3月度その16:地球磁極の不思議シリーズ➡ESAより、南米大陸の磁場強度が異常に弱いミステリー!
地球磁極の不思議シリーズ➡ESAより、南米大陸の磁場強度が異常に弱いミステリー!
本サイトのタイトルは「なぜ地球磁極は逆転するのか?」ですが、地磁気に関しましては定期的な更新対象にはしておりませんでした、理由は、定期的な記事とするには難しすぎたからです
そこでナントカ定期更新可能なテーマを見つけたい、と現在四苦八苦しております
しかし、宇宙の徒然を語るブロガー「まさき りお(id:ballooon)」さんからESAサイトを教えて頂きまして、そこでSWARMという地磁気探査専用の衛星3基がある事を知り、SWARMサイトからまだご紹介したい情報がありまして、もう少しESA/SWARMからの記事アップを続けたい、と考えています
まだ、しばらくは定期更新テーマの発掘などではなく、世界の地磁気サイトを勉強する段階なのである、という認識を新たにした次第です
お付き合い頂ければ幸いです
まず基本情報として地球表面の磁場強度マップ2020年です
地表の磁場強度分布図(ESAより)青が弱く赤が強い
2020年の磁北極と磁南極(方位磁石が90°下を向く)をNOAAより緑丸で示す
マップを見れば、磁場強度が強い領域は、カナダ東部・バイカル湖北部・南極大陸オーストラリア直下、の3箇所である事が分かります(磁北極直下は弱い!)、カナダ東部とバイカル湖北部はS極、南極大陸はN極の磁場です
これは基本中の基本観測情報、です
そしてESA(European Space Agency)さんのサイトより
[Mysterious weak spot in the Earth's magnetic field is spreading: ESA - YouTube]
ESAは3基の衛星を使い地球磁場を観測しており(これをSWARMと言う)、その観測結果のひとつを News Direct が2020/07/01にアップした動画で、1分34秒の英語
題名は「拡大するミステリアスな地磁気弱小スポット」
英語ですので、要所要所をスクショ&翻訳し、説明して行きます:
赤は極めて弱く黄は弱い
図2:34秒、そもそも地球は内側から、内核・外核・マントル・地殻・地表の順で構成されているの図
内核は個体の鉄、外核は流体の鉄、であり、これらが磁気を帯びる事で地球は磁石となり、磁気シールドを地球外に張って、太陽風(陽子&電子)を跳ね除けている
この図でオレンジ&ダークオレンジのマントルが、あとの説明で重要となる!
図3:38秒、地球棒磁石が太陽風を跳ね除け磁気シールドしている図
地球赤道は最も強く(遠距離で)磁気シールドされているように見える
図4:54秒、外核で加熱され、湧き上がって来るマントル・プルームの図
マントルは外核で加熱されマントル・プルームの塊として湧き上がって来ている
ここでは南米を挟んで2箇所のマントル・プルームが示されている
図5:1分03秒、ひとつは南太平洋にあるの図
この辺りは火山が多かったか?
図6:もうひとつはアフリカ直下にあるの図
確かにアフリカ地溝帯にはマントル・プルームが地表に現れている場所があったと思う
これら南米を挟むマントル・プルームが地磁気異常弱小スポットを形成する原因ではなかろうか?と考えられ始めている、と結んでいる
考察:
1.ここで示されるマントル・プルームがすべてのマントル・プルームではないだろう、と思われるが、面白い着眼である
マントル・プルームが形成されるには外核が加熱される必要があり、外核が加熱されているという事は、外核は鉄の液体であるから、大規模な対流が外核で生成されている事を示すのである
2.マントル・プルームそのものは鉄ではないので磁気は帯びない、その下の外核は磁気を帯びる、従ってマントル・プルーム直下の外核部分は加熱されており、その結果、この部分の磁場が弱くなり南米の地磁気強度が異常に弱くなっている、と考える
3.外核の対流構造に、磁気を帯びる、弱くする(もしくは強くする)原因があるのでは?という発想は期待できる!
