。
この比例定数 χ を磁化率という。ここで上記1式を使いMを消去すると、
となり、磁束密度 B は磁場の強度 H に比例する。 この比例定数 μ は透磁率という。(これを合わせて2式とする)
要するに磁束密度は係数(透磁率)を通じて磁場に比例する
そして透磁率は空間物質に依存する事になる
即ち、オゾン層における透磁率、F/F2層における透磁率、陽子ベルトにおける透磁率、電子ベルトにおける透磁率、プラズマGOES高度空間における透磁率、等々であってそれは各空間にて測定しないと分からない ⬅ これは調べてもすべては揃わないだろう!
そこで出て来るのが、微視的定義である
即ち、スピンを持つ電子や陽子、共鳴状態にあるオゾン分子はすべて単体で磁気モーメントを持つ磁石であり、ジャイロ運動する電子や陽子も磁石となるから磁気モーメントを持ち、この磁気モーメントをμとし、その全体平均を<μ>とし、空間体積をV、個数をNとすれば、磁化Mは:
にて定義され(これを3式とする)、物質の単位体積当りの磁気モーメントとなる
3式と2式から、
B = μ0((N/V)*<μ> + H)・・・(A式)
が導出され"χ"は除去される
μ0は真空中の誘電率であるから、第2項が真空の磁場による磁束密度への寄与、第1項が物質空間が持つ磁気モーメントの磁場による磁束密度への寄与、である
Wikiは3式を固体として定義しているが、観測点と共役点を結ぶ磁束管を輪切りにし体積空間の連続とし、各空間におけるVとNを独立に設定し各Bを加算すれば良いのである
またWikiには2式は強磁性体には使えない、と出ているがこれも問題ないだろう
2.磁場変動成分のみを取り出す
今ここで着眼しているのは、北方磁場強度の変動成分であり、24h/12h/8h程度の周期である
この変動成分は太陽光圧起因またはプラズマシートからの飛来プラズマ起因によって、電子ベルト・陽子ベルト・F/F2層・オゾン層における磁気モーメントが変動を受けて磁場強度を変化させている、と考える
従って、(A式)から磁気モーメントが寄与する"(N/V)<μ>"を取り出し真空が寄与する"H"を削除し、
B = μ0(N/V)*<μ> ・・・(B式)
と簡略化し、Nと<μ>が時間と共に変化し24h/12h/8h等の成分を作り出す、と考える
こうして得られる磁場変動成分B式は、磁束密度Bの変動成分となる
ここで重要なのは、今まで報告して来た北方磁場強度の単位を見て頂ければ分かるように、それは”Tテスラ”である、多くの場合”10^-9のnTナノテスラ”を用いているが、これは磁束密度の単位なのである
3.そして各要素の磁気モーメントを求める
1.電子スピンの磁気モーメント [磁気モーメント - Wikipedia]
-928.476 4620 [10^-26 J・T^-1]
2.陽子スピンの磁気モーメント [磁気モーメント - Wikipedia]
1.410 606 7873 [10^-26 J・T^-1]
3.オゾン分子の磁気モーメント [Ozone - Wikipedia]
0.53 [D]
4.電子ジャイロ運動の磁気モーメント [プラズマ物理 - Wikipedia]
mv^2/2B [mは電子質量、vは磁力線と直交する電子回転速度]
5.陽子ジャイロ運動の磁気モーメント [プラズマ物理 - Wikipedia]
mv^2/2B [mは陽子質量、vは磁力線と直交する陽子回転速度]
すべて出典元の単位系をそのまま記載した、計算の際には当然合わせます
こうして(B式)をもって、次の計算ステップへ進みます
正確には題名は「北方磁場強度シリーズ」から「北方磁束密度シリーズ」に替えるべきでしょうが、ここはこのまま進めさせて下さい
コメントバック:
現在こちらからコメントが入らずで、本文で返信させて頂いております
Rio同志! (id:ballooon) その1:
コメントありがとう御座います、感謝です
>磁束ということは、観察点と共役点を結ぶ弧を描いてるアレのことですよね?
そうです「弧」そのものは磁力線で、それを束にしたものが磁束で、観測点と共役点を立体的な管としたものが磁束管で、それを輪切りにしたものが磁束面で、磁束面を垂直に通過する単位面積当りの磁束の強さが "Tテスラ" で表現する磁束密度Bです
>それぞれの高さで、オゾンとかF2層とかヴァンアレン帯とかの磁気の値ということですか?
そうです、それぞれの層の高さにおける磁束面を通過する磁束密度を計算します
計算はそれぞれの高さにおけるそれぞれの粒子が持つ磁場の強さ「磁気モーメント」を加算します
上図はS55.1°E220.4°から出発した磁力線が高度2,506kmを経てN45.0°E240.0°に着地する地球磁力線を示しており、マジェンダ面を通過する磁束密度の大きさを求める訳ですが、それは粒子各々の磁気モーメントを加算してゆけば良い、となります
>モーメントってなんでしたっけ?
モーメントとは「慣性」の事ですが、磁気モーメントで「棒磁石の強さ」です、オゾン分子・電子ジャイロ運動・陽子ジャイロ運動・スピンする電子・スピンする陽子、各々がすべて固有の磁気モーメントを有します
地球も巨大な棒磁石ですから上図磁力線で示される磁気モーメントを持っています
大きな棒磁石に小さな棒磁石を近づけると小さな棒磁石は連結してくっつき始めますが、それと同じで、地球磁力線に沿って小さな棒磁石であるオゾン分子・電子陽子ジャイロ運動・スピンする電子陽子は磁力線に沿って整列し並ぶのです
オゾン分子とスピンする電子陽子は磁場を強める方向に並びます(常磁性)
電子陽子ジャイロ運動は磁場を弱める方向に並びます(反磁性)
これを各々高さについて磁力線パターンに沿って加算した時に、観測結果と同じグラフが得られるか?を計算したい、と考えています
>単位がテスラだから小数点になるんじゃ・・?
あ、テスラは実数表示ですから浮動小数点表示ですが、1.0テスラを1テスラと書いたりはしますし、単にテスラと書いたら1テスラです
電子陽子の磁気モーメントの所にあるT^-1は1/Tの事です
>電子スピンの値がマイナスなのはどういう意味ですか?
陽子と電子は正確に同じ電荷量ですが陽子は正電荷で電子は負電荷と方向が逆なので、電子は逆方向に向いた棒磁石になる(磁気モーメントを有する)という意味で、陽子の方向を正に取り、電子の方向を負とする為です
以上です
以上、お付き合い頂き、誠にありがとう御座いました
感謝です!