なぜ地球磁極は逆転するのか?

太陽黒点数/オゾン全数/エルニーニョ/太陽活動と米国日本の地磁気変動を追います!

12月度その29:コーラス波とオーロラの相関 ➡ 金沢大学2019年論文を読む(眺める)ッ!

宇宙の徒然を語るブロガー・マサキリオ同志 [id:ballooon] よりメールにて「3−4年前のブログにコーラス波とオーロラの関係を載せた(紹介した)事がある、金沢大学さんの論文であったと思う」との連絡があり、私もかすかに覚えていたのですが、それを今回読み直してみて、非常に分かりやすかったので、ご紹介です

 

 

お付き合い頂ければ幸いです m(_ _)m

 

 

 

それは:

世界初! 地球近傍の宇宙で発生するプラズマと電磁波の相互作用発生域の可視化に成功~最新の科学衛星「あらせ」と極北のオーロラ観測から宇宙の物理現象を理解~ – 金沢大学

でして、サブタイトルにあるように、

最新の科学衛星「あらせ」と極北のオーロラ観測から宇宙の物理現象を理解

なのです(日付は、2019-1-16)

金沢大学理工研究域電子情報通信学系の尾崎光紀准教授,総合メディア基盤センターの笠原禎也教授,理工研究域電子情報通信学系の八木谷聡教授,名古屋大学宇宙地球環境研究所の三好由純教授,塩川和夫教授,電気通信大学の細川敬祐准教授,国立極地研究所京都大学東北大学JAXA宇宙科学研究所フロリダ大学アメリカ合衆国),国立研究開発法人情報通信研究機構,アサバスカ大学(カナダ)などの国際共同研究グループは,地上で観測されるオーロラを使い,地球近傍の宇宙で発生する電磁波コーラス(注1)と高エネルギー電子が共鳴することで生じる波動粒子相互作用(注2)発生域の形状変化の詳細を世界で初めて明らかにしました。 

その内容とは:

本国際共同研究グループは,コーラス波動が高エネルギー電子を地球の大気中へ降下させる際に特殊なオーロラを発光させることに着目し,地球周辺の放射線の様相を調査する科学衛星「あらせ」(2016年打上げ)と地上観測網PWINGとの協調観測を行いました。その結果,科学衛星「あらせ」が地球から約3万キロ離れた距離でコーラス波動を捉えたと同時に,そのコーラス波動に伴う波動粒子相互作用が引き起こした突発発光オーロラをアラスカ南部のガコナ(PWING国際拠点の一つ)で捉え,波動粒子相互作用発生域の形状変化が数十ミリ秒単位で地磁気的な南北方向に非対称に発達することを明らかにしました。 

 

 

図1. 科学衛星「あらせ」とPWING地上観測網の協調観測イメージ 

科学衛星「あらせ」による宇宙での詳細観測と磁力線に沿ったオーロラ観測を通じて地上から波動粒子相互作用発生域の空間分布を捉えることができる。

 

 

ここで「あらせ」の飛行高度が気になってので、調べました

ジオスペース探査衛星「あらせ」−本格観測に向けた準備が着々と進行中−|お知らせ|東北大学大学院理学研究科・理学部

遠地点高度が約32,000km、近地点高度が約460kmの楕円軌道で地球を周回しています

GOESが35,786kmですから、それより少し低く、バンアレン内帯と外帯の間を周回する衛星、という事でしょうか

図2:搭載されている観測機器(© JAXA

となっています

 

 

図3.科学衛星「あらせ」で観測した数百ミリ秒存続期間を示すコーラス波動のパケットと地上(ガコナ・アラスカ)で観測されたオーロラの一対一対応 

宇宙で発生したコーラス波動に伴う波動粒子相互作用に関する情報が磁力線を通じて地上からオーロラとして仔細に可視化されている。

図3の上図左軸に「電磁波周波数」とあるのは、コーラス波動の周波数である

縦軸に周波数が出て来るのはめずらしい、横軸は時間である

図3の上図赤くなっている部分を見ると、かすかに左から右に傾いているので、時間と共に周波数が上がっている様子が分かる

「ヒュ〜イッ」という例のホイッスル音に相当するのだろう(これは、高度約3万kmで観測された波動である、という事になる)

図3の下図はアラスカで観測されたオーロラで、上図のホイッスルと完全に同期が取られている事が分かる

従って図3で分かるのは、コーラス波動とオーロラ発光の同期関係であって、その間を高エネルギー化された電子プラズマが仲介する、という事象は自明なのであろうか?

その辺りは私には分からないが、同期が取られている事は分かる!

 

 

図4.観測された突発発光オーロラの南北方向の非対称形状変化 

1ピクセルの強度変化は磁力線に沿った時間変化を表し,形状変化は磁力線を横切る方向の空間変化を表す。 

南北、東西、共に変化してゆく様子は分かりますが、「南北方向の非対称形状変化」という程の非対称でしょうか?

 

 

【用語解説】

注1:電磁波コーラス

磁力線に沿った電子のらせん運動に伴う電磁波。特に,音声に変換すると鳥のさえずりのように聞こえるものをいう。

注2:波動粒子相互作用

無衝突プラズマ中における電磁波と宇宙プラズマの相互作用のこと。電磁波を媒介して宇宙プラズマがさらに高いエネルギーへの加速や,散乱されるなどの現象が生じる。 

 

 

 

 

コメントバック

リオ同志 id:ballooon

コメント並びにリンク、ありがとう御座います、感謝です

 

>2022年の記事が載ってました。

新しいですね?

注にありました

注1:コーラス電磁波
電子が磁力線に沿って、らせん運動することによって生じる自然電磁波のこと。

これですと「コーラス電磁波の存在 = 磁力線に沿って運動する電子の存在」となりますが、「磁力線に沿ってらせん運動する電子」の速度がコーラス電磁波のエネルギーから分かる、という事なのでしょうね

 

>こちらにフラッシュオーロラ発光が、低周波コーラスのみと、低周波コーラスと高周波コーラスで生じるのと載っていました。

確かに、色々な励起方法があってもおかしくない、と思います

 

>『今後、さまざまな惑星におけるコーラス電磁波による電子の加速やオーロラ現象の物理過程解明への貢献が期待されます。』
>と書いてありますが、電子が加速するというのは、電子が高エネルギーということと同じですか?

はい、電子が加速するとは、電子がよりエネルギーを得る(高エネルギーになる)と同じです

また、電子が加速するとは、電磁波(電波ですね)を放射する、事を意味しています

 

私の疑問は、磁力線に沿って螺旋運動する電子は加速度を受けていますから電磁波を放射するのですが、この電磁波は光の速度で伝搬するので、螺旋運動する電子は取り残されるだろう、という事です

オーロラ発光させているのは螺旋運動する電子プラズマ、と私は思っているので、螺旋運動により生ずる電磁波と矛盾なく伝搬して酸素や窒素を励起させているのだろうか?という事です

 

以上でした

コメバック終わり

 

 

 

以上、お付き合い頂き誠にありがとう御座います

感謝です