6月度その9:磁気嵐シリーズ ➡ 磁気嵐レポートは、こんな感じになります!
磁気嵐_発生時における処理シーケンスは次の通りとなります
1.気象庁さん発NICTさん経由で柿岡K-indexグラフが掲示される
ここでK-index=4以上が在れば磁気嵐発生の可能性が高い
柿岡K-indexグラフの一番右側1日分24h内にてK-index>=4の磁気嵐が発生した事を確認し、この日付をDateMS(Maginetic Storm)とし、柿岡K-indexグラフを取る
このグラフ上ではDateMSを最終日として5日間のK-indexが表示される
2.続いてDateMSを最終日とした6日間のGOES衛星G16/G18データをダウンロードする、データ内容はG16/G18各々について:
・北方地磁気データ6日間
・X線量データ6日間
・電子線束6日間
・陽子線束6日間
となる
3.アラスカ・フェアバンクスCMOのデータダウンロードが出来る事を確認した
但し、サーバが非力なせいか4日分ダウンロードが限度である
従って、DateMSを含む4日分北方地磁気データをダウンロードする
4.上記データ群をグラフ化し記事としてまとめる
具体例として最終日が6月8日である記事をまとめさせて頂きたく
お付き合い頂けますよう、よろしくお願い申し上げます m(_ _)m
1.柿岡K-indexグラフ(5日間グラフ)
図1:6月4日から6月8日
この例では私がデータ準備にモタモタしていたのでDateMSは6月7日でしたが最終24h日は6月8日になってしまいました
従ってK-indexグラフには6月4日から6月8日の5日間が表示されています
2.GOES衛星グラフ(6日間グラフ)
最終日6月8日を含む6日間は6月3日から6月8日の6日間となります
図2:G16/G18北方地磁気波形、変動成分表示
G16/G18の変動成分、中心をゼロとしてプラスとマイナス領域に表示しています
プラス領域とマイナス領域の面積総和はゼロになります
図3:G16波形_絶対値表示
図4:G18波形_絶対値表示
図3も図4も、どちらも約100nT弱の所に中央値があり、磁場強度についてはG16/G18どちらも同程度といえます
面白いのは、図3と図4を見て頂ければ分かるように、G16/G18共にLT0時頃(真夜中)に磁場最小値を観測している事です、そして最大値はLT12時頃(真昼)です
GOES衛星は赤道上空の静止衛星ですので、これはLT12時には太陽風により磁力線空間が圧縮され密度が上がり、LT0時頃には磁力線空間が伸長され密度が下がっている事を示しています
GOES衛星の高度は約35,000kmでバンアレン外帯の外側の高度は約20,000kmですから、これはバンアレン外帯も太陽風により昼間の圧縮と夜間の伸長を受けている、と考えて良いでしょう、もちろん数値的な分析は必要です
図3と図4より最大値 vs 最小値の比率を約2倍とすれば、そして高度35,000kmから20,000kmまで太陽風を遮る荷電粒子はほとんど無いとすれば、バンアレン外帯最外部も昼間と夜間で2倍の磁力線空間の圧縮伸長を受けていると考えられます
図5:G16X線量グラフ
図6:G18X線量グラフ
X線量の分析は難しいです
X線は直進性の高い電磁波(光)ですので、GOES衛星が地球の裏側にある真夜中前後に最大値を観測する事は考えにくいのです
図5と図6を見て頂ければ、すべてではありませんが、かなりLT0時の真夜中前後に最大値を観測しています
夜間プラズマシートにてX線を発光するメカニズムがあるのでしょうか?
夜間プラズマシートにて磁気リコネクションが発生した時、X線が生成されるのでしょうか?
恐らく夜間の磁気リコネクションが強いX線発光源となっているのでしょう
図5と図9(G16陽子線束),図6と図10(G18陽子線束)を重ねて表示してみたい所です
図7:G16電子線束グラフ
図8:G18電子線束グラフ
図7と図8の電子流束は、GOES衛星のLT12時頃に最大値を観測しているように見えます
図9:G16陽子線束グラフ
図10:G18陽子線束グラフ
図9と図10の陽子線束はLT0時前後の真夜中に、すべてではないですが、最大値を観測しているように見えます
これは昼間側の陽子が直ちに夜間側へ移動し、プラズマシートを形成し、やにがて磁気リコネクションによりプラズマ爆発を起こし、陽子線束を増大させるから、と考えられます
それに対し、図7と図8の電子線束は夜間プラズマシートに多く移動する事はないように見えます
そうであれば、夜間プラズマシートは陽子リッチなプラズマ状態なのでしょうか?
3.アラスカ・フェアバンクスCMO地磁気波形グラフ(4日間)
CMOの地磁気波形4日間がダウンロード出来ました、4日が最長でした、5日を指定するとダンマリ状態になって動きません
図11:CMO北方磁場強度 変化分
図12:CMO北方磁場強度 絶対値
中央値で約12,250nTとかなり大きな磁場強度です
図3のG16で中央値が約80nT、図4のG18で中央値が約75nTですから、やはりCMOは地表かつ高緯度という事で磁力線密度が高く、磁場強度はGOES位置の高度約35,000kmに比べ約150倍大きいのです
この150倍という数値から、何かが分かるのでは?と漠然と考えています
また図1の柿岡K-indexのDateMSである6月7日のK-index=4列と強い相関を示すのが図12のCMO地磁気データです
柿岡でK-index=4列を観測した6月7日UT10時〜16時の間に図12CMOでは大きなダウンシュートを観測しています
まとめ:
1.やはりグラフ数がかなり多くなってしまいました
G16とG18、両方のグラフはいらんですね、図5から図10について次回からG18のみに絞ろうか、と考えています
2.今回の成果その1は、夜間プラズマシートのプラズマ爆発は強いX線を発光しているのではないか?です
図5と図9,図6と図10を重ね表示できれば、と考えています
成果その2は、夜間プラズマシートは陽子リッチなプラズマ状態ではないか?が推測された事です
これはどう確認を進めればよいのか、現時点では分かりません
以上、長い事お付き合い頂きまして誠にありがとう御座いました
深く感謝です m(_ _)m