4.何故なら、回転する地球コアが鉄だから電流が流れ磁場が発生する、という単純な発想では地磁気逆転は説明できないからである
太陽は正確に11年単位で磁極を反転させている、その原因は対流にある、地球はそこまでの周期性をもって磁極を逆転させていないが、外核の対流に持ち込めれば明るい未来が見えて来る、というものである
以上、お付き合い頂きまして、誠にありがとう御座いました
感謝です
3月度その15:地球磁極の不思議シリーズ➡磁場強度の弱い領域でのSEU測定で太陽風をキャッチ(ESA)!➡追記あり!
地球磁極の不思議シリーズ➡磁場強度の弱い領域でのSEU測定で太陽風をキャッチ(ESA)!
本サイトのタイトルは「なぜ地球磁極は逆転するのか?」ですが、地磁気に関しましては定期的な更新対象にはしておりませんでした、理由は、定期的な記事とするには難しすぎたからです
そこでナントカ定期更新可能なテーマを見つけたい、と現在四苦八苦しております
しかし、宇宙の徒然を語るブロガー「まさき りお(id:ballooon)」さんからESAサイトを教えて頂きまして、そこでSWARMという地磁気探査専用の衛星3基がある事を知り、SWARMサイトからまだご紹介したい情報がありまして、もう少しESA/SWARMからの記事アップを続けたい、と考えています
まだ、しばらくは定期更新テーマの発掘などではなく、世界の地磁気サイトを勉強する段階なのである、という認識を新たにした次第です
お付き合い頂ければ幸いです
まず基本情報として地球表面の磁場強度マップ2020年です
地表の磁場強度分布図(ESAより)青が弱く赤が強い
2020年の磁北極と磁南極(方位磁石が90°下を向く)をNOAAより緑丸で示す
マップを見れば、磁場強度が強い領域は、カナダ東部・バイカル湖北部・南極大陸オーストラリア直下、の3箇所である事が分かります(磁北極直下は弱い!)、カナダ東部とバイカル湖北部はS極、南極大陸はN極の磁場です
これは基本中の基本観測情報、です
そしてESA(European Space Agency)さんのサイト
[Earth's ever-changing magnetic field - YouTube] より動画です
ESAは3基の衛星を使い地球磁場を観測しており(これをSWARMと言う)、その観測結果のひとつで、2014年の観測成果で、2014/06/23にアップされた動画
動画は2分27秒と少し長く無音声で、題名は「変化する地球の磁場」:
長いので、要所要所をスナップショットして行きます:
図1:1分9秒、Swarmから見た磁場強度2014年
青が弱く赤が強い、中央にインドネシアが見える
図2:1分37秒、そこでSingle Event Upsets(SEU)をお見せしますの図
SEUとは、シングル・ビット・エラーとも呼ばれる半導体メモリのエラー検出の事で、1ビットの値がひっくり返ってしまう現象、原因は外部から飛来するアルファ・パーティクル(陽子)でメモリの値が書き換えられてしまうエラー現象
地球右肩に薄っすらと3基の衛星Swarmが見えるが、Swarmのメモリ内SEU検出を行って、磁場の弱い青い領域でSEUが多数検出されている、と言いたい動画
中央上にインド亜大陸
図3:1分46秒、大西洋上を測定しているの図、中央に南米が見える、白ポチがSEU検出箇所
要するに圧倒的に青い磁場強度の弱い領域でSEU白ポチは検出されている
縦に見える白い線はSwarmの軌道、Swarmは南北方向に周回する衛星である
中央右に大西洋、左に南米大陸
図4:1分48秒、南米大陸上のSEU白ポチの図
図5:1分55秒、南米を抜けて太平洋に来ればSEU白ポチはほとんど検出されないの図
中央が太平洋、左上に日本列島
まとめ:
地球磁場強度の弱い領域で、圧倒的にSEUが検出される、特に南大西洋と南米大陸が顕著
SEUは太陽風の陽子が原因で発生する現象であり、磁場が弱い領域は太陽風に対して磁気シールドが効かない事を示しています
追記:2021/03/17 20:00
先頭の図(地表の磁場強度分布図)を更新しています
今までは2000年のバージョンでしたが、ESAさんに2020年版がありましたので、差し替えました
ESAさんのSwarm衛星による測定マップを見ますと、磁北極直下には「磁場強度の強い領域が見当たらない」ではなく「S極が分散して広がり、カナダ東部とバイカル湖北部に強い領域があり、磁北極直下には特に強い領域は見当たらない」という表現が適切であるように思えます
以上、お付き合い頂きまして、誠にありがとう御座いました
感謝です
3月度その14:地球磁極の不思議シリーズ➡南大西洋地磁気異常とは?➡追記あり!
