7月度その5:オーロラ・シリーズ ➡ 30分後の状態を予測する、米国オーロラ予報サイトを知る!⬅ 驚愕の追記あり!!
オーロラ・シリーズ ➡ 30分後の状態を予測する、米国オーロラ予報サイトを知る!⬅ 驚愕の追記あり!!
* 最初に目的を申し上げますと、米国にある宇宙気象サイトの中にオーロラ予報サイトなるモノがありまして、それをもって「オーロラの生因」を理解しよう、加えて地球磁気圏を理解し地震予測の観点から考察しよう、とするもので、1回で完結します、で、まずはそのオーロラ予報サイトですが:
[Aurora - 30 minute forecast | NOAA / NWS Space Weather Prediction Center]
でして、今、私がこの記事を書いているのが世界標準時で 2020-07-10 07:50 で、予測される30分後 2020-07-10 08:20 における(UTとは世界標準時の事)
驚愕の追記:2020/07/10 18:57
コピペした下記画像のアクセス時刻(右下)と30分後の予測時刻(右上)のUT時刻が生きています、刻々と約5分単位で画像も変化しています
凄いですね、米国宇宙気象センターさん、そこまでやるか!の感があります、アメリカの底力ってヤツですね
北極サイドのオーロラ状態予測がコレ ⬇
南極サイドのオーロラ状態予測がコレ ⬇
という代物で、リアルタイムに30分後に見えるであろう両極のオーロラ状態を表示しています!
今北半球は夏なので、南極の方がオーロラは良く出る(見える)という訳です
* 何故、こんなコトが出来るの?と言えば、それはシミュレーションをしているからであって、天気予報と全く同じ、です、で、シミュレーションをするには必ずモデルが必要でして、それを彼らは:
OVATION-Prime Model
と称しています、これは、P. Newellさんがジョン・ホプキンス大学応用物理研究所で開発したモデルだそうで、2009年初版の以下参考書に詳細説明がありますが、かなり長いです
https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1029/2009JA014326
そこでエイヤァ〜っと要約すれば、このシミュレータで重要と思われる点は:
1. 太陽風を直接入力としている
地球から約150万km上空で太陽と地球の重力が釣り合うラグランジュ・ポイントL1における衛星からの太陽風データをリアルタイムで入力している、これには驚いた、何と太陽風の変化を検出して30分後にはオーロラ状態に結果が反映される、という事になる
2. 電離層における降下モデルである
シミュレーションの場は電離層であり、盛んに「降下モデル」という言葉を使っている、これは、地球磁力線に沿って太陽風の電子またはイオンが南北両極に向かって降下し、電離層において窒素または酸素を発光させるメカニズムである、という事なのだろう
3. 観測事実と一致している
これは、まぁ、そういう前提で今後の話を進めます
* さて、これで地球磁気圏内において、夜間側にのみ存在するプラズマシート、バンアレン帯、そして電離層、とオーロラ発生と関係が有ると思われる3プラズマ形態が有るのですが、高度の関係でまとめてみると(ここで、絵の才が有る人であれば絵でまとめるだろうが、私には無いので文章で、地上からの距離で):
プラズマシート: 20,000km〜400,000km、赤道面の厚さ、夜間のみ、極地で厚み有り
バンアレン帯 : 2,000km〜20,000km、赤道面の厚さ、極地で厚みゼロ
電離層・昼間 : 90km〜800km、昼間オーロラはここで発光
電離層・夜間 : 60km〜800km、夜間オーロラはここで発光
プラズマシートに関してはJAXAさんの [研究プロジェクト - 初めて宇宙プラズマに接する方へ] が分かりやすく
そうして、夜間部プラズマ尾部からは地球に向かってプラズマ流が発生している、この図では明確に示されていないが、プラズマシートから地球極地へ向かってプラズマ流が進入しています
* さて、地球と太陽の間で地上 1,500,000kmポイントで観測された太陽風のプラズマ流変化が、30分後には両極地の電離層に降下してオーロラ発光させています、ここでシミュレーション結果が正しいとすれば特に夜間部側でのみ降下しているとは思えない、円環状にほとんど等しく降下していると思える、そこで太陽風の電離層極地への進入ルートを探ってみると、Wiki [磁気圏 - Wikipedia] より:
