なぜ地球磁極は逆転するのか?

太陽黒点数/オゾン全数/エルニーニョ/太陽活動と米国日本の地磁気変動を追います!

2月度その19 世界の北方磁場強度シリーズ ➡ 電離圏の全電子数TEC世界マップを取る!

世界の北方磁場強度シリーズ ➡ 電離圏の全電子数TEC世界マップを取る!

 

さて、電離圏の全電子数TECの世界マップを見つけましたのでご紹介です

 

お付き合い頂ければ幸いです

 

 

まず、電離圏バンアレン帯です

図a:電離圏とfoF2とは [電離層(Ionosphere)について解説] さんより

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図b: [バンアレン帯 | 天文学辞典] によれば、

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Y軸は磁気赤道上空と思われます(但しブログ追加のGOES衛星は地軸赤道上空を示す)

南緯30度西経60度を中心とするブラジル磁気異常では、地磁気が弱く内帯の端は高度200km程度まで降下しています

これより太陽に向かって上空ですと約9万kmの所に太陽風と地球磁気圏のぶつかり合うバウショック、約38万kmに月、約150万kmのラグランジュL1ポイントではDSCOVER衛星が太陽風を観測しています

 

 

ここから本文です

1.電離圏全電子数TEC値とは

電離圏の全電子数TEC値とは、高度20,000kmのGPS衛星から観測した電子数で、単位TECUで表示されます

詳細な説明を探しましたが、驚くべきことにWikipediaに項目がありません!

分かりやすい説明は後回しにさせて頂いて、ここは進めさせて頂きます

 

foF2値とTEC値の違いですが、foF2値は上図aを見て頂ければ分かるようにF2層の張り出し程度をMHzで測定しています、図aではMHzではなく電子密度表示していますが、それはMHzを換算したもので右に飛び出した狭い領域の密度を示しておりF2層全体の密度ではなく、ましてや電離圏全体ではありません

それに対しTEC値は高度20,000kmのGPS衛星が観測した値ですので、上図bを参照して頂ければ分かるように電離圏全体の電子数を観測しています(単位TECUが単位面積当りなのかどうか、詳細は後で調べます)

加えて、これが重要なのですが、バンアレン内帯は安定した高度2,000kmの陽子ベルトだけでなく安定した高度3,000kmの電子ベルトもあり、この内帯に付属する電子ベルトも観測にかかっているだろう、と思われます

中緯度観測点の磁力線パスは高度3,000kmに至る場合もあり(オタワOTTで3,070km)、本ブログにとってはfoF2値だけでなくTEC値も必要と言えます

 

 

2.TEC世界マップを柿岡KAKのピーク観測時に合わせて取る

2月度に報告した柿岡KAKの最大値と最小値の時間別カウント、3年間の統計結果です

図1:

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東経140.2°の柿岡ではLT10.3時台に最小値ピークがありますので、0.5時間を加えたLT10.8時が中央値で、これはUT1.5時になりますので、オーストラリア政府Space Weather Serviceさん [SWS - Total Electron Content - TEC Global Map] よりTEC世界マップを取ると、

図2:2月23日01:32UT時のTEC世界マップ

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丁度、柿岡は等高線で25TECUになる時刻です、北海道の20TECUよりハワイ南の45TECUまで等高線は6本あります

同様にfoF2値マップを取ると、

図3:2月23日01:30UT時のfoF2世界マップ

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この時刻、柿岡KAKは8MHz帯にあります、北海道8MHz帯からハワイ南11MHzまで等高線は4本です

この6本と4本の差が、図2:TECマップの方が図3:foF2マップより精度が高い印象を与えています

尚、TEC雲もfoF2雲も右から左(東から西)へ太陽と伴に移動します

X軸360°は45°単位で縦にドット線があり、この間隔が3時間となります

 

 

3.その時の日本におけるfoF2値とTEC値を調べる

NICTさん [予報 | 電離圏領域 | 宇宙天気予報]より、LT2月23日21時までのfoF2値とTEC値とk-index(電離圏の乱れで磁気嵐の程度を示す)グラフを示すと、

図4:

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であって23日の場合、foF2値もTEC値もLT13時頃にピークを示しています(TECの方がシャープなカーブでありfoF2図とTEC図の間に細かい時間線がありますので、拡大してご参照下さい)

従って、LT10.8時は柿岡KAKで観測するfoF2値またはTEC値ピークの約2時間前である、と言えます(TEC値の方がシャープですので明確です)

但し、図2も図3も柿岡KAK直上の数値を示しており、KAKが観測しているのは磁力線パス上の磁場強度北方成分の変化ですから、オレンジ線の示す高度700km線(図5)上の変化であって、それはKAK直上にピークが来る約2時間程度前となる、として理解できます

尚、図2と図3から得られる時系列イメージは台形なのですが、図4では凸型となっています

図2と図3は、複数本の方程式を立てて(恐らく数百本、これをモデルと言う)世界各地の実測値を入れて世界全体のTECマップを算出描画しています

それに対し図4は実測値そのものですので、図4が正しいのです

ですが、図2なり図3がありませんと世界全体のイメージが把握できませんので、モデルは必要なのです

 

似たような状況は磁力線高度にも言えて、

図5:

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ここで柿岡KAK地軸位置の緯度と経度は正しい

KAK磁気位置の経度と緯度、共役点の経度と緯度は、IGRF_13モデルに従って計算した値です

加えて磁力線パターン(高度)は、上記磁気位置から私が流線関数 [流線(磁力線)関数] に従って数値解析的に解いた数値解であって、参考程度の度合いが大きくなります

それでも磁力線高度がありませんと、考察は進まないのです

 

 

考察とまとめ:

1.TEC世界マップを取る事が出来ました

しかし問題があって、このTEC値マップは15分単位に更新されてしまうのです

過去データはありません!

従って、観測点のピーク時刻の日本時間に合わせて起きていてデータをダウンロードする必要があります

寝過ごしたら次の日となります(本日は柿岡でしたので楽でしたが、、、)

とても14全観測点のピーク時刻に合わせたTEC値マップは取れませんで、絞る必要があります

2.柿岡KAKは外せません、何故なら日本上空のfoF2値とTEC値の観測グラフがあるからです(ここでモデルのチェックが出来るのです)

その他としては低緯度の代表としてクールーKOUと、中緯度の代表としてオタワOTTかビクトリアVICかな、と考えております

3.今回の柿岡KAKに至る高度700km磁力線では、KAK直上のTEC値最大の約2時間ほど前に最小値ピークを観測している、と結論付けられます

別の見方をすれば、図2と図3の電子密度の高い磁気赤道に沿った雲は、KAKピーク観測時の約2時間前に先行して電子密度が最も高くなり、KAK観測磁力線パスの変動を最小値としている、と理解できますこれにて中緯度において、何故LT10-11時台に最小値ピークが観測される傾向が強いのか、が分かった事になります

 

3月からは部分的にせよTEC世界マップを加えた報告にしたい、と考えています

KAK以外の観測点におけるfoF2値やTEC値グラフを調べる事はまだやりません、やるとしてその次となります

 

 

以上、お付き合い頂き、誠にありがとう御座いました

感謝です!