地球磁極の不思議シリーズ➡南大西洋地磁気異常とは?
本サイトのタイトルは「なぜ地球磁極は逆転するのか?」ですが、地磁気に関しましては定期的な更新対象にはしておりませんでした、理由は、定期的な記事とするには難しすぎたからです
そこでナントカ定期更新可能なテーマを見つけたい、と現在四苦八苦しております
まだまだ定期更新可能なテーマが見つかった訳ではありませんが、南大西洋に見られる異常な地磁気減衰についてアップしたい、と考えております
と申しますのも、宇宙の徒然を語るブロガー「まさき りお(id:ballooon)」さんが昨日の記事で:
「南大西洋異常帯」と呼ばれてる磁気の弱いところとかはどうなんでしょうか?
なるコメントとESAのサイト情報を頂きまして、あぁあの南米で地磁気が異様に弱い領域ですね?と思ったのですが、まともに調べた事はなかったので、今回指定されたESAサイト情報から追ってみました
お付き合い頂ければ幸いです
まず基本情報として地球表面の磁場強度マップ2000年です
図1:地表の磁場強度分布図(全磁力2000年)
2000年当時の磁北極と磁南極位置(方位磁石が90°下を向く位置)を緑丸黒縁で示しています
図1を見れば、磁場強度が強い領域は、カナダ東部・バイカル湖北部・南極大陸オーストラリア直下、の3箇所である事が分かります(磁北極直下には存在しない!)、カナダ東部とバイカル湖北部はS極、南極大陸はN極の磁場です
そしてESA(European Space Agency)さんのサイト
[ESA - South Atlantic Anomaly impact radiation] より動画です
ESAは3基の衛星を使い地球磁場を観測しており(これをSWARMと言う)、その観測結果のひとつで、2014年〜2019年の5年間の観測で、放射線異常値を検出した箇所を白ポチで示している
動画は50秒です
最終結果のマップを示せば、
図2:2014年〜2019年SWARM放射線異常値検出累積マップ
となります
考察:
1.南大西洋と南米中央には放射線異常値検出がこの5年間で異様に蓄積されている、これは地磁気による磁気シールドが弱い領域である事を示している
2.北極部と南極部の周囲でも異常値検出が蓄積されているが、これはオーロラ発生領域(オーロラ帯・オーロラベルトと言う)であるように思える、オーロラ帯では放射線異常が観測されやすいのかどうか、今すぐには(私には)分からない
3.それでも、2000年における磁場強度が強い領域(カナダ東部・バイカル湖北部・磁南極位置)での放射線異常は少ないように見える
4.加えて、放射線異常は赤道領域ではほとんど見られない、これは赤道帯では磁気シールドが厚い事を意味しているが、特に赤道帯で地磁気の磁場が強い事はなく、別の原因だろう(太陽風は赤道帯で押しのけられるのかどうか、今すぐ私には分からない)
従って、南米中央は太陽風が強い(放射線が強い)という事は言える、ここで放射線とはアルファ・ベータ・ガンマのどれか?だけれども、ガンマではないだろう
追記:2021/03/16 20:00
ESAさんのサイトを探していたら、[ESA - Magnetic field] なる動画があり、そこから関連するスナップショットと取ると:
左から太陽風が吹き寄せており、地球が磁気シールドにより太陽風をはねのけている図なのですが、やはり北極と南極には太陽風が入り込む領域があります
これはオーロラ帯で、やはりこれが白ポチの原因でした
以上、お付き合い頂きまして、誠にありがとう御座いました
感謝です
3月度その13:地球磁極の不思議シリーズ➡日本列島における地磁気の偏西と地球全体における地磁気強度の減衰!
