6月度その17:磁気嵐と地磁気変動を考える時 ➡ リングカレントの根源 ➡ 東から西に向かう電場Eとは、このことかッ!!!
リングカレントに関する記事を読むと「東から西へ向かう電場E」が当然暗黙の了解条件として語られます
例えば リングカレント - Wikipedia より、
リングカレントとは、惑星磁気圏の磁場に捕捉された荷電粒子がつくる電流で、赤道環電流とも言う。
と実に簡潔で、
地球の場合、正電荷を持つイオンは西向きに、負電荷を持つ電子は東向きにドリフト運動するため、西向きのリングカレントが形成される。この西向きの電流は、中・低緯度域の地磁気を減少させ、磁気嵐の主要因になっていると考えられている。地球のリングカレントは、10-200keV程度のエネルギーのイオンが主に寄与している。イオンの種類は、プロトンの他、α粒子や酸素イオン(O+)も含まれている。
と続きます
やはり正電荷イオンが主に寄与しているのですか・・・
リングカレントとしてはこれで全く正しいのですが、やはり地球リングカレント「正電荷を持つイオンは西向きに、負電荷を持つ電子は東向きにドリフト運動」の前提条件である西向きの電場Eがどうやって形成されるのか?を知りたくなるのです
そこで是非、お付き合い頂きたく、よろしくお願い致します
1.静止する棒磁石の周囲には磁力線と直交する電場Eが形成される
図1:棒磁石の磁力線と直交する電場E
E丸●は画面裏から表に向かう方向、E丸Xは画面表から裏に向かう方向の電場が形成される
これはもしここに電流が流れれば右ネジの法則で矢印で示された方向の磁力線を発生する向きである
そしてもし荷電粒子が存在すれば、画面右側にある正電荷は画面表に向かって移動し、画面右側の負電荷は画面裏に向かって移動するので、画面右側では裏から表に向かう電流が形成される
ここで棒磁石が回転する必要は無い!
では何故、棒磁石周囲に右ネジ法則に従う電場Eが形成されるのか?
それは、もしこの電場に電流が流れれば既存磁束Bの方向とマッチする磁束を形成するからである
図1が真空中であり荷電粒子は存在せず棒磁石の磁束密度にも変動が無ければ、電流は流れない
2.地球の場合
図2:地球の磁力線と直交する電場E
地球の場合も中心に棒磁石があると考えてよく、周囲には図1と同じ方向の電場Eを形成する
従って地球外部の空間(例えば電離圏)に荷電粒子が存在すれば磁束Bと直交する電場Eの方向にドリフト電流が流れる、下図ペダーセン電流である
英文Wikiペダーセン電流 Pedersen current - Wikipedia より、
図3:Published on page 28 of John Coxon's PhD Thesis at the University of Leicester , titled "the role of Birkeland Currents in the Dungey Cycle"
によれば、荷電粒子は衝突を繰り返す度に方向を変えドリフト運動を繰り返し、この電場方向Eの電流成分がペダーセン電流で、電場Eと同じ方向であるから磁束B(即ち磁力線の方向)と直交しリングカレントとなるのである
ここで重要なのは地球の自転は本質ではない、という事である
自転がなくても棒磁石が形成されれば(例えば地球コアは単結晶Feで形成され磁化されている)リングカレントは形成され得る
まとめ:
1.6月度その14:磁気嵐と地磁気変動を考える時 ➡ 電離圏に東から西に向かう電場が存在する理由が私なりに分かりました! - なぜ地球磁極は逆転するのか?
⬆ ここのまとめで書いた相対論的な考察は間違いでした!
消してしまおうか、とも考えたのですが、まぁ記念にとっておくか、です
私はリングカレントの原因は地球の自転にあるのだろう、と思っていたもので・・・
2.あとひとつ重要な事があります
図2で地球は自転していなくても棒磁石があれば、磁束Bがあれば、リングカレントは流れ得るとしましたが、自転していてもよいのです(当然ですが)
その際、重要な事は「磁力線は回転しない!」なのです
磁力線は回転しません、単に磁束密度Bの増減に応じて磁力線密度を変化させるだけなのです
だから単なる回転していない棒磁石でもリングカレントは流れ得るのです
回転する磁力線なるものの数学的表現(モデル)は無い、出来ない、なる記事を読んだ事があります
ファラデーは磁力線は動かないと言った、との記事も見た事がありますが、回転しない!でしょう、空間が圧縮されれば磁力線は動いて磁力線密度を増しますから
3.宇宙の徒然を語る「マサキリオ」(id:ballooon)さんから、リングカレントとはペダーセン電流の事でいいのですね?と問われてYesとお答えしたのですが、ペダーセン電流であればリングカレントである、は間違いなので要注意
図4:英文Wikiペダーセン電流 Pedersen current - Wikipedia より
極地の電離圏に流れる独特な電流、これは凹凹凹の形をした電流群のようです、これもペダーセン電流と言うそうです(ですがリングカレントとは言わない)
赤道を周回するペダーセン電流はリングカレントである、が正しいです
リングカレントであればすべてペダーセン電流か?というと、まぁ大丈夫でしょう・・・
4.図2より生成される電場Eは磁力線と直交する形ので、発生するリングカレントは磁気赤道上空、となります
地球の自転軸と磁気双極子(棒磁石)の軸は一致しておらず(約7.3度傾斜していて)、地軸赤道上空ではなく、磁気赤道上空をリングカレントは流れる事になります
以上、お付き合い頂き誠にありがとう御座いました
感謝です m(_ _)m