12月度その25:プラズマ流加速メカニズムが分からない、、、 ➡ 「あらせ」⬅ この辺りが最前線?!
前回の記事「12月度その24」をまとめ、
その後、磁気モーメントやラーモア振動数などを調べても、
オーロラ発光に至る高速プラズマ流が生成されない、
結局、プラズマ粒子の加速メカニズムが分からない、
という事が分かった!
ここで、論文というよりは発表記事で分かりやすく、
この辺りが最前線?という記事を見つけましたので、
簡単にご紹介です!
お付き合い頂ければ幸いです m(_ _)m
それはJAXAさん、特集:ジオスペース探査衛星「あらせ」であって、
に全体まとめがあり:
図1:エネルギー階層
図1の説明文として:
ジオスペースに存在するプラズマ粒子分布と、波動粒子相互作用を介したエネルギー階層間結合の模式図(各エネルギー階層の図は、Ebihara and Miyoshi (2011)にもとづく)。6桁以上にわたって異なるエネルギー階層にプラズマ粒子が共存し、波動粒子相互作用を介して、エネルギー階層間の動的な結 合が発生し、放射線帯の消長など、ジオスペースの様々なダイナミクスが作り出されていきます。
とあります、6桁異なる世界を波動が連動させている、という事です
ここではコーラス波動を中心としたエネルギー階層が考えられ、
磁気圏では、プラズマ粒子が地球の磁場に捕捉されながら飛びまわっていて、そこには、ジオスペース最高エネルギー粒子が存在する「放射線帯(Van Allen 帯)」が存在します。太陽風が変化すると、ジオスペースは「宇宙嵐」と呼ばれる擾乱状態になることがあります。このとき、オーロラが数日間にわたって爆発的に輝くなど、ジオスペースの環境が激しく変化します。
ここで、
嵐が起こると、放射線帯は不思議な変化を示します。嵐の始まりとともに、放射線帯電子がすべて消えてしまい、その後、嵐が収まるにつれて電子が再び出現し、そして嵐が起こる前に対して電子の数が100〜1000 倍くらいに増えていきます。
えッ、そうだったのですか?知りませんでした!
消滅する放射線帯電子って、バンアレン外帯の事なんでしょうね?
「あらせ」の成果を一言でいうと、プラズマ波動とプラズマ粒子の相互作用を介したエネルギー階層間結合を実証したことです。
なるほど、図1です!
磁場中の荷電粒子は、(1)磁力線のまわりをまわるサイクロトロン運動、(2)磁力線に沿って往復運動するミラー運動、(3)経度方向をドリフトするドリフト運動に伴って3 つの不変量と呼ばれる量が存在します。
あ、ミラー運動とは、磁力線に沿った方向運動になりますか!
プラズマ中には、コーラスと呼ばれる数百-数キロヘルツVLF(超長波)帯のプラズマ波動が存在します。このコーラスと電子は、サイクロトロン共鳴と呼ばれる過程を通してエネルギー交換を起こします。この過程では、波動が減衰して電子が加速することもあれば、逆に電子が減速して波動が成長することもあります。
ここでは、コーラスに着眼されているようで、
コーラス波動を励起するのは、リングカレント帯の電子ですが、励起したコーラス波動は、よりエネルギーが高い電子を加速します。つまり、粒子と波動の相互作用を介して、低いエネルギー階層から高いエネルギー階層の粒子群へとエネルギーの輸送が行われます。さらに、プラズマ圏の冷たいプラズマは、波動の位相速度を変化させることで、共鳴条件を変えるため、プラズマ圏も重要な役割を果たしています。このような相互作用によって、異なるエネルギー階層の粒子群が相互作用することを「エネルギー階層間結合」と呼びます。
具体的には、コーラス波動に着眼し、プラズマ粒子(ここでは電子に着眼している)の加速、結果としての「オーロラ発光」に至るメカニズムを述べています
例えば同じ、特集:ジオスペース探査衛星「あらせ」に収録されている、
「コーラス波動」による電子の散乱とオーロラ | 宇宙科学研究所
です
そもそも地球近傍の宇宙空間(磁気圏)の電子は地球磁場のローレンツ力によって磁力線に巻き付く旋回(サイクロトロン)運動と磁力線に沿う往復運動を繰り返しており、通常は大気に降りこみません。
そうなんですよね〜
このような電子が往復運動を破って地球大気に降りこむのは、電子が磁力線に巻き付くサイクロトロン運動の速度(v⊥)に比べて、磁力線に沿った速度(v||)の方が十分に大きくなり、臨界点を超えた時です
なるほど〜
何らかの磁場擾乱に伴うローレンツ力によって電子が速度空間内で散乱され、v⊥/v||が臨界点を突破するほど小さくなることで、往復運動が破られます。
散乱、という言葉を使っておられます
電子の磁力線経度方向が分子 / 電子の磁力線平行方向が分母、で平行方向(これ、ミラー変動成分でOKでしょうか?)が平衡を崩すくらい大きくなった時(これを散乱と称している)なので「臨界点を突破するほど小さくなる」と表現しています
実際、次のような観測が出来るのか?
