11月度その28:北方磁場強度シリーズ ➡ 過去巨大磁気嵐2003年10月29日のハロウィンイベント・波形とスペクトルを取ってみる!
NICT NEWS なるNICTさん情報サイトがありまして、2011年のインタビュー記事 NICT NEWS に、
問:
太陽活動によって受ける影響の具体例を教えて下さい。
答:
私たちが「ハロウィン・イベント」と呼んでいる、2003年10月末に太陽の活動が非常に活発になった時期に、日本の人工衛星「こだま」に搭載されたセンサーにノイズが入って地球の方向を見失い、衛星の姿勢制御に不具合が発生しました。
あッ、それでしたらその時の地磁気変動グラフ、出せます
カナダ政府の地磁気サイトは、2000年以降であればデータが開示されていますので
お付き合い頂ければ幸いです
aa指数なる地磁気変動を示す指数があって、私は使った事がないのですが、その指数歴代1位 磁気嵐 - Wikipedia に、2003年10月29日の磁気嵐があります
これが、その2003年の「ハロウィン・イベント」でしょう!
観測期間は、2003年10月28日から10月30日の3日間で観測します
観測対象は、イエローナイフYKC、フォートチャーチヒルFCC、オタワOTT、ビクトリアVICの4地点です
図1:オーロラ帯とサブオーロラ帯
イエローナイフYKCとフォートチャーチヒルFCCはオーロラ帯に、オタワOTTとビクトリアVICはサブオーロラ帯に属しています
サブオーロラ帯とは、オーロラはそこそこ出る(観測される)という事なのでしょう
以下、測定結果です
イエローナイフYKC:
図2−1:地磁気変動
YKCの午前零時をオレンジ縦線で示しています
29日のLT午前零時頃は、激しく減衰しています
図2−2:スペクトル
Wikiに載るような巨大磁気嵐ですと、72h成分が最大となります
フォートチャーチヒルFCC:
図3−1:地磁気変動
29日のLT午前零時頃のダウンシュートが凄いです
図3−2:スペクトル
やはり72h成分がダントツ一位です
オタワOTT
図4−1:地磁気変動
28日、29日、30日と、LT午前零時頃にそれほど大きなダウンシュートは見られません
図4−2:スペクトル
何と、Wikiに載るレベルの巨大磁気嵐で、24h成分がダントツ1位になっています!
オタワOTTは、磁気嵐の影響を受けにくいように思えます
ビクトリアVIC
図5−1:地磁気変動
3日間ともLT午前零時最低値を付ける事はありませんでした
最低値は、29日と30日のLT正午頃に付けています
図5−2:スペクトル
何と、24h成分が最強でした!
まとめ:
1.オーロラ帯(イエローナイフYKCとフォートチャーチヒルFCC)とその南側のサブオーロラ帯(オタワOTTとビクトリアVIC)では、波形・スペクトルともに全く異なる様相を呈する
2.オーロラ帯では2日目と3日目にLT午前零時頃に最低値を付けるのに対し、サブオーロラ帯ではLT午前零時頃に最低値を付ける動作はしない
スペクトルについては、オーロラ帯では72h成分が一番強く出るのに対し、サブオーロラ帯では何と24h成分が最も強く出るのである
3.オーロラ帯において磁気嵐の日と次の日には、午前零時頃に深くダウンシュートするという事は、夜間プラズマシートの磁気リコネクションによるプラズマ爆発により夜間プラズマシートから地球へとプラズマが照射され、この還流したプラズマはオーロラ帯の磁力線にトラップされ、かつプラズマ・ジャイロ運動により背景磁場を弱めるので午前零時頃に深くダウンシュートするのである
4.この動作であれば巨大磁気嵐の時にもオーロラが観測されても良さそうである
しかし巨大磁気嵐の際には、停電になった、とか、人工衛星がぶっ壊れた、とか聞くけれど巨大なオーロラが全天を覆った、といったニュースは聞かない
これは想像だけれども、巨大磁気嵐時にはあまりに夜間プラズマシートから飛来するプラズマ流が多くて、そのジャイロ運動により背景磁場を減衰させ過ぎる為、オーロラに至らないのだと思う
即ち、オーロラが発生するには夜間プラズマシートから飛来するプラズマは、そこそこ適量である必要がある、のだろう
コメントバック
リオ同志(id:ballooon)!
