なぜ地球磁極は逆転するのか?

太陽黒点数/オゾン全数/エルニーニョ/太陽活動と米国日本の地磁気変動を追います!

8月度その17:オゾン全量シリーズ:北半球冬季におけるオゾン層の流れを把握しておこう! Part2

8月度その12で、北半球におけるオゾン層の流れ、特に北半球夏期において、、、これが理解困難でした

ですので、再度挑戦です

この辺りのメカニズムは、整理し理解しておく必要があります

 

 

お付き合い頂ければ幸いです

 

 

 

まず 冬季成層圏の「深い循環」の3次元構造を解明 - 東京大学 大学院理学系研究科・理学部 より、図1です

図1:東西平均したラグランジュ流の様子。成層圏には低緯度から両極に向かう循環が、中間圏には夏極から冬極に向かう循環がある。成層圏の循環は、下層の両半球対称な循環(浅い循環)と冬半球にのみ存在する深い循環がみられる。

温度カラー・バーがこの図にしか出ておりませんので、ここに挙げておきます

表示は絶対温度°Kで示されていますが、図2以降では°Cで説明されますので注意

 

では、北半球が夏期の場合はどうなのか?というと、 中層大気大循環 | 研究紹介 | 佐藤薫研究室 | 東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻 大気海洋科学講座 大気物理学分野 であって、これが前回は理解困難でした

図2:7月の東西平均気温の緯度高度断面図。赤い色ほど気温が高くなるように、かつ20度ごとに色を変えている。青と水色の間は-120℃、黄色とオレンジの間が-40℃、赤とピンクが0℃。(温度カラー・バーは、図1参照)

「気圧小」「気圧大」「オゾン層太陽光吸収による成層圏加熱・高度約50km赤横棒」「断熱膨張による冷却」「断熱圧縮による加熱」はブログにて記入

尚、気圧に関しては図2の右側にhPa表示がありますので、ご参照下さい

成層圏界面(高さ方向の気温の極大)が高さ50km付近に見えます。これはオゾン層が太陽の紫外線を吸収し、その高さの大気を暖めているからです。オゾン層は生物が作り出した地球固有のものなので、成層圏界面は火星や金星の大気にはありません。

確かに、オゾンの元となる大量の酸素は植物なり植物プランクトン炭酸ガスから作り出したモノですから、生物起源、です

成層圏界面の気温の最大は夏の極域に見られます。

確かに

7月には、南中時の太陽放射は北緯20度で最も強くなりますが、太陽は沈みます。極域の夏は太陽が沈みませんので、一日中太陽の放射を受けます。1日平均すると極域の受ける太陽放射量はどの緯度帯よりも大きくなるのです。これが夏の極域の成層圏界面の気温極大の理由です。

なるほど

そうすると奇妙な特徴があることに気づきます。2つあります。

2つとは?

1つは冬の極域(図2の南極域)になぜ成層圏界面があるのかということです。
ここは、太陽が昇らない極夜となっているはずです。

むふ〜

もう1つは、夏の極域(図2の北極域)の中間圏界面でなぜこんなに気温が低いのかということです。
ここの気温は、地球大気で最も低いことがわかります。
そして、余りに気温が低いので、そこのわずかな水蒸気(海からやってくるのではなく、メタンの酸化でできる)も凍って雲ができます。これを極中間圏雲(真夜中に光って見えるので夜光雲ともよばれます)といいます。
夏の極域の中間圏界面も白夜となっているはずなのに、冬の極域中間圏界面のほうが暖かいのです。 

なるほど

この奇妙な気温の特徴の原因は大気大循環です。

図2の太い矢印つき破線は中層大気の大循環を示しています。成層圏では低緯度から両極へ向かう2つの循環(Brewer-Dobson循環といいます)が、中間圏では夏極から冬極へ向かう大きな1つの循環(名前はありません。しいて言うなら中間圏の大循環)が見られます。

そして、冬極では成層圏も中間圏も下降流、夏極では成層圏は下降流、中間圏は上昇流となっています。このような上下流は気温を大きく変えます。

確かに、、、

断熱膨張という言葉をご存知でしょうか?熱の出入りがない状態で圧力が下がると、温度が下がる現象です。

なるほど〜

気圧は上に行くほど低くなっています。
地上では約1000hPaですが、15kmでは約100hPaに、30kmでは約10hPaに、50kmでは約1hPaに、高さ80kmでは約0.01hPaまで減ります。

ですから、下にあった空気が上昇流で持ち上げられると断熱膨張により温度が下がります、逆に上にあった空気が下降流で押し下げられると断熱圧縮により温度が上がります。

断熱膨張(温度が下る)と断熱圧縮(温度が上がる)ですね?

これが夏の極域中間圏の低温、冬の極域成層圏界面の高温の維持メカニズムです。

ちなみに冬の下部成層圏は下降流があっても十分気温が低く、極成層圏雲とよばれる雲があらわれます。

そうでしたか、、、

ではなぜこのような大循環が存在しているのでしょうか?

