なぜ地球磁極は逆転するのか?

太陽黒点数/オゾン全数/エルニーニョ/太陽活動と米国日本の地磁気変動を追います!

6月度その13:磁気嵐と地磁気変動を考える時 ➡ リングカレントとは何かをシッカリ抑えておこう!

赤道環電流(リングカレント)とは何か?どうして発生するのか?発生してどのような影響を及ぼすのか?

等々について、ここで一旦、落ち着いて調べておこうと思います

 

という訳で、本日はリングカレントについて、の勉強です

 

 

お付き合い頂けますよう、よろしくお願い申し上げます

 

 

 

ネット上をだいぶ調べました・・・

地球磁力線は南から北へ向かっており、そこに電場が東から西へ向かって存在する時、電場方向に沿った東から西に向かう電流をペダーセン電流と称します

リングカレントとペダーセン電流について調べてゆくと、幾つかの特徴的な記事が見つかりましたので、それをご紹介致したく

 

1.まずは リングカレント - Wikipedia とは?があります

地球の場合、正電荷を持つイオンは西向きに、負電荷を持つ電子は東向きにドリフト運動するため、西向きのリングカレントが形成される。この西向きの電流は、中・低緯度域の地磁気を減少させ、磁気嵐の主要因になっていると考えられている。地球のリングカレントは、10-200keV程度のエネルギーのイオンが主に寄与している。イオンの種類は、プロトンの他、α粒子や酸素イオン(O+)も含まれている。 

と実に簡潔な説明ですが、ドリフト運動って何だ?がここで湧き上がります

 

2.そこで ドリフト (プラズマ物理学) - Wikipedia より

プラズマ物理学で、ドリフトとは、磁場中を動く荷電粒子の旋回運動の中心(旋回中心という)が磁場と垂直な方向に移動する動きのことを指す。巨視的にプラズマの動きを見ると個々の粒子の旋回運動は互いに打ち消し合うので、旋回中心の移動、すなわちドリフト運動がプラズマの巨視的な動きに対応する。

磁場中の荷電粒子は、ローレンツ力によって旋回運動(サイクロトロン運動)をしている。もし、磁場が一様で、かつ荷電粒子が磁場からの力以外の外力を受けていない場合、その旋回中心は磁場と平衡な方向にしか動くことはなく、特に、磁場と平行な方向の速度が0ならば、荷電粒子は単に磁場と垂直な面内で円運動をするだけになる。

しかし、磁場以外の外力が存在したり、磁場の構造が一様でない場合には、旋回中心が磁場と垂直な方向にも動くようになる。

と、この後、式が出てきて図は出てきません

 

しかしリングカレントとは赤道環電流と捉えてOKなハズで、電場方向が東から西に向かい同じ方向に流れる電流をペダーセン電流と称するのであれば・・・

で、ペダーセン電流について調べます

3.京都大学さん 電離層電気伝導度について が分かりやすくて

電離層はおおむね地上60~1000kmの高さで、 中性粒子が主に太陽紫外線によって荷電粒子 (電子と正イオン) に電離されるため、地球上空で一番 (自由)電子密度が高い領域である。 ここでは電波が反射、吸収、屈折されるほか、電流が流れやすくなっていて、 数日以下の速い地磁気変化を引き起こす電流のうち多くが流れている。 オームの法則はほぼ成り立つが、電気伝導度は地磁気の影響で非等方になり、 平行、ペダーセン、ホールの3伝導度が基本的な伝導度として定義されるほか、 場合により2次元伝導度も用いられる。 それぞれの意味は以下の通りであり、単位はS/m (=1/(Ωm))、 高さ積分されるとSである。

とあり、図が示されます

図1:電離圏での電場と電流の関係図

この説明の良い所は、まず磁場Bと電場Eが存在し、電場Eが存在すれば電流Jも存在しうる訳で、それらのベクトル関係図を示せば図1の如くとなり、電場Eと同方向の電流成分をペダーセン電流と称する

と定義系から出発している所です、その後ペダーセン伝導度として、

ペダーセン伝導度 (Pedersen conductivity)

磁力線に垂直な電場による電場方向への電気伝導度をペダーセン伝導度という。 これは電離層より下の、 荷電粒子と中性粒子の衝突が極めて頻繁な領域では平行伝導度と一致する。 高さが高くなるにつれて荷電粒子の密度が増大することと中性粒子との衝突が減少するために高さ110-130kmくらいまでは増加するが、 さらに高い領域では衝突が希になることにより荷電粒子は電場と磁場双方に垂直な方向へ電場ドリフトするのみで、 磁力線に垂直な電場の方向にはほとんど動かなくなるために小さくなる。
σ1と略記される。 

