なぜ地球磁極は逆転するのか?

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7月度その1:北方磁場強度シリーズ ➡ GOES衛星高度における磁力線空間の圧縮とは? ➡ 磁場の凍結でした!

GOES衛星高度(約3万5千km)LT昼間時間において北方磁場強度が増大する事は何度も観測しており、その都度「磁力線空間が圧縮されるから」といった説明をしておりましたが、詳しく調べると、これは磁場の凍結に当たる現象である事が分かりました

 

ついてはご説明申し上げたく

 

お付き合い頂ければ幸いです

 

 

1.柿岡K-indexが極めて静穏な6月20/21/22日におけるG18波形について:

図1:太陽風プラズマである電子線束密度グラフは、

っであって、一方、

図2:観測されたG18北方磁場強度の変化は、

と、極めて高い相関を示す北方磁場強度波形が得られています

従来、図2のG18磁場強度がLT12時頃に極大値を示すのは太陽風プラズマ流による磁力線空間の圧縮が行われている為、と説明して参りましたが、この辺りをもう少し詳しくご説明致します

 

2.磁気濃縮型爆発発電 磁気濃縮型爆薬発電機 - Wikipedia

より、導線で囲まれた磁束空間を外部から爆薬にて(導線を)圧縮すると、電磁系が与えられてた変化に対して反作用を引き起こす現象が起こります(全磁束の保存)

導体による閉曲面の面積が減少するならば磁束が減少することとなり、包囲磁束が元の値に戻ろうとするように導体中の誘導電流を引き起こす。

図3:By Croquant, 輪で囲まれた初期磁力線状態

外部の磁場(青い線)が(電気抵抗がゼロの)完全導体によって作られた閉じた輪を通っている。9本の力線は磁力線が輪を通過していることを示している。

 

図4:By Croquant, 輪の直径が縮小した後の構造

輪の直径が縮小すると、5本の力線で示される輪を通る磁力線は、輪の面積と同じ比率で減少する。磁力線の変化は、輪の中にある全体の磁束が保持されるように(4本の緑の力線と5本の青い線を足して9本の力線となる)新しい磁場を生成する向きに輪の中に電流を誘導する(赤い矢印)。

 

図5:By Croquant, 圧縮後の磁力線

外部の磁場と誘導磁場を加えることで、圧縮後の最終的な構造を獲得できる。たとえ磁力線の分布が変化しても、輪を通る全体の磁力線は保存されたままであり、電流は導電リングの中で生成される。

 

歴史的には核融合の研究開発上、強大なパルス電流が必要な為ソビエトの科学者により発明されたとの事です(1050年代初頭)

 

この条件(電気抵抗がゼロの)完全導体によって作られた閉じた輪、はプラズマ状態でも具現化され:

同様の現象はプラズマ等の十分に導電性の高い流体でも起こり、

磁場の凍結

と呼ばれている

 

3.磁場の凍結

磁場の凍結は 磁気流体力学 - Wikipedia から導かれます

磁気流体力学の基本的アイデアは、電導性流体の中では流体の運動が磁場の変化をもたらして電流を誘起し、その電流と磁場との相互作用から流体への力を生じ、よって流体の運動自身が変化する、というものである。

この流体の運動が太陽風(プラズマ流)なのです

プラズマの電気伝導度を無限大(抵抗ゼロ)とした磁気流体力学を理想MHDと称し、

理想MHDのもっとも顕著な特色は磁力線と流体との凍り付きである。ある時刻の磁力線はその時の磁場分布だけで定まり、異なる時刻の磁力線同士を関係付ける方法は一般には存在しない。

即ち、磁力線は動かない!のです、通常の状態では・・・

しかし、理想MHDのもとでは、ある点の磁力線はそこでの流体の速度 で動く、すなわち磁力線は流体と一緒に動くとする扱いが許される。この現象を凍り付き(froze in)と言う。その結果、磁力線は流体により運ばれて時間とともに移動していく(対流)、もしくは磁力線は流体を凍り付かせて質量密度をもつ実体として運動する、という描像を画くことが出来る。 

理想MHDから導かれる重要な数値にプラズマベータなる数値があり:

プラズマベータは流体の圧力と磁気圧の比であり、 

β = 流体圧力 / 磁気圧 = 2μP / B^2

と表される

ここで、

プラズマベータが1より大きいときは流体の圧力の影響が大きく磁力線は流体により運ばれ、

1より小さい時は磁力線が流体を凍り付かせて運ぶ。 

GOES高度で地球の磁束強度 B は弱くかつ太陽風プラズマ圧力 P は大きいと思われるので、β > 1 と推定されます

即ち「流体の圧力の影響が大きく磁力線は流体により運ばれ」るのでGOES高度空間で磁力線はプラズマ流体により運ばれ空間圧縮されるのです

 

 

まとめ:

1.GOES高度におけるLT昼間の磁場強度増大を磁力線空間が圧縮される為、と今まで直感的に述べてきましたが、磁気流体力学における「磁場の凍結」のプラズマベータが1より大に相当する状態、と推測した次第です

以下はよく見る動画ですが、再度確認しますと、

図6:太陽風プラズマと圧縮される地球磁気圏イメージ(NICTさんより)

www.youtube.com

太陽風により地球磁力線(地球磁力圏)が圧縮されている様子がよく分かります、正確には、これは磁場の凍結により太陽風プラズマが地球磁力線を凍結し地球側へ移動圧縮した、と表現すべき所でしょう

磁力線空間の圧縮は、磁場の凍結が可能な条件でのみ発生し、低緯度SJGやGUAの磁力線高度では発生しないと考えられます

図6を見ておりますと、地球夜間側へ磁力線が伸びているのも磁場の凍結によりプラズマ流体が磁力線をプラズマシートにまで引き伸ばしているから、であるように見えます

 

2.一方、プラズマベータが1より小な状態ですが、太陽からプラズマが放出された段階では磁束密度 B は極めて大きくかつ自乗で効くので(プラズマ圧力 P も大きいでしょうが)β < 1 となるのではないか、と思っています

即ち、太陽磁力線が太陽風プラズマを凍結させプラズマを地球磁気圏_太陽側最上部(高度約6万km)まで運んでくるのです

 

3.低緯度SJGやGUAにてLT昼間時に北方磁場強度最大を観測する原因は、別にありまると考えています(磁力線密度の増大ではなく)

その原因については別途まとめたい、と考えております

 

 

以上、分かり難い内容にお付き合い頂き、誠にありがとう御座いました

深く感謝です m(_ _)m