都合よく「コーラス波動」と「電子の散乱」の対応だけを抜き出す形でみいだせるのか?
が心配であったようですが、
実際に観測が始まってみると、電子が往復運動の臨界点を超えて激しく降りこむ事象は頻繁にみられることがすぐにわかり(図1)
⬇ この図です!
図1:(左)地球磁場に沿って北半球の極域に降りこもうとする電子と(右)磁力線に反平行に南半球の極域に降りこもうとする電子の検出位置分布。
縦軸が磁気緯度、横軸が地球からの距離(地球半径で規格化)を示す。色は電子のエネルギーを示す[Kasahara et al., 2019, GRL]。
こうして、観測装置にそうとうの工夫が必要であったようですが、
図2:コーラス波動強度(黄色)と降り込み電子の量(実線)の高い相関(0 . 86)[Kasahara et al., 2018 , Nature]。⬅ 左下のグラフ、です
降りこまない(臨界点を超えない)電子に大きな変動はみられないため、波動との相互作用の直接的な検出のためには降り込み電子を識別するための高角度分解能が必要であった。
こうして、「コーラス波動 ➡ 電子の散乱 ➡ オーロラ発光」のメカニズムが直接的に証明できた、としています
まとめ:なるほど〜、です
1.これ、NOAAが採用している、ジョン・ホプキンス大学提唱の「夜間プラズマシートにて発生する磁気リコネクション起因により地球に還流する高エネルギー陽子流・電子流」とは異なるモデルになるのでしょうか?
2.最近Wikiのオーロラ関連項を眺めていると、オーロラ原因を高エネルギー電子流、としているケースをよく見かけるのですが(陽子流が排除されている)これが原因でしたか!
コーラス波による電子流エネルギーアップ・モデルと「あらせ」による実測と、、、
尚、最初の資料にあったのですが、地球を取り巻く環境として見やすい(但し文字が小さく見にくいのでゴシック化して)アップさせて頂きますと、
地球半径にて6程度までの空間における電子エネルギー密度(一部陽子エネルギー密度)の実測図です
一番右上、放射線帯がバンアレン外帯で、その左側がバンアレン内帯、という事でしょうか?
リングカレントって、一体どこまでと捉えているのでしょうか?
この図で見る限り、プラズマシートまで?
コメントバック
リオ同志(id:ballooon)!
難解記事へのコメント誠にありがとう御座います、深く感謝です!
>む、難しいです@@;!
確かに、この記事は難しいです
ですが、ナゾロジーさん記事は、それほど、、、という気が致します
結局、高エネルギーのプラズマ状態にどうやって至るのだ?
という問題でして:
この記事(日本、JAXA、あらせ)と
「12月度その24」記事の概念(米国、NOAA、ジョン・ホプキンス大学)
との違いは何か、をその後、考えています
別の言い方をすれば、「オーロラはどうやって起きるのだ?」という疑問に対する回答姿勢の違いです、即ち考え方の違いでして、それは:
日本 ➡ ボトムアップ
米国 ➡ トップダウン
ですね〜、会社生活をしていて、これは嫌ってほど感じて来たのですが、また遭遇したのかッ? です!
どちらが正しい、などとは申しません!
何しろ、違うのです・・・
以上でした!
コメバック終わり
以上、お付き合い頂き誠にありがとう御座います
感謝です