地球磁極の不思議シリーズ➡日本列島における地磁気の偏西と地球全体における地磁気強度の減衰!
本サイトのタイトルは「なぜ地球磁極は逆転するのか?」ですが、地磁気に関しましては定期的な更新対象にはしておりませんでした、理由は、定期的な記事とするには難しすぎたからです
そこでナントカ定期更新可能なテーマを見つけたい、と現在四苦八苦しております
まだまだ定期更新可能なテーマではありませんが、地磁気の偏西と地磁気の強度減衰についてまとめておきたい、と考えております
日本列島における方位磁石の偏角は西に偏る偏西であり、この原因はバイカル湖北部にける磁場強度が増加している為である事を記事にしましたが、地球全体としての磁場強度は減衰している事は皆さまご存知の通りで、この辺りをまとめたいと思います
お付き合い頂ければ幸いです
有名な気象庁さんのサイト [地磁気観測所|基礎知識|地磁気] から図を引用しており、ご存知の方も多いかと思います
1.日本列島における地磁気の偏西
東京で磁石の針が示す方向(地磁気の偏角)は、現在は北から7度西ですが、伊能忠敬が地図を作製した200年前はほぼ北を向いていました。350年ほど前に来朝したオランダ船の記録は、約8度東だったことを示しています。このことから日本付近の偏角は、この350年で東から西へ15度ほどずれてきたことがわかります。このような地磁気が数十年から数百年という長い間に変化することは世界中でよく知られており、これを地磁気の永年変化とよんでいます。永年変化は場所によりその変化の様子は様々ですが、これは地磁気の地球規模での空間パターンが変化していることを示しています。
図1:柿岡における偏角の永年変化
日本付近で測定された観測値をもとに柿岡での偏角に引き直したもの
この原因は、1800年以降バイカル湖北部に強力なS極が発達してきたからで、
図2:地表の磁場強度分布図(全磁力2000年)
バイカル湖北部の黄色い部分が日本列島における方位磁石を西方へ偏角させている事は前にも述べた通りです、2000年当時の磁北極と磁南極位置を緑丸黒縁で示しています
図2を見れば、磁場強度が強い領域は、カナダ東部・バイカル湖北部・南極大陸オーストラリア直下、の3箇所である事が明白に分かります(磁北極直下には存在しない!)、カナダ東部とバイカル湖北部はS極、南極大陸はN極の磁場です
このマップは見やすい、と思います
2.地磁気強度の減衰
一方、
外核起源の磁場の形は地球の中心に南北方向の棒磁石をおいた場合と似ていますが、その棒磁石の強さが少なくとも最近200年間減少を続けています。この変化は何万年以上にもわたって繰り返されている増減のほんの一部を見ているにすぎず、このまま地磁気がなくなってしまうわけではないと考えられます。
図3:地心双極子(地球磁場を棒磁石と見なした磁力)の減少
ここで地心双極子なるものを説明する必要があります、[地磁気 - Wikipedia] より、
地球の磁場を磁気双極子(完全なる棒磁石)としたとき、地磁気の分布が観測された分布図と同じになる棒磁石の長さ方向への延長線が地表面へ出てくる2地点である。地磁気極は地球の中心に対して対称な位置にある。
であって、磁北極や磁南極(図2の緑丸黒縁)とは異なります! 地磁気極は京都大学さんサイトより、
図4:北半球の地磁気極を示す、磁極とあるのが磁北極で図2の緑丸黒縁であり、両者は異なる!
そして、
図5:南半球の地磁気極を示す、磁極とあるのが磁南極で図2の緑丸黒縁であり、両者は異なる!
何のためにこんな複雑な(紛らわしい)地磁気極表現が必要なのか?と言うと、それは図3を取る為、と言っても過言ではない!
