12月度その4:X線スパイクと磁気嵐とオーロラ・シリーズ ➡ オーロラ・ジェット指数(AE指数)とは?
現在、低緯度オーロラを引き起こした23年12月1日のイエローナイフYKC地磁気変動グラフは未だ取れていませんが、前回の記事「12月度その3」でG16とG18の磁場強度減衰原因を、
G16とG18は時差4.1時間あり、これが全く同じUT時刻でダウンシュートしているという事は、磁力線に凍結されたプラズマ粒子のジャイロ運動が原因ではなく、高緯度に瞬間的に流れる環電流(リングカレント)が原因である事を思わせます
と述べました
この高緯度におけるリングカレントを調べましたので、ご報告です
お付き合い頂ければ幸いです
それは、Auroral ElectroJet Index(AE指数)と称される指数です
NICTさん記事:宇宙天気予報特集「磁気圏モデルの数値予報への応用に向けてーAE指数による検証ー」
https://www.nict.go.jp/publication/shuppan/kihou-journal/kihou-vol55no1.2.3.4/020205.pdf
情報通信研究機構季報Vol.55 Nos.1- 4 2009
によれば:
AE 指数は、オーロラ帯で経度方向におおむね均等に分布した 12 観測点で観測された地磁気データを元に作成される。
その12観測点とは、京都大学さん
This figure is drawn by Lambert projection with the geomagnetic north pole at its center
より、
図1:AE指標を測定するオーロラ帯12観測点
であって、私はCollege(アラスカ・フェアバンクスでしたね)、Yellowknife(カナダ)、Fort Churchill(カナダ)、くらいしか知りません
図2:12観測点の分布ですが、
となっており、地軸北極中心に描かれていますが、グリーンランド西岸中心に+やーで描かれているのが北磁極中心です
これはサブオーロラ帯を含まない、完全にオーロラ帯で閉じた観測点でしょう
ここで、観測点の地磁気強度が急激に減衰したとします
例えば、イエローナイフYKC2003年10月29日のハロウィン・イベントであれば、変化分表示ですが、その地磁気変動は、
図3:2003年10月29日を中心としたイエローナイフYCの地磁気変動
であって、29日に地磁気は急激に減衰しています
他の観測点でもUT同時刻で減衰していれば(これは、まず必ず減衰している)観測リングに磁場強度を減衰させる方向の電流が流れたからである、と推論できます
この電流値を指数化して表現したものが、AE指数となります
環電流・リングカレントと言っても、どうやって測定しているのか?が今まで不明だった(私には)、しかしAE指数であれば明確でしょう
オーロラ帯12観測点を流れるリングカレントはオーロラ帯の地磁気強度を弱める方向に働くが、オーロラ帯だけには留まりません
磁気赤道上、フォートチャーチヒルFCCの磁力線高度は5,500km、イエローナイフYKCの磁力線高度は5,825km、が予想されますがG16はもっと高高度です
地軸赤道上(磁気赤道上ではないですが)35,786km上空のG16を通過する磁力線パターンの地上着地ポイントは、オーロラ帯北側の磁極領域内となります
しかし、オーロラ帯12観測点を流れるリングカレントは、G16を通過する磁力線の磁場強度も減衰させる方向で働きます
導出される結論:
オーロラ帯における地上磁場強度の減衰は、AEリングカレント効果と凍結された磁力線に巻き付いて来る太陽風プラズマ(私は陽子流だと思っていますが)効果が重なっている
しかし、G16を通過する磁力線磁場の減衰は、AEリングカレント効果が主である、と考えられます
以上、お付き合い頂き誠にありがとう御座いました
感謝です