それは、大気の波が主に対流圏で発生し、成層圏や中間圏に伝播して、大気に運動量を与えているからです

えッ!対流圏が大気に運動量を与えている?運動量が伝搬している?

まぁ確かに、風とは大気運動量の伝搬、ですね?

これには摩擦のように働くので波抵抗(wave drag)などとも呼ばれます。しかし、負の摩擦になっていることもあるので、波強制(wave forcing)と呼ぶほうがよいでしょう。 

負の摩擦とは、引かれる運動量でしょうか?吸引力?

波強制があるとどうして南北循環ができるのか?それは、地球がほぼ球形であること自転をしていることと関係し、とっても面白い物理があるのですが、詳しいことはここでは省略します。

そうですか、、、残念です、球形&自転というとコリオリ力ですか?

しかし、どのあたりで波による摩擦が効いているかは東西風の緯度高度断面図(図3)をながめると見当がつきます。これを見ると、高さ20km付近と90km付近ではどの緯度においても風がとても弱くなっていることがわかります。弱い、というのは地面で立っている私たちから見たときのスピードです。

図3:7月の東西平均東西風の緯度高度断面図。正が西風、負が東風 (CIRA86)。等値線は15m/s間隔。

高度約85kmと20kmのライムグリーン横線はブログにて記入

つまりこの2つの高さの空気は地面の速度(地球の自転の速度。地面に立って測ったときに0m/s。慣性系から見ると日本付近で東向きに380m/s)を知っているということになります。

なるほど〜、という事は図3は日本での測定ですね?

これは下層で発生した波が、地面の速度をこのはるか高い20kmと90kmの大気に伝えているということになるのです。ゼロに近づけるので摩擦力が働いているといってよいということになります。

ですか、、、図3はどこで測定するのかに応じて変化するのでしょう

そのような大循環を作る波強制については現在精力的に研究がすすめられています。

 

ここで、

私たちの解析によれば、夏半球側に張り出している冬半球側の大きな循環の夏半球側の上昇流は、重力波によって形成されていること、また、冬半球の低緯度成層圏の最下端(気圧100hPa付近)でも重力波の寄与が大きいことが明らかとなりました。

夏半球の成層圏はロスビー波が伝わることのできない東風となっているので(図2の北半球成層圏参照)、重力波しかこの上昇流を作ることができないということは、理論的にも納得できるのです。

図4:PANSYレーダーを用いた研究テーマの一覧。背景の色は図1と同じく気温。

私たちは、さらに、南極の大型大気レーダー(PANSYレーダー)を用いて、中層大気大循環の構造やメカニズム、極中間圏雲や極成層圏雲に関わる大気科学を研究しています。

 

図4では、また新しいキーワードが出て来ています、ので、解説を:

まず ロスビー波 - Wikipedia から、

大気中のロスビー波は、大陸・海洋の温度差や地形の高低差などによって大気が揺すぶられて生じる自由振動の波の一つで、地球大気、惑星大気で見られる大気波である。

惑星の自転に起因する波はロスビー波のようで、

惑星の自転に伴う回転がある緯度に及ぼす効果(惑星渦度)が北ほど大きく(北極で最大値、南極で最小値、赤道上で0)、低気圧の西側では北から南に大きな(低気圧性の)惑星渦度が、東側では南から北に小さな惑星渦度が運ばれてくるため、ロスビー波の位相が西にずれ、東西方向へは位相が西に伝播する。ロスビー波のエネルギーの伝播に伴い、高低気圧のパターンが交互に見られる。

高気圧と低気圧が交互に出現するのがロスビー波の特徴?それとも高気圧なり低気圧そのものがロスビー波?

赤道付近では、赤道波の解の1つとして、ロスビー波の解が知られる。海洋でのロスビー波は温度躍層を上下させ、西進するロスビー波と東進するケルビン波が連動してENSOのサイクルを引き起こす。 

ゲッ!ENSO(エルニーニョ南方振動)もロスビー波でしたか!?驚きました、です!

 

そして 慣性重力波 - Wikipedia である

慣性重力波は、惑星流体(回転成層流体)における最も基本的な波動で、地球の大気・海洋で観測されて「重力波」と呼ばれるものの総称である 

ロスビー波、ケルビン波、慣性重力波、と色々出てきた

また時間をかけて、ゆっくり追っていこう!

 

 

コメントバック

Rio同志(id:ballooon)!

難解な記事にもかかわらずコメントありがとう御座います、感謝です

 

>何度か読んでいて、やっと

>>断熱膨張(温度が下る)と断熱圧縮(温度が上がる)

>ここは理解できました(^^;)

凄いです、私もだいぶ時間がかかりました!

 

>図4の辺りはまた今度読みたいと思います!

図4は研究の最前線をまとめておられる図、と思いますので、

キーワード程度を知っておけば良いか?と思っております

 

>連日の暑さで集中力が落ちています@@;

全く、です

 

コメバック終わり

 

 

 

以上、お付き合い頂きまして、ありがとう御座いました

感謝です!