コメントありがとう御座います、感謝です!
>ハロウィン・イベント、すごい磁気嵐だったんですね?-1000以下になってますね
>Σ(゜ロ゜;)今まで見たグラフは500までだったような気がするのですが・・
流石です、よく見ておられる、その通りです!
スケールを1000にまで引き上げたのは今回「2003年ハロウィン・イベント」が初めてでした
>バチンッ!の証拠見~つけた!ですね?
まだまだ、これから、です!
1.磁気嵐時GOES16のElectron FluxとProton Fluxを観測して、GOES16のLT00時近辺で、確実に逆流(パチンッ)が発生している事、の確認
2.パチンッからオーロラ起因になるのは、Electron逆流か、Proton逆流か、どちらもか、を確定させる事
の2点ですね、これからやるべき事は!
>金星探査機「あかつき」、JAXAの不屈の精神で何とか金星の軌道に乗れた人工衛星、良い仕事をしてますね~(*^^)
全く、です
>太陽表面よりその上空の方がはるかに温度が高いのって理由がわかってないですもんね?
「あかつき」と地球の間に太陽を挟んで、太陽表面をカスメた時のスペクトルと、太陽表面をハズレた時のスペクトルを比較すると、太陽表面の温度(要するにプラズマの運動)が分かる、とは、、、凄いです!
極めて安定した周波数源(発震源)が必要と書いてありましたが、、、
私もスペクトル間の差異から何かを導出しよっかな?と思いました
簡単に言えば、磁気嵐時のYKCスペクトルとOTTスペクトルを比較して、明らかにYKCでは逆流パチンッが起きているが、OTTでは起きていない、とか?
最初から答えを決めておいて観測するのは良くないですね?
でも私に出来るのは、それくらいかな?
>1AUは太陽半径の約215倍でしたか!
はい、そうなります
ですから太陽表面で最初プラズマ粒子(電子陽子どちらも)は時速10万km〜20万kmであるのが、太陽半径20倍の所では時速150万kmに加速される
この際、太陽半径20倍の所では、電子と陽子では加速に差が出て電子の方がより加速されている(これは私見!)
この差は、その後太陽半径の215倍の所に位置する地球に到達するまでそのまま解消されない(太陽地球間には抵抗成分が極めて少ないので)⬅ これも私見
記事「11月度その27」図2と図3から、電子は陽子より2日前に地球に到達する、とし150万kmまで加速されるのは電子であり、陽子はそれよりチョイ遅い、とすれば加速された後の移動距離は:
太陽半径(215-20)km = 太陽半径195km = 696x10^3x195km = 135.72x10^6km
であって、これを電子は:
135.72x10^6km / 1.5x10^6km/h = 90.48h かけて飛行し地球に至る
陽子はそれより48h遅く地球に到達するとすれば、陽子スピードは:
135.72x10^6km / (90.48 + 48)h = 0.98x10^6km/h となり、
1.5 / 0.98 = 1.53倍 電子は陽子より加速されている、
となります
電子のメジャーピークが地球に到着するのは陽子の1日前だ、とすれば、
135.72x10^6km / (90.48 + 24)h = 1.19x10^6km/h となり、
1.5 / 1.19 = 1.26倍 電子は陽子より加速されている、
となります(この方が26%アップ程度で、受け入れてもらえるかな?)
以上でした
コメバック終わり
尚、地磁気データはカナダ地磁気データさん [Digital Data from Canadian Magnetic observatories] からダウンロード、
GOESデータはNOAAさん [GOES Magnetometer | NOAA / NWS Space Weather Prediction Center] からダウンロードしています
ここに皆々さま方に深く感謝申し上げます
以上、お付き合い頂き、誠にありがとう御座いました
感謝です