地球全体としての磁場強度を求めたい(ローカルな場所単位ではなく)とした時には、完全なる棒磁石モデル近似が必要なのである!
結果、我々は、地球全体としての磁場強度がほとんどリニヤに1800年以降減衰している、事を知るのである(図3)
バイカル湖北部の磁場強度が1800年以降増加の一途をたどっているって?⬅ それはローカルな話であり、地球全体としては減衰しているのである
以上、お付き合い頂きまして、誠にありがとう御座いました
感謝です
3月度その12:地球磁極の不思議シリーズ➡地球コア表面の流れを考察しよう!
地球磁極の不思議シリーズ➡地球コア表面の流れを考察しよう!
本サイトのタイトルは「なぜ地球磁極は逆転するのか?」ですが、地磁気に関しましては定期的な更新対象にはしておりませんでした、理由は、定期的な記事とするには難しすぎたからです
そこでナントカ定期更新可能なテーマを見つけたい、と現在四苦八苦しております
そのような中で前回記事、
「3月度その11:地球磁極の不思議シリーズ➡地球コア外核の動きとは?驚愕の結果が二つ! - なぜ地球磁極は逆転するのか?」
をアップし、地球コア表面の磁場強度分布と地球コア表面の流速分布を示しました
ここで特に流速分布に関して考察しましたので、ご報告です
お付き合い頂ければ幸いです
地学雑誌114(2) 132-141 2005「地球磁場から推定されるコアの流体運動」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jgeography1889/114/2/114_2_132/_pdf
東京工業大学地球惑星科学・松島政貴さん論文からの抜粋です
以下の図1が、2000年におけるコア表面における地球磁場動径成分の分布である
Orsted主磁場永年変化モデル(Orsted Main and Secular Variation Modelと称されるモデル)である
図1:2000年におけるコア表面における地球磁場動径成分の分布
等値線の間隔は100μTであり,実線が正,破線が負を表す.グレイスケールは磁場強度を表す
図1には(図2にも)、2000年における磁北極と磁南極と2020年におけるカナダ東部とバイカル湖北部の強いS極特性を示す位置が示してある
コア表面の磁場強度の移動から、コア表面流体の流れが算出でき、
図2:2000年におけるコア表面の流れ(Matsushimaの方法1995による)
最大速度は27.7km/年である、としている
考察:
1.図2のコア表面の流れを見ると、特にアフリカ南部から南米に渡って西向きの流れが見て取れる、最大27.7km/年の流速もこの辺りで観測される
2.ここで西向き(右から左)とは何か?を考えてみる、地球は東向き(左から右)に向かって回転している、従って地球表面の回転方向につられてコア表面も回転しているのだが、地球表面の回転速度には追いつかず遅れが出る、この遅れが西向き(反対向き)に最大27.7km/年と出るのである
3.図2は地球表面から見た図であり、地球表面は高速に回転しているのだが、それが静止しているとしてマップを取ると、西向きの流れが遅延として現れているのである、加えて、図2を見ると一様に西向きに流れている訳ではなく、循環しているように見える
4.ここで太陽表面における磁場の凍結と、その流れを考えてみると、それは太陽赤道から北と南に向かって凍結した磁場が流れてゆくのである(ベルナール対流現象)、こうして太陽の場合は磁北極と磁南極に凍結した磁場が流れ着き、この時の凍結した磁場の磁性はその時の磁極と特性と逆となっており磁極を反転させるのである、11年単位で
5.地球コア表面の流れを見ると、南北方向への流れは強くは見えないので、太陽の磁極反転とは異なるメカニズムであろう、と思われます
以上、お付き合い頂きまして、誠にありがとう御座いました
感謝です
3月度その11:地球磁極の不思議シリーズ➡地球コア外核の動きとは?驚愕の結果が二つ!
地球磁極の不思議シリーズ➡地球コア外核の動きとは?驚愕の結果が二つ!
