8月度その12:オゾン全量シリーズ:まずは北半球冬季におけるオゾン層の流れを把握しておこう!
オゾン全量シリーズと名付けた新しいシリーズです
北半球では、冬季にオゾン全量が極めて多くなります
この辺りのメカニズムを、勉強し理解しておく必要があります
お付き合い頂ければ幸いです
題材は、 冬季成層圏の「深い循環」の3次元構造を解明 - 東京大学 大学院理学系研究科・理学部 です(2022/02/07の日付になっています)
この成層圏における大気循環(これをラグランジュ流と言うらしい)は、従来2次元でのみ解析されていたが、上記の佐藤薫研究室では新たに3次元の理論式を導出し、冬季成層圏では赤道から東シベリアへの大気循環が強く、北アメリカでは逆向きとなる事が解明された(計算された)
という事です
図を提示しますと、
図1:東西平均したラグランジュ流の様子。成層圏には低緯度から両極に向かう循環が、中間圏には夏極から冬極に向かう循環がある。成層圏の循環は、下層の両半球対称な循環(浅い循環)と冬半球にのみ存在する深い循環がみられる。
これは2次元の解析結果です
ここで、
東京大学大学院理学系研究科の佐藤薫教授らは、東西平均東西風を基本場とする前提を捨て、東西と南北の対称性の良い式変形を行うことで、変形オイラー平均方程式系を3次元に拡張することに成功し、3次元ラグランジュ流の近似式を導出した。
ここで、
中上部成層圏においては、冬季にのみ「深い循環」と呼ばれる赤道から冬極に向かう循環が存在する。
そうして、
導出した理論式の適用例として、この循環に着目して大気再解析データを用いて解析を行った。得られた水平マップを図2に示す。物質循環に本質的な地衡風 に直角な成分をプロットしてある。深い循環は東西一様ではなく、低緯度から極域に向かう流れは東シベリアで強く、北アメリカでは逆向きであることが明らかである。東シベリア上空の極域への流れは、オゾンが赤道域から中高緯度に運ばれる主なルートと解釈できる。
図2:導出した理論式を用いて解析した7hPaの気圧面(高度約40km)でのラグランジュ流の北極を中心としたポーラーステレオ図。図1に示した流れの経度分布を示す、地衡風に直角な成分のみ示してある。
日本は北緯35°東経135°辺りであって、そこから東シベリアを経由し北極に向かう大気の流れが存在する
そして北極では北アメリカに向かい、丁度カナダ北部(北緯60°で西経60°〜西経90°)辺りでは南北へ向かう大気流がぶつかり合っている
これはカナダ北部では冬季にオゾン全量が特に増える事を示準しているのである!
では、北半球が夏期の場合はどうなのか?というと、やはり 中層大気大循環 | 研究紹介 | 佐藤薫研究室 | 東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻 大気海洋科学講座 大気物理学分野 より、
図3:7月の東西平均気温の緯度高度断面図。赤い色ほど気温が高くなるように、かつ20度ごとに色を変えている。青と水色の間は-120℃、黄色とオレンジの間が-40℃、赤とピンクが0℃。(温度バーは図1にあるので、ご参照下さい)
成層圏界面(高さ方向の気温の極大)が高さ50km付近に見えます。これはオゾン層が太陽の紫外線を吸収し、その高さの大気を暖めているからです。オゾン層は生物が作り出した地球固有のものなので、成層圏界面は火星や金星の大気にはありません。
なるほど〜、そうでしたか!
確かに、オゾンの元となる酸素は植物なり植物プランクトンが作り出したモノですから、生物起源、ですね?
成層圏界面の気温の最大は夏の極域に見られます。
ふむふむ
7月には、南中時の太陽放射は北緯20度で最も強くなりますが、太陽は沈みます。極域の夏は太陽が沈みませんので、一日中太陽の放射を受けます。1日平均すると極域の受ける太陽放射量はどの緯度帯よりも大きくなるのです。これが夏の極域の成層圏界面の気温極大の理由です。
なるほど〜
そうすると奇妙な特徴があることに気づきます。2つあります。
2つとは?
1つは冬の極域(図3の南極域)になぜ成層圏界面があるのかということです。
ここは、太陽が昇らない極夜となっているはずです。
むふ〜
もう1つは、夏の極域(図3の北極域)の中間圏界面でなぜこんなに気温が低いのかということです。
ここの気温は、地球大気で最も低いことがわかります。
そして、余りに気温が低いので、そこのわずかな水蒸気(海からやってくるのではなく、メタンの酸化でできる)も凍って雲ができます。これを極中間圏雲(真夜中に光って見えるので夜光雲ともよばれます)といいます。
夏の極域の中間圏界面も白夜となっているはずなのに、冬の極域中間圏界面のほうが暖かいのです。
そうなのですか〜
この奇妙な気温の特徴の原因は大気大循環です。
図3の太い矢印つき破線は中層大気の大循環を示しています。成層圏では低緯度から両極へ向かう2つの循環(Brewer-Dobson循環といいます)が、中間圏では夏極から冬極へ向かう大きな1つの循環(名前はありません。しいて言うなら中間圏の大循環)が見られます。
そして、冬極では成層圏も中間圏も下降流、夏極では成層圏は下降流、中間圏は上昇流となっています。このような上下流は気温を大きく変えます。
一気には、頭に入りません
この辺で一旦閉じましょう
北半球が冬季より夏季の方が理解困難とは、、、ちょっとショックです!
コメントバック
Rio同志(id:ballooon)!
お忙しい中、コメントありがとう御座います、感謝なのです
>ブクマコメントありがとうございます(*^^)
いえいえ「コメントを書く」欄が出れば良いのですが、、、
出ないので、ブクマコメしか書けなくて申し訳なし
>いや~これ難しいですね(;・∀・)
>特に図3がわけわからない状態です。
そうなんです
いきなり言われても、、、時間をかけて少しづつ理解しませんと、、、
>日本がどこなのかわからないです(;Д;)緯度と経度がどうなってるのか・・
図3は緯度のみマップですから、あらゆる経度で原則こうなるの図、と解釈します
恐らくこれを南北2次元マップ、と称するのだと思います
日本は北緯35°です(明石ですが、東京もほとんど北緯35°かな)
>でも夜光雲は面白いですね?
はい、私もこの辺りは素人でして、初めて聞きました
高度90kmの雲、ですから随分と高い所に出現する雲です
>もう少し時間をくださいね?
ここは時間をかけてジックリ理解する必要があります
以上でした
コメバック終わり
以上、お付き合い頂きまして、ありがとう御座いました
感謝です!