ペダーセン伝導度σ1の説明があり、σ1E⊥ がペダーセン電流となります

ドリフト運動の図はありません

 

4.英文Wikiペダーセン電流 Pedersen current - Wikipedia より一部翻訳させて頂くと

ペダーセン電流とは、荷電粒子を含む伝導物質に外部から電場と磁場が印加された場合、電場方向に流れる電流の事である

ペダーセン電流は、伝導物質中において荷電粒子と粒子の衝突周期が磁場によるジャイロ運動周期とだいたい同程度の時に最大となる

ペダーセン電流は、印加された磁場による伝導物質特有の性質(ペダーセン伝導度)と深く関係している

とあり、図が出てきます

図2:Redesigned by Ian Tresman, traced to SVG in OpenOffice.org Draw by User:Stannered.

磁場は画面下から上に向かっている

均一磁場における荷電粒子のドリフト運動は

A:ドリフトする力を受けない(磁場のみの場合)

B:電場Eが印加された場合

C:例えば重力Fが印加された場合

非均一磁場 傾斜のある場合におけるドリフト運動は

D:アルベン波gradH が印加された場合

と、かなり難しいのですが、次に出てくる、

図3:Published on page 28 of John Coxon's PhD Thesis at the University of Leicester , titled "the role of Birkeland Currents in the Dungey Cycle"

によれば、

荷電粒子は衝突を繰り返す度に方向を変え(気持ち新たに)ドリフト運動を繰り返してゆく

正粒子 (positive particle) も負粒子 (negative particle) も同一方向にドリフトしてるので、図2:Bの場合である(左下にBとEの方向が出ている)

図3では正粒子も負粒子も右にドリフトする、正負極の違う荷電粒子が同方向にドリフトするのであるから水平方向に電流は流れない(キャンセルされる)

一方ジャイロ運動から見れば、正負粒子の回転方向は真逆であるから電場方向への電流成分はすべてキャンセルされる事はなく電場方向成分として生き残る、これがペダーセン電流となる

と、まぁ凄い説明ですが、、、なるほど・・・です!

荷電粒子と(中性)粒子との衝突頻度が重要で、かつ、衝突周期が荷電粒子ジャイロ運動周期と大体一致した時にペダーセン電流最大が流れる、の意味がやっと分かりました!

ありがとう御座いました m(_ _)m 素晴らしいPhD論文だと思います

 

 

まとめ:

1.結論として、赤道上空を流れるリングカレントとはペダーセン電流の事である、として良いであろう

荷電粒子と(中性)粒子がほどよく混在する空間となれば、それは電離圏、という事なのだろう

Pedersen current - Wikipedia によれば、

ペダーセン伝導度は電離圏の高度125kmで最大となる

とありました

また、

ペダーセン伝導度は昼間に最大となり(太陽光による電離が進むからであろう)、またオーロラ帯の夜間に最大となる

ともありました

 

2.ペダーセン伝導度が昼間に大きくなり、かつ電離圏125kmの所で大きくなるとして、ペダーセン電流は高度125kmで最大となる、としてOKなのでしょうか?

電流は周回しなければならないという条件が付きます、ので、地球を周回する条件が整うのは大きな磁気嵐が到来し荷電粒子が地球全体を覆う時なのでしょう、この時、ペダーセン電流はリングカレントと称してOKなのでしょう

ペダーセン伝導度という言葉がよく出てきました(ペダーセン電流やリングカレントではなく)、これは地球を周回するとは限らない、周回すれば電流やカレントを使ってもいいのだが、という事で伝導度(抵抗値の逆)で状況の説明するからでしょう

大きな磁気嵐が来て電離圏全体に多くの荷電粒子が入り込み中性粒子も大量に存在する空間、それが高度125km付近であれば、リングカレントが高度125km辺りで大量に流れるという可能性は大いにあります

高度125kmに一番近い観測点は父島CBI_290kmです(但し、これは磁気赤道からの距離です)

 

3.さて、リングカレントは赤道上を流れるとされていますが、これは地軸赤道でしょうか、それとも磁気赤道でしょうか、という疑問が湧きます

私は磁気赤道上ではないか、と以前コメントで書いたのですが(理由はその方がエネルギーロスが少ないだろうから、最適解であろうから)、ここに来て分からなくなりました

 

4.もうひとつ分からない重要な事項があります

ドリフト運動・ペダーセン伝導度・ペダーセン電流・リングカレントを述べる時に、電場は東から西に形成される、と当然の如くに記載されています

回転する棒磁石(要するに地球)の周囲には電場が形成される、を相当探しましたがどこにも出ていません

これは自明ではないでしょう

何故、西向きの電場が形成されるのか?が分からないのです!!!

 

 

 

以上、お付き合い賜りまして誠にありがとう御座いました

感謝です m(_ _)m