本サイトのタイトルは「なぜ地球磁極は逆転するのか?」ですが、地磁気に関しましては定期的な更新対象にはしておりませんでした、理由は、定期的な記事とするには難しすぎたからです
そこでナントカ定期更新可能なテーマを見つけたい、と現在四苦八苦しております
前回の記事、
「3月度その10:地球磁極の不思議シリーズ➡磁北極のバイカル湖北部への移動原因とは? - なぜ地球磁極は逆転するのか?」
にて、今後の北磁極の動き予想を述べたのですが、やはり地球コアの動きが分かりませんと今後の動向は予測できない!
という事に気が付きまして、地球コアの動き(これは電磁流体力学の分野になります)を調べましたので、ご報告です
お付き合い頂ければ幸いです
地学雑誌114(2) 132-141 2005「地球磁場から推定されるコアの流体運動」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jgeography1889/114/2/114_2_132/_pdf
東京工業大学地球惑星科学・松島政貴さん論文からの抜粋です
磁場の時間変化は磁力線が流体に凍結して動くことによって生じる。この近似を磁場凍結近似と呼ぶ。
コアの流体運動は様々な手法によって推定されているが,そのほとんどは磁場凍結近似に基づいている。
磁力線がつくる磁場の動きを知ろうとすると、それは電磁磁流体力学の世界に入り、そこで磁力線は(何と!)流体に付着して動くのである ⬅ これを磁場の凍結と言う
私は磁場の凍結なる動作を太陽の磁極反転から知ったのだけれども、それは新鮮な驚きだった
電流があれば周囲に磁力線を生成し磁場も形成され、、、などと考えていては太陽磁場の動きは分からないのである
磁力線は流体に凍結されて移動するのである、これが太陽のみならず地球でも起きているとすれば、まず「流体の動き」を理解する必要がある
これは、観測されている地球磁場分布から、磁場の凍結モデルを使って地球コア外核の動作(流体の動き)を求める手法と言える
以下の図1が、2000年におけるコア表面における地球磁場動径成分の分布である
これはOrsted主磁場永年変化モデル(Orsted Main and Secular Variation Modelと称されるモデル)である
図1:OSVMから得られたコア表面における地球磁場動径成分の分布
等値線の間隔は100μTであり,実線が正,破線が負を表す.グレイスケールは磁場強度を表す
図1は衝撃的な結果である、NOAAさんの地球表面における磁場偏角分布マップを2000年で取った南北磁極位置と、京都大学さんの2020年世界地磁気強度分布かた取ったカナダ東部とバイカル湖北部の強度ピーク位置を(図1には)示してある
図2:それは北磁極(2000)カナダ東部とバイカル湖北部(2020)で、
図3:南磁極(2000)で、
図4:世界地磁気強度分布(2020)で、
上記の図2〜4の結果を入れたのが図1という事なのである
図1を見て頂ければ分かるように:
1.コア表面において磁北極位置に磁場強度のピークは存在しない! 図2を見れば地球表面ではS極がピークとなる磁北極(緑丸)はもちろん存在する
2.コア表面では、カナダ東部とバイカル湖北部にのみ磁場強度ピークが存在する
3.一方、地球表面のN極がピークとなる磁南極(緑丸)位置には磁場強度ピークが存在する
地球表面の北極側を見ると、S極は3ヶ所に分離しているが、コア表面磁場強度で見れば2ヶ所に分離した結果なのである⬅これが一番目の驚き!
何と、そうでしたか、、、
そうして論文はコア表面の磁場強度の移動から、コア表面の流れ(流体の流れ)を算出し、
図5:2000年におけるコア表面の流れ(Matsushimaの方法1995による)
最大速度は27.7km/年である、としている
地球コアの外核は鉄流体で内核は鉄剛体である事は知っていたけれど、全体としては剛球回転するコアをイメージしていた(ほとんどの方がそうであったろう、と希望的に思います)
しかし、実際には、コア表面はまるで海流なのである⬅これが2番目の驚き!
何と海流でしたか、、、地球の自転方向とは反対にもシッカリと流れている!