左下に”Polar cusp”とあるのが「極のトンガリ」の意味で、昼間ここから太陽風が入り込む
一方、右側紫色の"Plasma sheet"は地球磁極近くで夜間部に地球へ到達している
両者合わせると、地球磁極を中心に同心円状に電離層へ降下して来る図、となる、上図は解像度が今ひとつで、より高解像な図を貼り付けると、
恐らく、これが現在のオーロラ発光の原因たる太陽風プラズマ流の地球電離層両極地への降下に関する進入ルートのモデルであり、オーロラ帯は両磁極を中心に楕円ドーナッツ状に発生します
* 今後の展開、地震予測への展開:
1. 最先端のオーロラ・シミュレーション・モデルが採用している太陽風進入ルートが分かった、この後、オーロラには4タイプあるようで、それは昼間と夜間で異なるようだが、オーロラのタイプ区別に興味はないので、申し訳ありませんが、割愛させて頂いて
尚、疑問であったバンアレン帯のオーロラへの関与ですが、極地部分で厚さゼロとなるバンアレン帯は直接関与していない、が現在のモデルであろうと思われます
2. 驚きは太陽風の変化を検出して30分後には昼間・夜間を問わずオーロラ発光の予報が出て来る事で、夜間のプラズマシート経由の方が少し遅れるのでは?などと思ったりするのだが、予報を出すレベルでは支障の無い範囲と理解しておきます
3. 今回の調査で明らかになったのは(私としての意ですが)、L1ポイントにおける太陽風観測衛星です、私は地震の予測を別サイトで行っている関係上、地球磁気圏への影響には興味があり、話が逸れて大変申し訳ないおですが、観測ポイントをまとめると:
A. 太陽風の観測衛星: L1ポイント太陽ー地球間の1,500,000km上空
B. 電離圏電子密度の観測:NICT情報通信研究機構さんより、上の図で中央一番右に出ている密度最高ポイントが高度約130km、
電離圏は電子密度に応じた周波数の電波を反射する性質があり、地上から周波数を変えながら電波を発射し、電離圏からの反射エコーの帰ってくる時間を計測することにより電子密度高度分布がわかります。観測された反射エコーはイオノグラムと呼ばれる画像データとして保存されます。電離圏の状態は低緯度・中緯度・高緯度で特徴的な違いがあり、我々はこれらに対応する東南アジア~日本~南極という世界の様々な場所で観測を展開しています。
NICTさんでは、
にて電離圏の垂直観測を行っているとの事で、列島の場所固有の変動を見るには良いかもしれない(太陽風L1ポイントはグローバル過ぎるように思えるので)
地磁気観測所は、気象庁に所属する機関(施設等機関)の一つとして、地球磁気、地球電気に関する観測および調査を担当しています。柿岡(茨城県石岡市)に本所、大空町女満別(北海道)と鹿屋市(鹿児島県)に、それぞれ女満別観測施設、鹿屋観測施設を置き、世界各国の観測所と連携しながら、地磁気・地電流・空中電気の定常的な観測を行っています。また、父島(東京都小笠原村)にも観測点を設置し、地磁気を観測しています。
これも北海道、茨城、鹿児島、と分散しているので地域的特徴を検出出来る可能性がありそうです
4. 私が、何故、上記電離層(NICTさんは電離圏と称す、この方が正しいのだろう、ナントカ・フェアの時代なのである、電離圏はイオノスフェアなのである)観測ポイントをまとめたのか?というと、電離圏電子密度の変動と巨大地震との相関が指摘されているからです:
Wiki [電離層 - Wikipedia] より、
北海道大学の日置幸介教授(地球物理学)の調査によると、2011年3月の東北地方太平洋沖地震発生の40分前から、震源域上空において電離層の電子密度が周囲より最大1割ほど高くなっていた事が確認されている。2010年のチリ地震(M8.8)、2004年のスマトラ島沖地震(M9.1)においても、同様の変化が起きている。ただし、2003年の十勝沖地震(M8.0)では微増だった。
最大1割の変動で発生40分前の相関、というのを監視するのは事実上不可能に近い、とは思いますが、、、
この電離圏の電子密度はTotal Electron Content(TEC)と呼ばれ、
やはりこれも冒頭に述べた米国の宇宙気象サイトで見る事が出来ます
* 最後に:
オーロラから地球磁気圏そのものと地震予測へと話題を移してしまい、誠に申し訳なかったのですが、地震予測の観点から上記A/B/Cと地震との相関は一度検討してみたいと考えています
以上、読みづらい内容にお付き合い頂き、誠にありがとう御座いました
深く感謝です m(_ _)m