まとめ:
1.コア表面北側では磁場強度の強いピークは2ヶ所であり、そこに北磁極位置は含まれない
2.一方、コア表面南側では南磁極位置に磁場強度の強いピークがある
3.コア外核は鉄流体であり、それはまるで海流のごとく循環し、凍結した磁場を運ぶ媒体なのである
4.以上の結果から、地磁気エクスカーションや地球磁極の逆転現象を再度考察してみる必要がありそうだ!
以上、お付き合い頂きまして、誠にありがとう御座いました
感謝です
3月度その10:地球磁極の不思議シリーズ➡磁北極のバイカル湖北部への移動原因とは?
地球磁極の不思議シリーズ➡磁北極のバイカル湖北部への移動原因とは?
本サイトのタイトルは「なぜ地球磁極は逆転するのか?」ですが、地磁気に関しましては定期的な更新対象にはしておりませんでした、理由は、定期的な記事とするには難しすぎたからです
そこでナントカ定期更新可能なテーマを見つけたい、と現在四苦八苦しております
前回の記事、
「3月度その9:地球磁極の不思議シリーズ➡地磁気エクスカーションと磁北極のバイカル湖北部への移動について! - なぜ地球磁極は逆転するのか?」
にて磁北極のバイカル湖北部への移動を示し、2075年頃にはバイカル湖北部の北緯60°に至るか?という内容の記事をアップ致しました
しかし、バイカル湖北部への移動原因は、私にとって新たな謎でありました、が、今回は謎が解けたと思われるのでのアップです
お付き合い頂ければ幸いです
まず、京都大学さんの http://wdc.kugi.kyoto-u.ac.jp/igrf/map/f-m.gif によれば、2020年における世界の地磁気強度分布は
であり、バイカル湖北部に強力なS凸磁場61745が存在している事が分かる、一方、カナダ東部にも強力なS凸磁場58625が存在している(どちらも北緯60°より少し北)
右下には南磁極そのものN凸磁場66986が表示されており(ちなみに北磁極は表示外)、バイカル湖北部とカナダ東部の局所的なS極性の地磁気強度ピーク値がいかに大きい値が分かるだろう
ここで、磁北極のバイカル湖北部への急速な移動は、バイカル湖北部の61745に引かれたからではなく、カナダ東部の58625に押されたからである、何故なら三者ともS極性であるから互いに反発し、距離がより近いペアの方がより強く反発するからである(反発力は距離の2乗に反比例する、要するに近ければ近いほど大きな反発力となるのだ!)
NOAAさんのマップに、61745と58625の位置をマジェンダでマップしてみよう
2020年における磁北極位置(緑丸)と偏角0°ライン(緑線)と1590年から2020年までの磁北極の移動ラインと2025年までの移動位置が予測されており、その上に、2020年における58625と61745ポイントがマジェンダ丸で示されている、赤線楕円丸は等値線で東偏角、青線楕円丸が西偏角の等値線だが、ここの議論に直接の関係はない
何と、二つのマジェンダ丸は磁北極と同様に緑ラインの偏角0°上に乗るのだ(これは偶然とは思えないが、今、ここでは追わない)!
それは良しとして、磁北極の緑丸は、58625と61745の中間に来ている(2020年現在)
これは61745に引かれたからではなく、58625に押されたからであり、恐らく1800年頃から58625はカナダ東部で急速に発達し、磁北極をロシア側へ押しやったのだろう
従って、緑丸は少しオーバランしてロシア側へ移動するだろうけど、今度は61745に押し戻され、結局は2020年の現在位置辺りに落ち着くだろう
結論として、現在急速に移動中の北磁極が、北緯60°ラインまで南下する事はなく、まして北緯45°までの南下もなく、地磁気エクスカーションは起こさないだろう ➡ バイカル湖北部の61745が急速に弱まらない限りは!
一方、地球上の地磁気強度は時間と共に減少している観測事実はあった、と思うので、その原因は別途考察する必要はあるだろう
以上、お付き合い頂きまして、誠にありがとう御座いました
感謝です